用語解説
用語の読み
えふ・でぃー・じぃごうせいそうち
用語の意味
ブドウ糖は生命活動を維持するための「細胞のエネルギー源」として使用されます。そのためそれぞれの臓器を構成している細胞の一つひとつには、ブドウ糖が取り込まれていきます。
FDG-PET検査はこのようなブドウ糖の化学構造に類似したFDGという薬品を使用した画像診断検査です。FDGはブドウ糖の構造によく似ているため、点滴して体内に入れることによって、ブドウ糖と同じように細胞に取り込まれていきます。またこのFDGはブドウ糖にはない「フッ素」を持っています。このフッ素は放射性同位元素といい、放射線を放出させる働きを持つため、PET装置によってFDGの体内の分布を読み取ることが出来るのです。FDGの体内での分布を読み取ることで、ブドウ糖が大量に集中しやすい脳や心筋の働きについて調べることが出来ます。また、がん細胞は正常細胞に比べて3～8倍のブドウ糖を取り込む性質を持つ為、FDG-PET検査ではがんの診断に有効な検査法として知られています。
FDGは普通の薬剤とは違い、大変半減期（有効期限）が短いため大量生産して保存しておくことはできません。そのためFDG-PET検査を実施できる施設では、毎日専用の施設にある特殊な医療機器によって製造されています。製造されたFDGは、純度試験や無菌試験などの厳しい検査をクリアしてやっと検査に使用することが出来るようになります。このFDGを作り出す為の医療機器がFDG合成装置です。
現在我が国ではFDG合成装置の使用目的として、「悪性腫瘍におけるグルコース代謝能評価」「心筋のグルコース代謝能評価」「てんかん発作焦点の異常領域の確認」の3つの項目だけしか認められてはいません。この状況を受けて、厚生労働省の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」は2011年7月7日に行われた会合で、新たな使用目的として「アルツハイマー型認知症と非アルツハイマー型認知症の診断」と「不明熱の診断」の2項目を追加する方向を示しています。アルツハイマー型認知症は進行性の障害であり、早期に薬物療法等の適切な治療が開始されることが重要ですが、従来の臨床所見による診断方法では見極めが難しいということが指摘されてきました。また、現在不明熱の診断は原因病巣を特定するためのガリウムシンチという画像診断法が一般的ですが、ガリウムシンチの解像度が低いことが問題視されています。
看護師・椿（つばき）の一言コメント
FDGはPET検査時（陽電子放射断層撮影で癌の早期発見に有効な検査）に人体に投与される薬剤の事で、正確には18FーFDG(フルオロデオキシグルコース）の事です。
簡単に…グルコースに放射能を出す成分が組み込まれた物です（解りにくいか？？）
PET（最近流行）時に使用されるこのFDGはとても寿命が短い為に毎日各施設で作られる必要があります。
その際に使用されるのがこの「FDG合成装置」と呼ばれるものです。
簡単に製造過程をご説明するとサイクロトロンと呼ばれる装置⇒放射能を持った原子を製造⇒出来たポジトロン核種を化合物に標識して目的の薬剤を作ります。
出来た薬剤は様々な検査により振るい分けされ、検査に合格した薬剤のみが実際にPET検査に使用されるわけです。
最近は医療技術が進んだとはいえ、ある程度進行した癌しか検査で発見出来ない現状がありましたが…このPET検査の登場により、より早期癌を発見出来ると言われています（希望の星！！）
しかし、まだまだ検査料金は高く（保険が適用されるとは言ったものの…）10万円を超える検費用が発生します。
この検査に使用する薬剤が保存が出来る様になればより検査料金はもっと安くなるのでしょうが…現時点ではまだまだ先の様です。
