入院患者さんや救急患者さんは、24時間365日、誰かがケアをする必要があるため、看護師の仕事には“夜勤”がつきものです。
入院設備のないクリニックや健診センターなどはそもそも“夜勤”がありませんが、ある程度大きな規模の病院で働こう!とか、救急医療を学びたい!とか、将来的な自分の姿を考えた時に、特に20代や30代であれば、“夜勤をしていて学ぶこと”も多いのではないでしょうか。
「夜勤はしたくなーい!でも、夜勤を無くすと給料少なくなっちゃうしなあ…。でも夜勤は嫌だしなあ…でも」
という方。分かりますよ、分かります。
そこで、今回は夜勤なしと夜勤ありで、どの程度の給料の差が出るのか?お給料比較をしてみました!これを見て、給料が減るのと、夜勤をやるの、どっちが嫌かはっきりさせましょう!
転職サイト 看護roo!の実際の求人情報(2015年2月時点)をピックアップして計算してみますね。
地域の中核ともいえる中規模病院での病棟勤務(2015年2月時点)
まずはこちらの求人情報。
この求人は常勤またはパート勤務ですが、病棟での勤務希望者の募集です。
病棟ですので基本的には”2交代勤務ができる方“が良いのだと思いますが、勤務時間の中に”日勤常勤可“とあります。常勤だけど日勤のみ勤務という、かなりありがたい勤務形態ですね。
実際のお給料の例をみてみましょう(2015年2月時点)
例えば正看護師で経験5年目、1ヶ月の夜勤が4回の場合、1ヶ月のお給料はおよそ34万円となります。では夜勤をしない場合はどうでしょうか。
この病院の場合、夜勤手当は1回につき15,000円です。
つまり先ほどの34万円から、15,000円×4回分を差し引けば良いので、夜勤を全くしない場合は1ヶ月のお給料はおよそ28万円になります。
これが1年間続くと、年収は
((252,600+27,000)×12か月) + (252,600×4(賞与分))= 4,365,600円
夜勤ありの場合と比較すると、
4,365,600 - 5,085,600 = -720,000円
夜勤分がそのまま無くなるので、72万円安くなる計算です。
区内唯一の総合病院(2015年2月時点)
規模は先ほどと同等ですが、別の区で唯一の総合病院「永寿総合病院」をあげてみました。
こちらの求人も、日勤常勤可となっています。
こちらの病院は病棟数が11あり、二次救急の急性期から緩和ケアまで、たくさんの病棟があります。求人が出ているのは、こちらにあげたICU系、一般病棟、OPE室、外来などがあるようです。
それでは、ここでのお給料を、夜勤なしと夜勤ありで比較してみます。
例として経験2年目が載っていますが、こちらも1回あたりの夜勤手当は15,000円、1ヶ月で4回の夜勤があると想定しています。
夜勤なしの場合、具体的に計算すると(夜勤手当以外をまとめて56,275円とします)
(194,225+56,275)× 12 + 194,225 × 5(賞与分) = 3,977,125円
夜勤ありでは、夜勤が1ヶ月に4回ある場合で、年収4,697,125円なので、こちらも、ちょうど72万円安くなります。
関東中心の病院グループに属する総合病院(2015年2月時点)
では、最後にもう1つ。こちらは一都四県に22の病院などをもつ戸田中央医科グループの病院、「西東京中央総合病院」です。
病院規模は270床と、前出の2施設よりは小さ目ですが、二次救急で月平均260件の救急受入れがあり、看護配置は7:1、看護師寮完備、24時間保育室完備の病院です。
こちらの病院は、日勤のみだけでなく、夜勤のみ(夜勤常勤)の勤務形態もあるようです。
ではお給料がどうなっているかを見てみましょう。
2.の病院と合わせて、経験2年目で計算します。
こちらは夜勤手当が1回あたり13,000円ですので、1ヶ月4回の夜勤で52,000円、1年間では624,000円の差が出ることになります。
ここでは諸手当が分からないので、夜勤ありから夜勤分を差し引いてみます。
4,318,280 - (13,000 × 4 × 12) = 3,694,280円 となります。
夜勤なしのメリット・デメリット
”夜勤なし“で働くメリットやデメリットも考えてみましょう。
メリット
例えば、ママさんナースなので夜勤ができないとか、自分自身の体調面や精神面での問題もあって夜勤をしたくないとか、夜勤をしたくない理由は、人それぞれですよね。
”夜勤なし“で働く場合、当然ながら昼間だけで帰れるので、小さいお子さんがいるママさんナースは助かりますし、夜間の学校に行くとか、習い事をしたいとか、自分自身の勉強などのために時間を使いたい人には、今回のような求人はかなりおススメです。
また、昼間起きて夜眠る、という生活パターンを崩さなくて済むので、自分自身の体力などに自信がない時期や、しばらくブランクがあって復職するような時には、働きやすいかもしれません。
デメリット
夜勤をしない場合、当然ながら夜勤手当がないので、お給料はそれなりに下がります。
今回の例でいうと、ある程度の病院なら夜勤1回あたり15,000円、1ヶ月4回で6万円、年間では72万円の差が付きます。
夜勤手当は一般的に、勤務経験年数には関係なく一律なので、仮に夜勤なしを5年間続けると、360万の差が出る計算になります。国産の普通乗用車が1台買えてしまうくらいの差が出るのです。
また、夜勤だからこそ経験できることもあります。
例えば人が少ない時の急患対応。日勤帯であればそれなりの人数がいますが、夜勤帯は2人か3人しかいません。仮に二次救急の病院であれば、夜間緊急入院もありますし、夜間緊急手術もあるでしょう。
看護師も居ないし医師も居ない、検査技師さんや事務の人だって簡単にはつかまりません。そんな時の対応ができるようになるかどうか、これは夜勤を経験しないと分からないことなのです。
さらに日勤のみで働く場合、基本的には平日昼間のお休みはありません。
看護師仲間とふらっと旅行に行くとか、バーゲンに行くとか、空いている時間にスポーツジムに通うとか、そういった“平日昼間だからできること”は出来なくなると考えておいた方が良いでしょう。
おわりに
いかがでしょうか。
初めから”夜勤は絶対しない“と考えているならば、今回ピックアップした病院などよりも、入院設備のないクリニック、健診センター、透析専門施設、介護施設などを選択する方が、門戸は広いかもしれません。
それでも一時的に“夜勤なし”で働きたいという場合は、収入はそれなりに低めになりますし、スキルアップも多少遅くなる可能性もあります。夜勤をする看護師は世の中に必要とされているものですから、夜勤なしのメリット・デメリットを良く考え、働く場所を決めると良いでしょう。
なお、「夜勤手当」の額についてさらに深く掘り下げて書いた記事がありますので、興味の有る方はこちらもあわせてお読みいただければと思います。