看護師の資格だけでも持っていれば、日本全国どこでも働くことはできます。
しかし!皆さんは”看護師”という資格にプラスし、何か他の資格を持っていますか??
看護師にも上位資格はありますし、日常業務に役立つ資格もあるのですよ。さらに上の資格を取得するということは、向上心の現れでもありますし、その仕事への情熱も感じられますよね。
今回は、看護師だからこその資格取得について、調べてみました。
上位資格取得により、仕事上どんな良いことがあるか
1.仕事の幅が広がる
自分の勤務先が必要とする資格、自分の勤務先でもっと患者さんや他のスタッフに対して役に立つ資格であれば、仕事の幅も広がるでしょう。
2.自分の好きな分野の仕事に打ち込める
資格を取るということは、その分野が好きでなければできませんので、自分の好きな分野の仕事に、より打ち込むことが出来ます。やりがいも大きいですよね。
3.給料アップ?!
さらに嬉しいことに、自分の勤務先が必要としている資格であれば、今よりもお給料がアップすることも夢ではありません。
看護師という職業は、新人の頃は特に他の職種よりも高給であることも多いのですが、ベースアップの速度が遅い=なかなか基本給があがらない職業でもあります。
そういった現実の中で、もしかすると月あたり数万円アップする可能性もある上位資格は、興味があるならぜひとも取得しておきたいものです。
看護師が取得できる資格
看護師が取得できる資格には色々ありますが、いくつかの例をあげてみましょう。
- 助産師・保健師
- 認定看護師・専門看護師
- ケアマネージャー
- 消化器内視鏡技師
ざっとこんな感じでしょうか。
1.助産師・保健師
看護大学などを卒業している人は、助産師や保健師を取得するコースへの編入ができます。そこで1年間学び、それぞれの国家試験に合格すると資格が取得できます。
2.認定看護師・専門看護師
こちらは日本看護協会が定める、学会資格です。
いずれの資格も、日本の看護師免許を持っていて、通算5年(うち3年は当該分野で)の実務経験があることが条件で、5年ごとの更新も必要です。
認定看護師
日本国の看護師免許を有すること
↓
看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること
(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)
↓
認定看護師教育機関(課程)修了(6か月・615時間以上)
↓
認定審査(筆記試験)
↓
認定看護師認定証交付・登録
認定看護師の場合は「日本の看護師免許を持っていて、通算5年(うち3年は当該分野で)の実務経験がある」という条件を満たして、半年間、特定の学校へ通って試験に合格すれば良いわけです。一方、、、
専門看護師
日本国の看護師の免許を有すること
↓
1.看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること
2.実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること
↓
認定審査(書類審査・筆記試験)
↓
専門看護師認定証交付・登録
専門看護師の場合は看護師となる時点で大学卒業であることがもっとも近道でしょう。
その後に大学院へ進んで必要な科目の単位を取得している必要がありますが、実務経験と大学院は、どちらが先でも良いようです。
よって、
- 大学卒業 → 大学院進学 → 大学院での修士課程修了後に就職 → 実務経験を積む
- 大学卒業 → 就職 → 極めたい道を見つける → さらに実務経験を積む → 大学院へ進学して修士課程で勉強する
このような資格取得のケースが考えられると思います。
3.ケアマネージャー
高齢者施設などで働く場合、取得しておくと仕事に役立つ資格としてケアマネージャー(正式名称:介護支援専門員)があります。看護師であれば、
高齢者施設等で5年以上の実務経験を積む
↓
介護支援専門員実務研修受講試験に合格
↓
「介護支援専門員実務研修」の全日程を休まず全て受講
↓
レポートを提出
そしてこれが合格点であれば、資格が取得できます。
資格取得後は、介護支援分野や保健医療福祉サービス分野などでのお仕事が待っています。
過去には、一時的ですがケアマネージャーの供給過多といわれた頃もありました。この分野は今後も需要が大きく伸びる分野ではありますが、一方で提供するサービスへの差別化を図らないと事業所が生き残れない、という現実も見え隠れしているようです。
ケアマネージャーの資格を取得しても良い仕事が見つからない……ということもあり得ますので、優秀であることもこの資格を生かす条件の1つになります。
4.消化器内視鏡技師
看護師としてはマイナーな資格かもしれませんが、消化器内視鏡学会が定める”消化器内視鏡技師”という資格もあります。
この資格を取得できるのは、看護師だけではありません。診療放射線技師、臨床検査技師、薬剤師、衛生検査技師、臨床工学士でも取得できます。
資格を取得するためには、
消化器内視鏡学会の専門医の指導の下、消化器内視鏡部門で、実際に満2年以上の実務経験を積む必要があります。
分かりやすく言えば、消化器内視鏡専門医のいる検診センターや内視鏡室などで、
- 患者さんへのオリエンテーション
- 検査の前処置
- 検査の介助
- 検査後の指導などの業務
を、日常的に2年以上行うこと、となります。
最近ではこのさらに上の資格として、カプセル内視鏡読影支援技師というものもあるようです。
カプセル内視鏡とは文字通り、カプセルを飲みこむことで食道から肛門までの消化管の画像を撮影、保存しておき、その画像データを使って消化管内の病変を見つける検査です。
日本ではまだ比較的新しく、全国規模で広まっているわけではありませんが、内視鏡室の看護師→消化器内視鏡技師→カプセル内視鏡読影支援技師 と資格取得をしている看護師もいます。内視鏡室での仕事が好きな人は、目指してみてはいかがでしょうか。
認定看護師と専門看護師のお仕事の実際
認定看護師、専門看護師ともに日本看護協会の定める協会資格ですが、これを取得している看護師は、みなさんの病院にも1人くらいはいるのではないでしょうか。
いずれも”看護師である上に、その道のプロ”ともいえる資格です。ところで皆さん…
これらの資格を取得することで、実際に仕事がどのように変化するのか ご存知でしょうか?
認定看護師のお仕事の実際
認定看護師は、次の役割を果たすことが目的とされます。
- 個人、家族及び集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
- 看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
- 看護職に対しコンサルテーションを行う。(相談)
これだけだと分かりにくいので、例をあげてみましょう。
糖尿病認定看護師資格を取得した Aさんの例
とある病院に勤務するAさんは、2003年に糖尿病認定看護師資格を取得しました。
それまでは病棟勤務でしたが、資格を取得した翌々年には外来に配属され、何と”糖尿病専門外来”を受け持つことになりました。その病院 初「看護師による外来」の誕生です。
Aさんのお仕事は、平たくいえば”糖尿病患者さんへの様々な看護指導”です。
現在の具体的なお仕事の一例をあげると、
- 血糖の自己測定(SMBG)を行っている患者さんと月に1回面談し、血糖測定結果を元に、生活の状況を把握する
- 自己血糖コントロールが上手くいっている人にはそのポイントを確認しながら次の外来へ繋げ、逆に上手くいっていない人にはその理由を聞きだして、改善点を見出し、患者さんと一緒に改善策を検討する
- 患者さんからの日常生活での疑問点などを聞き、一緒に改善策を見出す
- フットケアなどの観察も行い、以上の早期発見につとめ、異常がある場合は糖尿病担当医だけではなく、関係する科の医師と連携をとり、適切な処置や治療を行う
ざっとあげるとこんな感じです。
もちろん、看護師による外来を任されてる以上、Aさんにも責任は発生します。簡単にいえば”糖尿病患者さんの病態が悪化することを予防する”です。
糖尿病は一生付き合う病気ですから、どんなに気を付けていても悪化する時は悪化します。しかし、患者さんのQOLを維持するとか、患者さんの”困った”を解決するには、医師による数分間の診察ではとても足りません。
そこで、患者さんとじっくり話ができ、よりその人の日常生活に則した指導を行うのが、Aさんに任されたことなのです。
ちなみに、Aさんは専門外来を任されることで、外来勤務扱いなので、夜勤も基本的にはなくなりました。平日の昼間は、ずっと勤務している必要があるためです。
そして資格手当の他にもいくつかの手当が付き、年収では60万近くアップしたそうです。
専門看護師のお仕事の実際
専門看護師は、次の役割を果たすことが目的とされます。
- 個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
- 看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
- 必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
- 個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決をはかる。(倫理調整)
- 看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)
- 専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるために実践の場における研究活動を行う。(研究)
このように見ると、認定看護師よりも、さらに役割が大きくなっていますね。
こちらも少しわかりにくいので とある実例をあげてみましょう。
老人看護の専門看護師資格を取得した Bさんの例
とある高齢者が入院・入所・利用する施設に勤務していたBさんは、2005年にケアマネージャーの資格を取得していました。
その施設では要介護度の高い人が入っていることも多く、看護師としての医療的ケアの提供も多かったようです。Bさんは中々優秀な人材でしたので、ケアマネージャーの資格を取得したのはその施設で初、翌年Dさんは31歳で主任になりました。
その翌年には他にもケアマネージャーの資格を取得した看護師も数人いましたが、一番早かったことと、日ごろの勤務ぶりなどからの抜擢され、35歳の先輩看護師を抜いて、先に出世しました。
その先輩からのいじめというか、嫌味な攻撃もあったそうですが、周りのスタッフからの信頼度などの違いもあり、仕事がしにくくなった先輩は、2年後には退職していました。
その4年後、高齢者看護の道を極めようと考えたBさんは、今度は老人看護の専門看護師資格を取得しました。
結局は1年間休職することになってしまいましたが、休日などにその施設で非常勤勤務をしながら勉強したそうです。
晴れて老人看護の専門看護師資格を取得したBさん、勤務先からの信頼度も厚く、今度は37歳で師長となりました。その施設では最も若い師長の誕生です。
その後、その施設は、新たにより規模の大きな施設を作ることになりましたが、Bさんはその新しい施設の師長になり、新しい施設に併設された(自治体からの委託事業)相談室の室長も兼任し、地域の高齢者介護や医療の中心的な人物となっています。
おわりに
認定看護師、専門看護師のいずれも、やはり”その道のプロ”。任される責任も大きくなりますが、自分の好きな道を極めたいという性格の人には、うってつけの資格だと思いますよ。
興味のある方は上位資格の取得にぜひチャレンジしてみてくださいね!