

助産師・・・と聞くと、何を想像しますか?産科病棟に居る、子供を取り上げてもらった、母乳外来でお世話になった、などなど。妊娠・出産を経験する時には、必ずお世話になる職業です。
助産師も保健師助産師看護師法(以下、保助看法)で資格や業務範囲が決められています。保助看法には「助産師になろうとする者は、助産師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない」とあります。つまり、助産師の資格があれば、看護師の仕事をしても良いのです。
助産師の仕事の範囲は、保助看法の中では一番多く書かれています。
・自ら分娩の介助や死胎の検案をしないで出生証明書・死産証書・死体検案書を交付してはいけない → つまり、自ら分娩の介助や死胎の検案をすれば、交付できる
・妊娠4ヶ月以上の死産児を検案して異常を認めたら、24時間以内に警察署に届ける → つまり、妊娠4ヶ月以上だと一人の人として認められることとなり、単に病死(妊娠経過上の異常)となれば別だが、事件?事故?が疑われる場合は警察に届けなくてはいけないらしい
・分娩の介助をしたら助産録に記録する、その様式は厚労省が定めるものとし、5年間は保管する → 厚労省が定める特別の様式への記録義務は助産師だけ、保健師と看護師は保助看法上では規定はない
ここでいう分娩の介助には、分娩経過中の胎児心音確認、陣痛が始まった時の子宮口の確認、分娩台への移送、分娩時の胎児の娩出介助、臍帯の切断が含まれます。しかしこれも正常分娩の場合のみ。例えば胎児心音の低下や、子宮口が開かない、微弱陣痛などがあれば、医師を呼ばなくてはいけません。日本の助産師は個人で助産所を開業することもできますが、正常な妊娠経過をたどり、分娩経過中にも異常がない場合だけ、最後まで単独で対応することができます。分娩が始まるまで正常な経過を辿っていたとしても、分娩時に異常があれば医師を呼ぶ必要があるのです。
助産師の歴史は古く、江戸時代にはすでに「産婆」という職業がありました。呼び名は違えど、室町時代の書物にも同じような職業が記されているようです。ちなみに、江戸時代の大名行列は通り過ぎるまでひれ伏して待たねばなりませんでしたが、産婆さんだけは別だったという説もあります。お産は緊急事態という認識があったようですね。その後も戦後に助産師となりましたが、数少ない女性の専門職、キャリアウーマンの先駆け的存在だったんですね。
ところで、母子手帳には分娩の介助をした助産師の名前が記録されます。アナタが助産師となり分娩を介助すれば、そのベビーちゃんの記録には一生アナタの名前が刻まれるのです。また、全国の助産師就業者数はおよそ3万人強です。一番多いのはやはり病院、次に診療所(おそらく産科クリニック)ですが、全体の5%、約1,800人は助産所で活躍しています。全国的に出産できる病院が減っているこのご時世、身近の助産所は非常にありがたい存在かもしれませんね。