救急救命士は、平成3年(1991年)に、現場の救急隊員たちの強い声に応じて設定された、医師の指示のもとに救急救命措置を行う資格を指します。
救急救命士の救急救命措置は、心肺停止状態の傷病患者を対象としています。
また一部は特定行為とされ、医師の具体的な指示を受けながら行う必要があります。
対して看護師は、救急救命士の特定行為を保健師助産師看護師法第五条に定められている診療補助行為の中でカバーしています。
これは治療対象の状態の違いなどによる資格の権限の違いといえます。
救急救命士は教育課程において、救急救命の現場での対処を専門に習得しており、看護師は一般看護を中心として専門を学んでいるため、似て非なる職業といえるのです。
救命救急士の資格を取得するメリット
救急救命士は、救急救命士法によって定められた特定行為を行うことができます。
更に看護師であれば、心肺停止状態ではない患者にたいしても、静脈路確保などの特定行為を行うことができます。
保健師助産師看護師法に定められた診療補助行為の範囲を逸脱せず、医師の指示に抵触しない限り、最大限に患者の救命行為を行うことが出来るのです。そのため、救急救命士法では許可されていない措置も、状況を判断した上で可能な場合が多くあります。
結果として早期に迅速な処置が行えるため、救急搬送される患者の救命率が向上し、また重篤な後遺症が残る確率も下がり、早期の社会復帰に繋がるのです。
このため、より専門的、より実践的な知識と活躍の場を求めて、双方の資格を取得することを目標とする救急救命士および看護師は、現在非常に多くなっています。
しかし救急救命士は今年で35回目の試験を迎えるものの、未だその総数は足りているとはいえず、両方の資格と経験を持つ救急救命士の人員確保が急がれています。
看護師が救急救命士になるためには
平成3年8月15日の時点で、既に正看護師の養成課程を修了していたか或は養成課程に在籍している場合は救急救命士の受験資格がありますが、該当しない場合は養成課程で学ぶ必要があります。
ただし、看護師資格を取得している場合は、既に履修した科目については免除されます。
- 救命救急士課程がある大学を卒業する
- 救急救命士の専門学校を卒業する
- 消防士で実務経験を積み、養成課程を受講する
- 外国の救急救命医療処置に関する学校または養成所を卒業後、厚生騒動大臣の免許に相当する資格を得る
体力に自身があり、現場の消防士として活躍したいという強い希望がない限りは、専門学校に入学するかまたは大学に再編入する方法が最も現実的といえます。
また、課程を修了後に国家資格試験に合格して初めて有資格者として実務に就けます。
合格率は80%と言われ、高い水準を保っています。
おわりに
救命救急士になることでこれまでの看護師業務以上に、患者の命により近いところでの職務を行うことができるようになります。それは非常に大きなやりがいではありますが、反対に言うと生半可な気持ちでは務まらないとも言えます。
しかしもし、より高い志で救命救急士を目指すというのであればそれは看護師として素晴らしく誇らしいことになるでしょう。