スキルアップ・レベルアップを目指している看護師さんへ、今回は日本救急医療学会認定の救急医療の資格認定コースの一つ、JPTECをご紹介したいと思います。
JPTECとは、どんな資格?
「JPTEC」、救急部門の看護師さんなら一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。
JPTECとは、「Japan Prehospital Trauma Evaluation and Care」 の略で、病院に搬送される前の救護活動に携わる救急隊員など医療従事者を対象として行われる、外傷処置に関する標準化プログラムです。病院前外傷教育、あるいは外傷病院前救護プログラムなどとも呼ばれています。
JPTECの趣旨・目的
一般社団法人 JPTEC協議会主催による認定資格であるJPTECは、現場外傷学の普及を推進すべく全国各地で活動を行なっています。
病院に搬送される前の処置が適切であれば命を落さずに済んだ。そういったケースは残念ながらしばしばあります。こういったケースを減らす為に、病院前救護における適切な処置についての専門的な知識・技術の習得、習得した知識・技術を医療の現場で活かし、症状の悪化を最小限にする、外傷が原因の死亡を防ぐ事が求められています。
高エネルギー外傷による患者の場合、救急車を呼んで病院に搬送されるまでの間に適切な処置を行えるかどうかによって、予後を左右すると言われています。傷を受けてから止血・手術等の適切な処置が行われるまでに1時間を過ぎてしまうと、ケースによっては生命維持に甚大な影響がでる場合もあるのです。搬送中の処置の標準化が救命率の向上につながるのです。
資格の取得方法
資格の取得方法としては、地域の拠点病院や大学病院などで開催されているJPTECプロバイダーコースを受講し、筆記試験で74%以上、実技試験で可以上のプロバイダー認定基準を満たし、認定されます。有効期限は3年間となりますので、更新の際は資格更新コースの受講が必要になります。
高まる外傷病院前救護へのニーズ
近年、交通移動手段の高速化によって重症外傷による死亡が増加傾向にあります。実活動年齢の外傷死亡が社会に与える損失は甚大で、平成14年人口動態統計によると、不慮の事故による死亡が24歳までの年齢では第1位、全年代を通じても死亡原因の5位となっています。
JPTECは本来、救急救命士や救急隊員が救急現場でいかに怪我人へアプローチ(観察・処置)すべきか標準化したプログラムですが、看護師のスキルアップ・レベルアップにも大変役立つ講習だと思います。早急な対処が求められる状況で、冷静に判断しすみやかに適切な処置を行う事が患者の命を助けるために大変有効だからです。看護師の知識・技術は社会資源のひとつであり、JPTECで習得する知識・技術はさらにその価値を高めるものだと言えるでしょう。そして、JPTECの資格取得者へのニーズは今後も増々高まっていくものと思われます。
(photo by 足成)