吸引の実際 2 鼻腔内の吸引

吸引の実際 2 鼻腔内の吸引【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年6月19日
最終更新日:2018年05月26日
(変更日:2023年5月19日) ※

目的

  • 鼻腔内の吸引について理解を深め、適切なケアを行う

必要物品・準備

  • 個人防護具(エプロン、マスク、ゴーグル、未滅菌手袋)
  • 吸引セット(吸引器、吸引瓶、吸引管)
  • 吸引用カテーテル(一般的に、成人の場合は12~14Fr)
  • 水道水(通水用)
  • 聴診器
  • パルスオキシメーター
グローブを滅菌と未滅菌どちらを使用するかについてはCDCガイドラインでも未解決である。(2017年時点)施設のマニュアルに従い、清潔に留意して実施を。

 

方法

  1. 患者に吸引を行う必要性を説明する
    • 吸引中、患者は発声困難となる
    • 苦痛を感じた時に吸引を中断する合図を事前に決めておくと良い
  2. 衛生学的手洗い(手指消毒)を行う
  3. 個人防護具を身に着ける(感染予防目的)
  4. 吸引器のスイッチを入れ、吸引圧を設定する
    • 一般的に、成人の吸引圧は80~120mmHg
    • 吸引管を指で塞ぎ、吸引圧がかかることを確認する
  5. 吸引カテーテルの外装を開き、接続部を露出する
  6. 吸引圧がかからないよう、吸引圧調節口を開放したまま、吸引管と吸引カテーテルを接続する
    • 吸引圧調節口が無い場合は、吸引カテーテルを根元で折る
  7. 患者に声掛けをする
  8. 患者の呼吸状態を観察しながら、鼻腔内に吸引カテーテルを挿入する
    • 挿入が難しい場合は、無理に挿入せず、反対側の鼻腔から挿入する
  9. 吸引カテーテルを指でこよりを作るように回しながら引き抜き、短時間で吸引する
    • 一回につき10秒以内を目安とする
    • 圧を一点に集中させない目的でカテーテルをこよりを作るように回していく
  10. 吸引カテーテルを通水させて吸引管の汚れを流す
    • 分泌物の粘稠度が高い場合は、数回繰り返して汚れを流す
  11. 吸引カテーテルの先端を手に取り、手の中にまとめた状態で、吸引管から外す
  12. 手袋内に吸引カテーテルが収まるよう、手袋を裏返すようにはずす
    • 使用した吸引カテーテルは、感染性廃棄物として廃棄する
  13. 吸引器のスイッチを切り、吸引管を所定の位置に戻す
  14. 個人防護具を外し、廃棄してから衛生的手洗い(手指消毒)を行う
  15. 患者の体位を整え、呼吸状態を再度確認する
  16. 問題なければ終了した旨を伝える
吸引カテーテルを挿入し過ぎると、苦痛を増強させるだけでなく、粘膜損傷を引き起こす要因となるため、予め挿入長さの目安を決めておく
鼻腔吸引の挿入長の目安:15~20cm

アセスメント

  • 吸引前、吸引後に、適切なアセスメントを行う
  • 痰の性状や量、呼吸状態の変化の有無など、観察したことを記録として残す

吸引前

  • 吸引の適応であるか
    • 患者の状態:自力で痰の喀出ができない
    • 患者の訴え:吸引の希望がある

視診

  • 痰や唾液の口腔内への貯留、湿性嗄声、浅速呼吸、呼吸数増加などがあるか

聴診

  • 頚部の副雑音、経皮的酸素飽和度(SpO2)の低下があるか
鼻腔吸引では、鼻腔あるいは咽頭に貯留した痰のみ吸引できるため、体位ドレナージなどの排痰援助により、咽頭付近まで痰を誘導してから吸引する
鼻腔吸引は盲目的に施行するため、口腔吸引よりも低陰圧(80~120mmHg)に設定する
嘔吐のリスクが高い時間帯(食後など)の吸引は避けるなど、施行時間帯についても考慮する

吸引後

  • 呼吸状態、循環動態に異常はないか
    • 痰の性状と量、呼吸パターン、呼吸回数、SpO2、モニターの変化など
  • 無呼吸になっていないか
    • 呼吸回数の観察を30秒以上行う

注意点

  • 吸引圧のかけすぎ、吸引中の吸引カテーテルの出し入れは、鼻腔粘膜損傷の原因となる
  • 吸引カテーテルは不潔にならないように包装から取り出す
  • 鼻腔吸引は侵襲度が高い手技のため、実施は必要最低限とする
  • 挿入時は、鼻孔の上部からやや下向き加減でまっすぐに挿入する
  • 再吸引の必要性について再度アセスメントを行う
    • 再吸引は、呼吸や循環が十分に回復したことを確認してから行う
  • 通水後の水は不潔であるため、カテーテルの再利用は避ける
  • こまめに通水用の水を交換するなど、水の管理も徹底する
本コンテンツの情報は看護師監修のもと、看護師の調査、知見、ページ公開時の情報などに基づき記述されたものですが、正確性や安全性を保証するものでもありません。
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