東日本大震災から4年。あの日の教訓は今も多くの医療機関に受け継がれています。
ニュースを見ながら「ナースとして、自分にできることはないか」と考えた方も多いと思います。
でも、具体的に何ができるかわからない…
今回は、そんな思いを形にできる災害支援ナースについて紹介します。
災害支援ナースとは?
1995年に発生した阪神・淡路大震災の経験から誕生した、災害時に被災地へ派遣される応援ナースです。
日本看護協会が認定する制度で、一定の教育過程を修了したのち各都道府県の看護協会に災害支援ナースとして登録されます。
大規模災害発生時は、災害時支援ネットワークシステムに基づき被災地の看護協会の応援要請に対して日本看護協会が派遣調整を行います。
ちょっと古いデータですが、2011年時点での登録者数は全国で6182名。
現在も全国各地で毎年多くの災害支援ナースが誕生しています。
災害支援ナースの活動
災害支援ナースは、災害派遣医療チーム(DMAT)とは違い、必ずしも災害医療の最前線に派遣されるわけではありません。
しかし、その活動内容は幅広く、医療機関、避難所、介護施設などで被災者の健康管理をはじめ、支援物資の供給、感染症対策、被災者のこころのケアにあたります。
東日本大震災では、延べ3770名のナースが被災地へ派遣され、避難所の環境整備、支援物資の運搬、被災者の健康管理などの活動を行いました。
活動時期は災害発生後3日以降~1カ月以内。
一人のナースが現地へ派遣される期間は、移動期間も含めて原則3泊4日です。
災害支援ナースになるには
登録条件
登録には、以下の4つの条件が必要です。
- 実務経験年数が5年以上あること
- 各都道府県看護協会の会員であること
: 災害支援ナース講習については看護協会会員でなくても受講できます。しかし災害支援ナースとして認定を受けるためには、原則会員であることが条件となっているようです。
※協会に問い合わせたところ、これは日本看護協会が契約する傷害保険をかけるなど、身分保障を行うためだそうです。 - 所属施設がある場合には、登録に関する所属長の承諾があること
: 現地派遣は3泊4日ですから、不在となる期間の勤務を調整するために他のスタッフの協力を得なくてはなりません。
人員が厳しい施設の場合、派遣の許可が下りない場合もあります。
また、災害支援ナース登録施設として、所属施設がリストアップされるので、登録を希望する場合は事前に所属師長、看護部長へ承認を得ましょう。
なお、登録の際には所属先の看護部長の同意書が必要です。 - 災害支援ナース養成のための研修を受講していること
: 日本看護協会が定める講習会を受講し、指定された課題を提出する必要があります。
受講申し込みは、所定の申込用紙に記入の上、各都道府県看護協会へ郵送またはFAXで行います。
講習会内容
- 基礎編(2日間): インターネットによる全国同時講習
災害支援活動に必要な基礎知識と心構え
災害支援活動における看護協会と支援ナースの役割 - 実務編(1日間): 災害支援ナースの活動の実際(机上シュミレーション)
- 地域防災訓練(0.5日間): 地域防災訓練に参加し、体験内容や学びについて800字程度のレポート作成
参加する防災訓練について指定はないので、学校や自治体による自主訓練でもOKです。可能なら都道府県や市で行う大規模訓練への参加がベター(事前申し込みは不要の場合が多いです)
認定登録
すべての課程を修了し、レポートを提出すると、各都道府県看護協会より修了証明書と災害支援ナース登録用紙が郵送されます。
認定更新
日本看護協会は3年ごとの更新としているのですが、なんと都道府県によって更新期間が違うので注意が必要です。登録する都道府県の看護協会に確認しましょう。
更新および有効期限切れの場合の再登録をするには更新研修(1日)への参加が必要です。
おわりに
災害看護の基本理念は『自己完結型』。
つまり他者の援助に頼らず、自分のことは自分で解決したうえで看護にあたるという姿勢が大切です。(この点については、次回にもう少し詳しくお話していきますね)
被災地の人たちのために少しでも役に立ちたい。自分にも何かできることはないか。
その「自分ができる何か」とは何かを知るために、ぜひチャレンジしてみてください!