就職活動中の面接だけでなく、現在の職場でも年度始めの面接などで「どのような看護師になりたいか」という理想の看護師像を質問をされる機会が多いと思います。
今回は、面接や志望理由でこのような看護観を質問をされたときの良回答について考えていきたいと思います。
面接で看護観を上手に伝えるために
看護観とは「看護師として大事にしていること」です。
皆さんの看護への想いと言い換えてもいいと思いますが、どんなにいいものを胸に秘めていても、伝え方次第で受け手(面接官)の印象が変わるものです。
あなたの気持ちをどう表現したらいいのか、以下の参考例で見てみましょう。
※すぐに回答の作り方を知りたい方はこちらからご覧いただけます。
患者の個別性に沿った看護・ケアを提供したい
病院によっては、ルーチンでケアや処置などを行うところもあり、そのような場所で働いていた方にとっては「個別性に沿った看護」について学びや経験が不足しているな…と思うことも多くあると思います。
個別性に目を向けるということは患者の病気だけではなく、患者の持つ背景までも視野に入れるということです。背景とは家族関係、学生か社会人か、仕事の内容と現役職、経済面、キーパーソン、趣味など患者の病気以外の部分です。そこを理解しなければ「個別性に沿った看護」は到底できません。
そうでなくとも、忙しい職場で働いていると忘れてしまいがちかもしれません。
そのような場合には、面接時に正直に事情を説明して「個別性に沿った看護」を行いたいと伝えていきましょう。あなたの前向きな気持ちを組んでくれると思いますよ。
しかし、大事なのは「個別性」とひとことで言っても、どのように個別性を考え、実践していくのかが伝わらないと、テンプレートの回答のように捉えられてしまいます。
この看護観自体も個別性が必要ですね。
患者の状態をアセスメントできる看護師になりたい
看護師にとって患者の状態をアセスメントすることは絶対不可欠なことです。今ある患者さんの症状からどのようなことが起きているか、今後どうする必要があるかを常に考えなくてはなりません。
患者や家族からの質問や相談に対して的確に答え、アセスメントできる看護師は患者からの信頼が絶大です。
しかし、自身の経験する科によって勉強の幅は違い、同様にアセスメント能力についても個人個人、成長の幅は違います。幅広い知識と熟練した技術を習得してこそ、アセスメント能力に必要な観察力が身に付くことを忘れてはなりません。
「まだまだアセスメント能力が足りないな…」と思う際には、前向きにアセスメント能力について学んでいきたいという気持ちを伝えていきましょう。
ここでは、なぜ自分はアセスメント能力が足りないと思ったかの部分を明確にすることです。
ワークライフバランスのとれた看護師になりたい
看護師のワークライフバランスは、どちらかというと仕事に偏りがちです。
しかし、仕事ばかりでは気持ちも身体も病んでしまい看護師を続けられない…という深刻なケースもあるというのが実情です。
そのような状況を予防するためにも、ワークライフバランスのとれた看護師になることは大切です。女性は仕事と家庭の両立をしなければいけません。これは堂々と伝えていいのです。
相手側には、臆せずきちんと伝えていきましょう。
注意する点としては、仕事を疎かにするわけではないことを念押ししてください。
患者に寄り添った看護を行える看護師になりたい
患者に寄り添った看護。
看護の基本ともいえる役割でもありますが、では実際にどうするのか?というとなかなか難しいところもあるかもしれません。しかし「寄り添うかたち」はそれぞれの気持ちを伝えればいいと思います。
「患者の立場に立つ」ことや「患者とともにたたかう」ということでも良いのです。
あなたにとっての「寄り添う看護」のかたちを伝えていきましょう。
常に笑顔を絶やさない看護師になりたい
看護師という仕事は人の命を扱う仕事。人の命に対する責任感・時間で行う業務もこなしながら、ケアを行ったりと…なかなか仕事はハードで緊張感が漂い、空気が張り詰めることもあります。
そんな中、仕事のプレッシャーで表情が険しくなってしまっては患者さんに安心感を与えることは出来ません。またケースバイケースで笑顔の度合いを変える必要があります。「笑顔を絶やさない看護師」を維持するということは簡単なようで難しい。
でも、笑顔でいることは患者さんと関わるうえではとても大切なことのひとつです。
優しく穏やかな対応ができる看護師になりたい
多くの患者は「看護師さんは忙しそうだから声をかけにくい」と思い、気を遣って遠慮がちに声掛けしていることが多々見受けられます。
そのような中でも必ずと言って良い程、患者から声をかけられ情報を収集することが上手な看護師がいます。あなたの周りにもいませんか?これは看護に限ったことではないかもしれません。
これは、常に優しく穏やかな人には声をかけやすいし安心感があるとの共通認識があるからです。
ただ、看護の場面では急変時や仕事の慌ただしさに忙殺されて、優しく穏やかな対応が後手に回っていることが多いかと思います。
一度、原点に立ち返り、何故そのような対応が看護に必要なのか考えてみましょう。
看護観を上手に伝えるための話の流れ
しっかりした看護観があっても、相手に伝わらなければ意味がありません。
相手側にもわかりやすい話の流れとしては、以下のようなパターンがあります。
結論 |
↓ |
理由 |
↓ |
エピソード |
↓ |
学び・気づき |
↓ |
反省点 |
↓ |
課題・目標・今後の抱負 |
この流れに沿って、あなたの看護観を最初に伝えてみると
- 私の想いは「○○な看護師になりたい」
- なぜなら、このような体験やエピソードがある
- ここでこう思った/○○を学んだ
- 将来的にはもっと○○していきたい
と、なります。
最初に結論を言うことで、
- 話を作りやすい
- だから自分が話しやすい
- 相手も聞きやすい
- だから相手も理解しやすい
といったメリットがあります。この流れはオススメです。
どのような看護師になりたいか まとめ
いかがでしたか?
「どのような看護師になりたいか」という質問に対して、漠然と考えてしまうこともあるかもしれませんが、ここでお話ししたように「これまでの自分の経験や知識」のほかに「これから何を目標としたいか」をまずは考えてみてください。自分なりの目標が見えてくると思います。
看護の世界に入る入口から看護観が終始変わらない場合もありますが、多くは経験を積む度に新たな看護観が見えてくることが多いと思います。
今回の看護観には大きく3つの分類があります。
- 一つ目は「アセスメント」という幅広い知識と熟練した技術を磨きたい看護観。
- 二つ目は「ワークライフバランス」という看護師として長きにわたり働きたい看護観。
- 三つ目は「個別性に沿った」「寄り添った」「笑顔を絶やさない」「優しく穏やかな対応」という患者目線に立った看護観。
どの看護観にも正解不正解はありません。むしろどの看護観も患者、看護師にとってプラスに働くのではないでしょうか。
今後もこれらの看護観全ての基本である「人と接する仕事である」ことを忘れずに働いてみましょう。
それでも、転職を考えている看護師の中には、「自分で考えてみたのだけれど、ほんとうに面接で通用するのか不安」という方もいるかもしれません。
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