臨床実習指導者とは、看護学生の臨床実習をサポートするエキスパートです。
看護学校の先生と連携して、実習生の指導はもちろんスタッフへの指導・教育を行うリーダーとして活躍します。略して「臨指(リンシ)」なんて呼ばれたりしますよね。
まずは、臨床実習指導者の仕事内容について紹介します!
臨床実習指導者の仕事内容
臨床実習指導者は、実習生の臨床実習をサポートするためのさまざまな業務を行います。
実習前の主な仕事
- 看護学校教員と打ち合わせ、指導者カンファレンス
- 受け持ち患者さんの選出と依頼
- 事前学習課題の提示
- 物品やロッカー、更衣室などの手配
実習中の主な仕事
- 事前学習のチェック
- 行動記録のチェックと把握
- 実習生の技術指導、記録指導、カンファレンス参加
- 部屋もち看護師との調整、スタッフ指導
実習後の主な仕事
- 指導者カンファレンス
- 記録評価 などなど
このように業務自体も盛りだくさんですが、実習生が有意義な学びができるように精神的サポートやスタッフへの協力要請なども必要です。
それでは、臨床実習指導者になるためには、どんな資格が必要なのでしょうか?
臨床実習指導者になるには、特別な資格は不要!?
実習指導に関して言えば、実は特別な資格は不要です。
そのため、すべての実習受け入れ病院に必ずしも臨床実習指導者の資格を持つスタッフがいるわけではなく、経験の多いスタッフが交代で指導にあたることも少なくありません。
とはいえ、実習生が有意義に学ぶためには、やはり専門の指導技術を習得したエキスパートに活躍してもらうことが望ましいですよね。
実習指導を担当している方、また今後担当する予定がある方は、臨床実習指導者研修という認定コースを受講し、資格をとることをオススメします。
この臨床実習指導者研修とは、どんな研修なのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
臨床実習指導者研修について
研修の目的
- 自己の看護観を再構築し、実習指導の基礎となる教育的資質を養う
- 看護基礎教育における臨床実習の位置づけと目的を知る
- 臨床実習の内容と効果的な指導方法を学び実践する
臨床実習指導者研修を受講するための要件
- 看護師、保健師、助産師の実務経験が5年以上の者
(看護協会によっては3年の場合もあり、45歳未満など年齢制限がある場合もあります) - 実習指導の任にある、または予定のある者
臨床実習指導者研修はいつ・どこで受けられるの?
開講時期は養成機関によって異なります。
都道府県看護協会のほか、看護大学や病院規模で開講しているところもあります。
研修の内容
- 講習240時間(2か月~半年間)
毎日どっぷり授業のところもあれば、週1~2回などカリキュラム編成はさまざま。仕事との兼ね合いもあるのでよく検討しましょう。野外や宿泊研修があるところも! - 臨床実習1週間
実際の指導方法を学ぶほか、自分たちが学生として実習に行き指導を受けることで学生の立場を理解するといった実習方法もあります。研修を通して、とにかくレポートや提出物が多い!これを機にノートパソコンを買う方も多いとか。
臨床実習指導者研修の気になる費用は?
臨床実習指導者研修の費用は養成機関によって実にさまざまです。無料の場合や10万円程度かかる場合もあります。また、参加費が無料となっていても、別途資料代やテキスト代がかかるケースもあるので、費用は数万円はかかると考えておくとよいかと思います。
提出物が多いので、その他にもコピー費やプリント用紙代が意外とかさみます。
受講を考えている方は、事前に養成機関へ問い合わせ、よく確認しましょう。
臨床実習指導者の待遇
臨床実習指導者になると、実習期間中は実習指導に専念させてもらえる病院もありますが、人員不足で通常業務をこなしながら指導にあたらなければならない場合もあります。
つまり、病院で普段の仕事をしながら、プラスアルファの業務をこなすということ=超忙しい!ということです。臨床実習指導者になることによる苦労に見合う待遇が得られるかどうかは、正直なところ病院によってかなり差があります。
というのも、臨床実習指導者の手当については
- 資格手当として毎月支給
- 実習指導した月にのみ臨時手当として支給
- 残念ながら、一切の手当なし!!
このように、取り決めは病院によって様々なのです。
さらに実習期間中は基本的に日勤なので、場合によっては夜勤手当が無いぶん、その間は減収となる場合もあるのです。
臨床実習指導者になることを考えている看護師は、勤務先の病院がどのような待遇をとっているか確認しておくことをオススメします。
おわりに
臨床実習指導者になるにあたり何よりも必要なのは、看護教育への熱意と愛情です。
自分の看護感を明確にするとともに、未来の看護師を育てるという責任感を持つことが大切です。
臨床実習指導者の仕事はとてもボリュームがあり、正直大変だと思います。
しかし、今の看護師としての自分があるのは、指導をしてくれた先輩看護師たちのおかげ。そして、これからの看護師を育てていくのは自分たちです。
人に指導をすることはとても難しいけど、そこから得られる経験値もきっと大きいはず。
迷っている方は、ぜひチャレンジしてみませんか?