これから訪問看護師になろうと考えている方へ、知識として少し頭に入れておくと良いお話をしていきます。実際には就職してから学習する事になると思いますので、余裕があれば是非読んでみてください。
在宅感染予防について
在宅においても感染予防をすることは、病状の悪化による再入院や二次感染を防ぐためにも大切なことです。しかし病院と同様に対策を取ることは困難でコストもかかります。
在宅での感染予防3つのポイント
スタンダードプリコーションの徹底
感染症の有無に関わらず、全ての療養者のケアに用いる予防策です。擦式手指消毒薬や手袋・ガウン・マスクなどは常に持ち歩き、必要に応じて使用できるように準備しておきます。
訪問看護師などの関連職種による感染源の媒介防止
在宅では他の患者さんはいないため、サービス関連職種やケアに用いる器具などを介しての感染が考えられます。在宅の特性上、1日に何軒か訪問するため看護師が感染の媒介となるリスクが高いです。
特に接触感染に注意する必要があります。ケア前後の手洗いや使用した物品は消毒するなど、療養者に関わる全てのサービス関連職種が統一した予防策を取れることが重要です。
療養者・家族の生活の中で必要最低限の予防策を継続できる事
特にIVHなどのカテーテル挿入中や、免疫力が低下している療養者は感染するリスクが高いです。在宅ではどの程度の感染予防策が必要なのか、療養者・家族に正しい情報提供をしていく事が求められます。
また、予防策を継続できるという事が重要になりますので、コスト面も考慮した方法の提案が必要です。
往診と訪問診療の違いについて
医療の在宅への移行が推進され、本来病院で受けられた医療サービスを自宅でも受けられるのが在宅医療です。その中でも往診と訪問診療という言葉を聞くと思います。どちらも自宅で医師に診察してもらう点では変わりありませんが、全く異なるサービスになります。
往診とは
往診については昔からあるもので、通院できない患者さんの要望により医師がその都度診療を行う事です。急な病状の変化があった時など、普段から診てもらっているかかりつけ医に診察を依頼するもので、困った時の臨時の手段です。
現状の往診体制では継続的に診察する訳ではなく状態悪化時の対応になるため、すぐに入院という場合も多いです。
訪問診療とは
それと比較し訪問診療は療養者の状態に応じ1~2週間に1度の割合で、定期的・計画的に訪問し診察・治療、処方などを行います。
急変時は緊急訪問をしたり入院手配をするなど臨機応変に対応でき、多くのところが「第一のかかりつけ医」として24時間体制で在宅療養のサポートを受けられるのが訪問診療のメリットです。最低でも月に2回の訪問診療を行うため、病状悪化の予防や在宅での長期療養が可能になります。
実際に訪問診療を行っている機関としては、在宅支援療養所と言われるところがあります。平成18年に在宅医療推進のため、24時間365日体制での診療や訪問看護ができる診療所の制度が新設されました。
年々増加傾向にあり、訪問看護ステーションもこのような機関と連携し、療養者・家族が安心して在宅生活を送れるようなサポート体制づくりが求められています。
おわりに
在宅医療が推進される中、医療・看護・介護においても人材不足により十分なサポート体制が確立されていないのが現状です。少しでも訪問看護や在宅医療に関心を持ち、この道に進む方が増え、在宅においても手厚いケアが充実する日が来る事を願います。