看護師の求人情報を見ていると新規オープンの病院という求人がありますよね。
新規オープンの病院とはどんな環境なのでしょうか。
新規立ち上げに関わった看護師さんのエピソードをもとに詳しく紹介していきます。
看護師Oさん 循環器内科病棟 立ち上げエピソード
これまで私は循環器内科と心臓血管外科に携わり、大学病院で数年経験を積んだ後、中規模の病院への転職を考え始めていました。
その時に知り合いの循環器内科、主に心臓カテーテルの治療を行っていた医師から、ある病院に心臓カテーテル室を設置し、循環器内科病棟を立ち上げるという話をききました。
その後、循環器科に長く勤務していた私に協力依頼があり、ともに転職することになりました。
具体的な立ち上げの作業
心臓カテーテル班(主に放射線科)
専門的な処置であるため、担当する医師とともに働いてきたスタッフも数人転職してきました。そのスタッフを中心に物品の配置、シフトの調整、緊急時のスタッフの召集マニュアル、検査、処置マニュアルの作成などを行いました。そしてスタッフや関係者に指導、オリエンテーションを行いました。
病棟班
・検査、処置のマニュアル作成 (主に心臓カテーテル)
ここでのマニュアルとは、クリティカルパスです。
経験者の実用していたパスやマニュアルをベースに、実際の業務に組み込めるかを検討し、修正や調整を行いました。
例えば、カテーテル当日の点滴に関する点。
務めていた病棟は、循環器科だけでなく、腎臓内科、消化器内科、眼科の混合病棟であり、それぞれの処置やケアがたくさんありました。
そこに、時間指定の業務を組み込むことは、看護師の負担であり、事故のリスクを増加させることになります。
医師と相談した結果、点滴開始時間を他科の業務に重ならないように統一しました。
他にも、日勤、夜勤の引き継ぎ時の業務整理、いかに事故を回避できるか、簡潔かつ要点を見落とさないようにパスづくりを行いました。
実施してみると、予想していたより多重業務に陥るところや余裕ができるところがあり、数ヶ月は『 実施 → 評価 → 見直し 』を繰り返しました。
・スタッフ指導
循環器看護の経験がないスタッフからは、不安や不満の声を多く聞きました。
主に心電図が読めない、何を観察すればいいのかわからない、病態や治療がわからない、医師の指示が理解できないなどでした。
ゆっくり勉強すればいいですよ、と言いたいところですが、循環器科の患者がどんどん入院して、時には急変や容態悪化も起こり、やはりこのままではいけないとさらに焦ります。
心臓疾患の参考書や心電図の読解の参考書などを購入して、一所懸命勉強するスタッフもいましたが、それでも時間の経過と身につく知識や技術は追いつかない状態でした。
経験のある看護師は、疑問に対して経験年数にかかわらず、丁寧に説明しました。また、アンケートをとってどのような不安があるのかを聞き、勉強会を全員が受けれるように数回に分けて実施したり、医師からの講習会を開催するなども行いました。
苦労したこと
他科との混合病棟だったので、それぞれの医師の動きに合わせて処置の介助や指示受け、業務の重複を減らすことに苦労しました。
また、看護師の知識と技術の習得もなかなか評価しにくい部分なので、どのようなサポートを継続していけばよいのか、などに悩みました。
やってみて感じたこと
実際、病棟を立ち上げに関わって感じたことは、やはり中心になるスタッフが業務を整理して、準備段階で起こりうるトラブルにも具体的な対策が立てられた状態までもってくることです。ここには医師との連携も必要で、業務整理や問題発生時の対応には医師の理解と協力が何より大切です。
中心看護師と医師が、他のスタッフをしっかり引っ張っていく意識をもち、やはり看護の楽しさ、うまくいったときの達成をスタッフみんなで評価しあうことで、スタートからよい結果が生まれるのだと思います。
新規病棟立ち上げにあたってのアドバイス
新しいことを始めるにあたり、理想やこだわりを持っていると思います。
けれど、実際取り組み始めると、うまくいかないことが本当に沢山起こり、精神的に辛く追い込まれる事も出てくると思います。
その時には 一旦理想やこだわりを置いて、現実的に最も実現可能で、経験の少ないスタッフが動きやすい方法を優先して考えてみることです。
理想に近づけるためには、どちらにしても信頼できる、志の高いスタッフの協力は不可欠です。今いるスタッフが、のちに質の高い看護を一緒に目指すようになれば、病棟自体が少しずつ成長していけると思いますよ。
まずはリスクを回避し、患者の安全を確保することが第一!です。
おわりに
新規オープンの病院について、参考になりましたか?病院の立ち上げは苦労が多いようですが、それを上回る大きなやりがいがあるようですね。
新規オープンの病院への転職は、こちらの転職サイトを利用して情報収集をすることをおすすめします。