目的
- 気管吸引の基礎知識について理解を深め、適切なケアを行う
気管吸引カテーテル選択のポイント
- 吸引カテーテルの外周はFr、外径はmmで表される
- 吸引管との接続口(アダプター)の色は、サイズごとに決まっている
- 例:14Frの吸引カテーテルは、アダプターが緑、外径が4.67mm
留置されている気管切開カニューレや気管チューブの内側の直径(内径)を基準とし、吸引カテーテルの外側の直径(外径)は、その1/2以下になるように選択する
気管吸引カテーテルの挿入目安
挿入する部位から気管分岐部までの解剖学的構造を理解すること
- カテーテルを必要以上に挿入することは、苦痛の増強や粘膜損傷を引き起こす要因となる
- 挿管チューブあるいは気管切開チューブのサイズを確認し、あらかじめ吸引チューブの挿入の目安を決めておく
鼻腔挿管中におけるカテーテル挿入の長さの目安
- 男性:24~28cm(挿管チューブの長さ)+2~3cm
- 女性:23~27cm(挿管チューブの長さ)+2~3cm
経口挿管におけるカテーテル挿入の長さの目安
- 男性:21~23cm(挿管チューブの長さ)+2~3cm
- 女性:20~22cm(挿管チューブの長さ)+2~3cm
気管切開におけるカテーテル挿入の長さの目安
吸引カテーテルに目盛りがない場合:気管分岐部に先端があたる部分まで慎重に挿入し、そこから1cm程度、抜いた位置を目安とする
気管吸引により考えられる合併症
気管支への影響
気管支粘膜の損傷
- 原因
- 吸引カテーテルによる気道粘膜の刺激
- 咳嗽や体動、気管チューブの不適切な固定による気管チューブの気管壁との接触
- 予防
- 吸引圧を適切な圧にする
- 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする
- 気管吸引を行っている間は、吸引圧の変化に注意する
- 吸引カテーテルが気管粘膜に接触すると、吸引圧が上昇する
- この場合は、すぐに吸引圧を解除する
気管支攣縮
- 原因
- 吸引による機械的刺激が、気道平滑筋の収縮を誘発する
- 予防
- 愛護的な吸引を行う
- 吸引圧を適切な圧にする
- 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする
交感神経・副交感神経への影響
不整脈
- 原因
- 交換神経系の刺激による頻脈
- 副交感神経の刺激による徐脈(迷走神経反射)
- 吸引によって生じる低酸素血症
致死的不整脈により心停止を起こす場合もあるため、注意が必要
- 予防
- 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする
- 吸引時間は最低限とする
血圧変動
- 原因
- 交換神経系の刺激による血圧上昇
- 副交感神経の刺激による徐脈(迷走神経反射)
- 予防
- 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする
- 吸引時間は最低限とする
頭蓋内圧亢進
- 原因
- 交換神経系の刺激による脳の血流量が増加
- 脳血管の自動調節能を超えると、頭蓋内圧が上昇する
- 予防
-
- 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする
- 吸引時間は最低限とする
換気能への影響
低酸素血症
無気肺
- 原因
- 予防
- 吸引カテーテルの挿入が、気管分岐部を越えないようにする
- 吸引時間は最低限とする
気道感染
- 原因
- 不衛生な手技などによる感染
- 医療従事者を介して他の患者に感染する可能性もある
- 予防
- 無菌操作で吸引を行う
- 手洗い、消毒を徹底し、標準予防策を実施する
合併症を防止するには、適切な吸引圧、短い吸引時間、愛護的な操作が必要
吸引中に異常が認められた場合、速やかに吸引を中止し、原因を検索する
不整脈や低酸素血症が疑われたら、すぐに医師に報告する
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