2014年現在、1804名の感染管理認定看護師が登録されており、その専門知識を基盤に各施設の状況に合った感染管理プログラムを構築するため日々貢献しています。
今回はそんな感染管理認定看護師について調べてみましたよ!
感染管理認定看護師とは?
感染管理に関するさまざまな専門的知識を身につけ、患者だけでなく医療者も含めた感染予防のための取り組みを行う、日本看護協会の認定を受けたエキスパートです。
感染管理認定看護師の活躍
感染管理認定看護師の役割については以下のように定義されています。
- 医療関連感染サーベイランスの実践
- 各施設の状況の評価と感染予防・管理システムの構築
サーベイランスとは「調査、監視」の意味で、院内で起こった感染症の発生状況を調査、集計し院内感染予防に役立てるシステムのことをいいます。
具体的には院内発生の感染症の発生状況を調査し、感染予防と感染拡大防止のための対策を講じます。感染症が発生した際の指示系統を明確にしたり、各部署への教育も行います。
感染防止対策加算(平成24年の診療報酬改定に伴う新しい加算項目)
平成24年の診療報酬改定に伴い、医療安全対策加算の中に組み込まれていた感染防止対策加算が独立し、新しい加算項目として設定されました。
この加算のための条件として、
- 専任の院内感染管理者が配置されており、感染防止に係る部門を設置していること。
- 感染症対策について所定の経験年数を満たすスタッフによる感染防止対策チームを組織し、感染防止に係る日常業務を行うこと。
これらの項目を満たす必要があり、感染管理認定看護師はその中心的役割を担います。
感染管理認定を受けた場合の待遇については、まだまだ施設により差があるようです。
しかし、今回の診療報酬改定で感染管理に対する評価は過去最高となったことから、今後は感染管理認定看護師への期待もさらに高まっていくことが予想されます。
感染管理認定看護師になるには
他の認定看護師同様、
- 看護師免許取得後の実務経験が通算5年以上あること
- うち3年以上は認定看護分野の実務研修があること
が条件となります。
認定看護師教育機関にて約6カ月の課程を修了し、認定審査(筆記試験)に合格すれば、感染管理認定看護師として登録ができます。
登録後は5年ごとに更新となり、その際は看護実践と自己研鑚の実績についてまとめ、提出し書類審査に合格する必要があります。
感染管理認定看護師における教育機関は、他の認定看護師に比べ多い方ですが、それでも全国で12か所、受講定員は310名(2014年度)という狭き門という状況です。
感染管理認定看護師 育成カリキュラム
カリキュラム例
■共通科目(120時間)
看護管理、リーダーシップ、看護倫理、文献検索・文献講読、情報管理、指導、相談、臨床薬理学など
■専門基礎科目(120時間)
感染管理学、疫学と統計学、微生物・感染症学、医療管理学など
■専門科目(120時間)
- 医療関連感染サーベイランス
サーベイランスの実践に求められる知識と能力
疫学、統計学の知識と統計処理能力 - 感染防止技術
感染防止対策の計画立案、導入、評価、改訂に求められる知識と能力
疫学・統計学の知識に基づき効果的な感染防止対策を選択する能力 - 職業感染管理
針刺しや空気感染を含む職業感染防止対策を立案、実践、評価、改訂 - 感染管理指導
感染予防・管理に関する指導実践 - 感染管理相談
多職種との協働による感染予防・管理の相談システムを構築 - ファシリティ・マネジメント、洗浄・消毒・滅菌
■演習(90時間)
■臨地実習(180時間)
などなど、総時間数630時間のカリキュラムが組まれており、これ以外にレポートも盛りだくさんで、「人生で一番勉強した!」と話す方も多いです。
※詳しくは 感染管理 認定看護師教育課程 | 日本看護協会 のページをご覧ください。
おわりに
感染管理認定看護師は超急性期から在宅まで、また患者、家族、そして医療者と、医療に関わるすべての人を感染源から守ることを使命としています。
その道は決して容易いものではありませんが、これだけ幅広い世界で活躍できる認定看護師は他に類をみないと思います。ぜひチャレンジしてみては?