腹腔鏡手術の介助のポイント

腹腔鏡手術の介助のポイント【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年10月13日
最終更新日:2018年09月16日
(変更日:2013年12月6日) ※

目的

  • 手術の流れを理解し、適切な器械操作および手術介助ができる
  • 手術の経過を把握し、緊急の場合に備えることができる

手術の概要

  • 腹腔内に炭酸ガスを注入して腹腔内を広げ(気腹)、腹腔鏡を挿入して腹腔内の様子をテレビモニターに映しながら行う手術である
  • 利点として、傷が小さく、術後の疼痛が少なく、術後の回復が早い傾向にある
  • 欠点として、開腹手術より視野が狭く、炭酸ガスでの気腹による合併症のリスクがある
  • 外科では、胆石症・胃癌・大腸癌・虫垂炎などが適応
  • 婦人科では、良性卵巣腫瘍などが適応
  • 手術によっては、途中から5cm程度開腹し用手的に吻合や腫瘍摘出を行うことがある
  • 超音波凝固切開装置や内視鏡用自動縫合器を使用することがある

術前評価と患者の特徴

術前評価

  • 術前評価として、開腹手術の場合と同様に以下の検査を行う
    • 血液検査:感染症の確認、肝機能・腎機能・凝固能・耐糖能・貧血や栄養状態の評価を行い、必要な場合は輸血や栄養状態の改善を図る
    • CTスキャン:多臓器への浸潤、遠隔転移、リンパ節転移について評価する
    • その他:呼吸機能検査、胸腹部X線検査、負荷心電図、それぞれの疾患に応じた検査など

患者の特徴

  • 術後に、気腹のためのや横隔膜挙上による無気肺がおこることがある

  • 肥満により内臓脂肪が多い場合は、手術が難航する場合がある

手術の流れ

  1. 患者入室後、モニター症着
  2. 側臥位となり、硬膜外麻酔を施行する
  3. 仰臥位に体位固定し、全身麻酔を開始
  4. 膀胱留置ドレーン挿入、直腸温計挿入
  5. 消毒、ドレーピング
  6. さまざまなコードや気腹チューブなどが術野からおりてくるので、外回り看護師がテレビモニターや気腹装置などにつなぐ
  7. 執刀
  8. 1本目のトロッカーの挿入・固定
  9. 気腹開始
  10. 2本目以降のトロッカーの挿入・固定
  11. カメラで腹腔内を見ながら、ベッドをローテーションし良好な視野を得られるよう調整する
  12. それぞれの術式による手順を実施
  13. 腹腔内の洗浄、止血確認を行う
  14. ガーゼカウント、器械カウントを行う
    万が一、ガーゼ・器械・針・ドレーンの切れ端など、一つでもカウントが合わない場合は術者へ報告し、カウントが合うまで検索を行う
  15. ドレーン留置
    ※ドレーンの留置本数およびドレーンの先端部位を術者へ確認し、病室看護師へ申し送る
  16. 閉腹
    ※トータルでの出血量をカウントし、麻酔科医・術者へ報告する
  17. 閉創後、ドレッシング
  18. 麻酔覚醒
  19. 退室

看護のポイント

麻酔

  • 全身麻酔(気管内挿管)
  • 硬膜外麻酔
    ※抗凝固薬内服の既往なあるなど、出血のリスクが高い患者の場合は、状況により判断される

体位

  • 仰臥位や砕石位など疾患により異なる
  • テレビモニターの配置やローテーションできるベッドの選択を考慮する

トラブルへの対応(器械出し看護師)

  • 出血や癒着による急な開腹手術への変更に備えておく
出血などにより直ちに開腹しなければいけない場合ある

トラブルへの対応(外回り看護師)

  • 術中トラブルによる開腹は、出血によることが多いため、開腹手術の器械や物品の準備をしておき、緊急時にスムーズに開腹へ移行できるようにする
  • 気腹による高CO2血症や横隔膜挙上、気道内圧上昇に注意する

術式変更の準備

  • それぞれの疾患の術式変更時に備えて器械を準備しておく

術後のドレーン管理

  • 移動時にドレーンなどの付属物が抜去されないよう注意する

病室への申し送り事項

  • 術式、トータルでの出血量、ドレーンの本数や留意部位など
  • 麻酔方法、現在確保されている輸液ルートの本数および部位など
  • 術中に使用した輸血や血液製剤など
  • 麻酔中に起こったバイタルサインの変化や、それに対して使用した薬剤の量や最終使用時刻など
  • 気腹による合併症の状況や今後観察しうる可能性など
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