滲出性中耳炎患者の治療とケア

滲出性中耳炎患者の治療とケア【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年7月1日
最終更新日:2013年7月1日
(変更日:2021年7月9日) ※

目的

  • 滲出性中耳炎患者に適切な看護を行う

疾患の概要

  • 急性炎症は起こしていないが、何らかの炎症が存在している、もしくは中耳に貯留した液がある状態のことを指す
  • 鼓膜は薄い状態にはなっており、やや内側に向かって陥没が見られているが、穿孔は存在していない
  • 様々な年齢に発症が認められるが、5、6歳の子供に多くみられる傾向にあり、10歳前後で治癒の経過をたどる
  • 中耳腔は薄茶~やや混濁している茶色の液体が貯留しており、性状は粘液性・膿性・漿液性など様々である
  • 副鼻腔炎やアデノイドまたは扁桃炎などが合併することによって、滲出性中耳炎が生じる場合も多々みられる
  • 場合によっては、鼓膜穿孔、鼓膜の石灰化、癒着性中耳炎、慢性中耳炎、中耳真珠腫あるいは感音性もしくは伝音性難聴などの後遺症が残る場合もある
  • 主な症状は伝音性難聴であるが、幼児が罹患した場合、的確に症状の表現をすることが困難である
  • そのため、言動よりも声かけに対しての反応の鈍さや、大声で話す、聞き返しが多々ある、テレビの音が通常より大きい、テレビを近くで見る、易怒性、正確な言葉の発音ができないなどの行動で、保護者が気づくパターンが多い
  • 乳児の場合は、夜泣きや寝つきの悪さ、機嫌の悪さ、耳に手が何度も行くなどの状態が見られるが、なかなか気づきにくいので、中耳炎の既往の有無を基に注意深い観察が必要である

治療

  • 外来で行われる一般的治療(鼻・咽頭処置、耳管通気、吸入など)や、内服治療、換気チューブ留置術、鼓膜切開術、アデノイド切除術、扁桃摘出術と共に行われる鼓膜チューブ留置術などがある
  • 内服治療に使用する抗生物質は、セフェム系、ペニシリン系を中心に投与を行うが、マクロライド系を選択する場合もある
  • 抗ヒスタミン薬、消炎酵素薬、粘液融解薬や抗アレルギー薬などを併用する場合もある
  • 鼓膜切開を数回行っても改善が見られず、3ヶ月以上の治療が必要な場合は換気チューブを鼓膜に挿入し、留置するが役割遂行後に自然抜去することが多い
  • アデノイドの増殖によって、明らかに耳管を閉塞・圧迫もしくは感染源となっている疑いがあれば、チューブ留置手術と併せて扁桃摘出術もしくはアデノイド摘出術を施行する場合もある

観察項目

  • 聞こえにくさの有無、程度
  • 行動の変化の有無(反応の鈍さや、大声で話す、聞き返し、易怒性、夜泣きや寝つきの悪さ、機嫌の悪さ、耳に手が何度も行くなど)

アセスメント

  • 老人の場合は耳閉感や難聴の訴えがある
  • ティンパノメトリーを用いた検査においては大別してA~Cの3つに分類され、滲出性中耳炎の場合、およそ90%がBタイプである
  • レントゲン上、乳突蜂巣部の陰影の状態が強度である場合は中耳腔のみならず、浸出液が乳突部にまで及んで貯留していることが疑われる
  • 副鼻腔レントゲンにて滲出性中耳炎と関連性のあるアデノイドや副鼻腔炎の状態をみる場合もある
  • 側頭骨CTにて貯留液の有無や乳突蜂巣の抑制と発育が確認できる

注意点

  • 乳幼児の場合は、検査時に暴れたり泣いたりなど体動が激しい場合があるので、保護者らと協力しあいながら行う
  • 治療の改善が見られない場合は、チューブ留置術を施行することで大きな治療効果がみられる場合が多いが、鼓膜に異物を入れることに心理的に抵抗する保護者も多いので、不安の軽減を図ることが大切である
  • 小児が罹患する滲出性中耳炎は注意深い観察が1番重要であり、少なくとも8歳頃までは再発の可能性があることを保護者に説明する
  • チューブの留置状態を確認するため、定期的な外来通院が必要なことを説明する
  • 副鼻腔炎や感冒が起こることによって急性中耳炎を起こす危険性もあるため、鼻を強くかむことは避け、耳漏の出現時は速やかに外来受診をするよう説明する
  • 滲出性中耳炎の場合は、痛みがほとんどないため、気づかない場合も多々あるので、注意深く観察するよう指導する
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