アデノイド肥大症患者への対応

アデノイド肥大症患者への対応【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年7月16日
最終更新日:2013年7月16日
(変更日:2023年8月31日) ※

目的

  • アデノイド肥大症患者へ適切な対応を行う

疾患の概要

  • アデノイド肥大とは、上咽頭にある咽頭扁桃が肥大した状態のことをいい、アデノイドまたはアデノイド増殖症とも呼ばれる
  • 出生時には小さいが、3歳から6歳ぐらいまでが肥大のピーク。風邪など員頭部の細菌感染によって肥大することもある
  • 10歳頃に退縮し、18~20歳でほとんど認められなくなる

主症状

  • 鼻症状
    • 口呼吸と著明な鼻閉が認められ、夜間は睡眠時無呼吸やいびきから睡眠時無呼吸症候群を引き起こす
    • 鼻漏、閉鼻声、鼻出血などが起こり、気管支炎や副鼻腔炎の原因となる
    • 乳児の場合、哺乳障害から栄養失調や低体重になりやすい
    • 睡眠時無呼吸が長期的に続くと場合、右心負荷を起こす
  • 耳症状
    • 滲出性中耳炎となり耳が聞こえにくくなる
  • アデノイド顔貌
    • 口呼吸のため硬口蓋はドーム状となり、高い位置をとるため、歯列不整や咬合不全となる
    • 常に半開口状態で顔面筋の弛緩、鼻唇溝消失が見られ、両内眼角の幅も広くなり、鼻根部は低く、外鼻孔が細くなる
  • 全身症状
    • 倦怠感、記憶力や思考力の低下、日中傾眠、夜尿症、気管支炎による痰や咳、頸部リンパ節腫脹、鳩胸、漏斗胸やなどが見られる場合がある
  • 神経症状
    • 頭痛や鼻性注意不能症(易怒性、注意力散漫、精神不安定、集中力低下など)が見られる場合がある

検査と検査所見

  • 後鼻鏡検査
    • 後鼻鏡でアデノイドの発赤や肥大が認められるが、小児の場合は鑑別が困難なことが多い
  • ファイバースコープ検査
    • 小児の場合、小児用の外径の細いものを用いて経鼻から撓性ファイバースコープ(フレキシブルファイバースコープ)を挿入して、上咽頭の観察を行う
    • 硬性ファイバースコープ(リジッドファイバースコープ)を使用した場合、全体像の把握が可能となる
  • X線検査
    • 高圧側面撮影は、アデノイドの大きさや形状、鼻腔、舌、軟口蓋、咽頭などの状態や関係性を把握するのに有効である
  • その他
    • 睡眠時無呼吸が強い場合には睡眠ポリグラフィーを用いて重症度の判定を行う
    • 胸部X線検査、心電図、心エコーで右心負荷を検査する場合もある

治療

薬物療法

  • 急性炎症がある場合は抗生物質を投与する
  • 高度の鼻閉で、睡眠障害が強い場合、就寝前に血管収縮薬の点鼻薬を用いるとよい場合がある

手術療法

  • 臨床症状が強い場合は、アデノイド切除術の適応となる
  • 滲出性中耳炎を合併している場合、鼓膜チューブ留置術、鼓膜切開術も施行する
  • 口蓋扁桃肥大がある場合、口蓋扁桃摘出術も同時に施行する

観察項目

  • 鼻閉、口呼吸、いびき、閉鼻声、鼻漏、鼻出血、頸部リンパ節腫脹の有無
  • アデノイド顔貌、睡眠時無呼吸の有無
  • 咳・痰、倦怠感、日中傾眠、無気力、食欲不振、夜尿症の有無
  • 漏斗胸や鳩胸の有無

アセスメント

  • 適切な問診が行えているか
    • 特に小児の場合は、保護者などから出生時からの経過について問診を行う
    • 1日の生活リズムなどについても問診を行う
  • 観察項目は多岐にわたるが、きちんと観察できているか

看護のポイント

  • 乳幼児の場合、診察時は保護者にも協力してもらいながら、頭部や四肢体幹の保持をすることが大切である
  • 術後出血(咽頭や鼻からの出血)に注意する
  • 咽頭血液流下を嚥下し続けると悪心、嘔吐、腹痛などが起こるため、注意する
  • 大量出血した場合、鼻咽腔バルーンタンポンやベロックタンポンを施行するが、止血不良の場合は全身麻酔下で再手術を施行する
  • 帰室後の4~5時間はベッド上安静にし、手術当日は流動食、翌日から常食とする
  • 手術による影響で、術後、一過性に耳閉感や耳痛を訴えることがあるが、短時間で症状の改善が見られる
  • 退院後1週間は激しい運動を避け、鼻出血に注意する
  • 口呼吸が習慣になっているため、口を閉じて鼻呼吸をするように説明する
  • アレルギー性鼻炎を合併している症例では、術後も鼻閉症状を訴えることがあるため、継続してアレルギーの治療を行う
  • 手術後に声の変化を自覚することもあるが、むしろ閉鼻声が改善したことを説明する
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