そこの看護師のアナタ!病院で当たり前にしていることが常識だと思っていませんか?
もしそうだとしたら、企業で働く人からは「あの人、困った人だよ」と噂されているかもしれません。
転職して企業で働くようになると、さらに他業種との価値観の違いに戸惑うことになるかもしれません。
でも安心してください!本来、看護師の知識と能力をうまく提供できれば、企業内で貴重な存在として重宝される人になれるのです。
今回は、まず、なかなか気付きにくい看護師の仕事と企業の仕事における違いについて考えてみたいと思います。
企業の仕事とは違う?看護師という仕事の特殊性
1. 企業は人柄重視、看護師は知識技術重視
一般的に企業で働く人は、決まった専門分野に特化して仕事をしている訳ではなく、様々な仕事を経験しながら自分のキャリアを形成していくことが多いようです。
ゼネラリストと言われ、様々な分野と協力しながら仕事を進めることが求められますので、協調性や謙虚さなど、調和を大事にする人柄が重視されています。
一方、看護師は、看護分野に関する深い知識や技術を持ち、専門性を発揮し仕事をするスペシャリストになります。
腕に自信があれば単独でも活動でき、成果にこだわる特殊性があります。責任感や判断力、決断力、行動力が求められます。
職場でこの違いが大きく出てしまうと、「何でこんなこともできないのよ!」と、仕事を深く極めようとしない姿勢にみえてしまい、不満を抱き、つい厳しさを持って対応をしてしまいます。
そして、1人で仕事もできるため孤立しがちになります。この傾向は看護師として有能な方ほど多いようです。
2. 看護師は専門用語を使いがち
専門家は専門用語を使いたがり、看護師も専門用語なしでは話しができません。しかし、難しい言葉は、相手を悩ませるだけで理解してもらえません。
私たち看護師は根拠をもとに正論を言いますが、そうではない相手にとっては攻撃されている印象をもたれ、心は離れていってしまいます。
どんなに有能な看護師でも、自分の知識やこれまでの経験が相手に伝わらない限り、その能力を生かして役に立つことはできません。私たちの情報を理解してもらってこそ多職種の方に貢献できるのです。
「わたしに聞いたらいいのに、誰も聞いてこないのよね」と思っている人は、わかりやすい言葉で話し、聞きやすい雰囲気を出しているのか自分自身を点検するほうがよいでしょう。
3. 看護師の仕事は病院に守られていた
看護師は、看護のスペシャリストになるためには厳しいトレーニングを受けてきます。
自分の努力で成長したように感じますが、教育マニュアルが用意され、ある一定期間はマンツーマン指導もあります。一流にしないと、命に触れる仕事ですので失敗は許されないからです。
企業の場合は、尋ねれば優しく丁寧に教えてくれますが、マニュアルが全て用意されていることはありません。仕事の全体を把握して、すぐに動きたい習性のある看護師としては、社内規定しかない企業に最初は不安をもつかもしれません。
ただし、急変などの緊急性はないので、病院よりはゆっくり調べられて予定通り仕事ができるメリットはあるかもしれませんね。
4. 看護師はリスクに過剰反応してしまう
看護師でも、所属は企業内ですが、病院や施設と契約して医療行為を依頼されることがあります。そんなときは状況を把握し、医療行為実施の可否や専門的な判断をしなければなりません。
しかし、看護師はこの時、自分で判断する経験がなかったことに気づきます。
これまでは医師の指示や師長に頼っていたのです。
「何かあったら誰が責任をとるのですか?」と権利だけを主張して義務を果たさない看護師は、何もしてくれない人、うるさい人になります。
社長が責任をとると言っても、医師にこだわる看護師もいます。「会社はわかってくれない、免許にキズがつく」と過剰に反応するタイプの人は辞めていきます。
科学的な根拠、根拠…で白黒ハッキリさせてきたタイプの人も適応が難しいです。
企業のねらいは、企業のノウハウに看護を融合して、新しい価値を創りたいのです。
グレーな領域にも、ここまでは看護師が判断し行動しても大丈夫だと、取れる責任は自分でとれる柔軟性のある人が企業に向いています。
後編では、企業でも活躍できる看護師になるためのポイントを考えていきますよ。
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