PETの基礎知識

目的

• PETの基礎知識について理解を深める

検査の概要

• PETは、静脈に放射性同位元素を標識した医薬品を注射して行う検査であり、腫瘍の早期発見や治療後のフォロー、化学療法などの治療効果の確認などに有効である
• 体内に入った放射性医薬品は、炎症部位、糖代謝が活発な臓器、腫瘍などに集積し、陽電子を放出し、さらに電子と結びつき、ガンマ線を放出する
• 身体の中から出てくるガンマ線をPET-CT装置で捉え、放射性医薬品の動きや分布をデータとして表すことで腫瘍や炎症部位を特定する検査である

メリット

• 小さな腫瘍（10mm）程度の診断が可能である
• 1度の検査で全身撮影されるため、思わぬ場所に発生した腫瘍も発見できる
• 腫瘍の進行度の診断、良性・悪性の判定が可能である
• CTを併用して同時に撮影することで診断の精度が増す
• 不快感や疼痛が少なく、安全性がある
• 副作用がほとんどない

デメリット

• 10mm以下の腫瘍は診断できない場合がある
• 腫瘍以外の疾患（炎症）などにも放射性医薬品集積するため、腫瘍の判断が困難な場合がある
• PETでの診断が困難ながんもある
  • 胃がん、肝細胞がん、胆道がん、尿管がん、前立腺がん、膀胱がん、白血病などは再発診断や遠隔転移には有効な場合があるが、原発巣の診断には不適であり、医師の判断を要する
• 血糖値が高い場合、正しい検査結果が得られない
• 検査前に筋肉を使う行動をすると、使用した筋肉に薬剤が取り込まれ、正しい検査結果が得られないこともある

看護のポイント

• 以下の事項について、患者に説明を行う

食事制限

• 検査前4～6時間は絶食となる
  ※糖分が含まれている食べ物（ガムや飴など）も摂取禁止であるが、糖分が含まれていない飲み物（お茶、ミネラルウォーターなど）は摂取可能である
• 前日の飲酒は控える

運動制限

• 前日から検査終了までの間、仕事や激しい運動や可能な限り避ける
• 当日は、長時間の歩行や会話、重い荷物を持つなども控える

その他

• 妊娠あるいは授乳中の場合は医師に申し出る
  ※胎児への影響、および授乳による乳児への影響があるため

注意点

• 血糖がコントロールできていない場合、正しい検査結果が得られない
  ※直前などの血糖値が高い場合、必ず担当医に報告する
• 糖尿病薬を内服あるいはインスリン注射を行っている場合は、担当医師と相談し検査終了まで使用中止とすることもある
• 補液パックの成分に糖分が混入されていないか確認する