耳からの出血がある患者のケアのポイント

耳からの出血がある患者のケアのポイント【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年9月8日
最終更新日:2013年9月8日
(変更日:2021年7月9日) ※

目的

  • 耳からの出血がある患者に適切なケアを行う

疾患の概要

  • 耳からの出血は、出血部位によって耳介、外耳道、鼓膜、中耳、内耳からの出血に分類される
  • 原因としては、炎症、腫瘍、外傷、医原性などが挙げられる
  • 耳出血が見られた場合、止血を図ることは重要だが、原因を把握した上で、的確な対応を行うことが、より重要である

各疾患別対応方法

耳介からの出血

  • 耳介は外側に突出している構造のため、外傷となりやすい
  • 後耳介動脈や浅側頭動脈などの栄養血管があるため、血流も豊富であり、軽度の外傷であっても出血が多くなる場合がある
  • 頻度として最も多いのは血液が表面に出ない皮下出血(耳介血腫)である
  • 耳介裂傷の場合、外部からの圧力が耳介に加わり、皮膚を損傷した状態であるが、耳介の皮膚は元々非常に薄く、わずかな圧力がかかっても、皮膚全層あるいは軟骨まで至る例もある
  • 感染が起こった場合、耳介軟骨膜炎となり、高度の耳介変形が起こる
  • 汚染組織の切除、消毒、創部の洗浄、抗生物質の投与などによって感染防止に努める
  • 耳介軟骨が露出した例では、ごく小さい範囲であれば保存療法で上皮化が望めるが、広範囲の場合には、皮弁による創の修復、植皮、楔状切除などが必要となる

外耳道からの出血

  • 耳かきによって起こる外傷性外耳道損傷が多い
  • 骨部外耳道は、皮下組織がほとんど存在していないために受傷しやすく、出血多量となることが多いが、時間の経過と共に自然止血することが多い
  • この場合、丁寧に凝血塊の除去を行い、外耳道や鼓膜を念入りに観察しながら、損傷部位の特定を行う
  • 局所の消毒や、状況に応じて抗生物質の投与を行うことにより感染防止に努める

鼓膜からの出血

  • 鼓膜出血において最も多いのは、耳かきによって起こる外傷性鼓膜穿孔であるが、時間の経過と共に自然止血することが多く、局所清掃を行い、出血部位を確認して感染防止に努める
  • 鼓膜に水疱が形成され、それが破綻した際に出血が見られるものに水疱性出血性鼓膜炎があり、ウイルス感染が疑われているが原因ははっきりとしていない
  • この場合、出血は少量であり、止血処置は特に不要であるが、感染防止に努める

中耳からの出血

  • 急性中耳炎が原因で起こるものが最も多く、膿血性の耳漏、漿液性血性が認められる
  • 出血は局所の清拭を行うことで止血は容易であり、抗生物質投与によって感染症に対しての治療を行う
  • 真珠腫性中耳炎や慢性中耳炎などでも、多くは感染による耳茸(ポリープ)からの出血がある
  • ポリープは陥凹縁あるいは穿孔に認められることが多く、これを鉗除することにより、すぐに止血される
  • 消炎を行うことができれば、再出血の恐れはない
  • 中耳の場合、先天性の高位頸静脈球に注意が必要であり、骨欠損を伴っているケースも少なくはない
  • 主症状としては、難聴や耳鳴があるが、不必要に鼓膜切開を行うと、大出血が起こり、止血が困難となる

内耳からの出血

  • 内耳からの出血は非常に少ないが、側頭骨骨折から鼓膜穿孔や外耳道裂傷を来たし、外耳道に出血してくる場合がある
  • 側頭部に強度の打僕があり、その後、顔面神経麻痺やめまいを来たし、更に髄液漏を伴ったような出血が見られた場合には、側頭骨骨折に伴う内耳出血が疑われるため、迅速にCT検査を行い、側頭骨骨折の有無を確認する必要がある
  • 多くの場合、出血は自然に止血されるが、髄液漏を伴った場合は髄液漏出を完全に止めることに苦労する例もある
  • 安静と抗生物質投与、脊髄ドレナージにより髄膜炎の予防に努める
  • 中耳腔に出血塊や髄液が認められても、切開部から髄液の漏出が止まらなくなる恐れがあるため、鼓膜切開は行ってはならない

看護のポイント

  • 耳介からの出血の場合、止血と清潔・感染予防につとめ、耳介軟骨膜炎の発生を予防する
  • 鼓膜および外耳道からの出血の場合、感染予防が非常に重要となるため、受傷直後の洗髪や入浴は控えるように指導する
  • 頭部打撲後の薄い血性の耳漏・顔面神経麻痺・めまいなどがみられる場合、側頭骨骨折の可能性があるため、安静とする
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