看護師の仕事の1つに、夜勤がありますね。他の職種でももちろん夜勤がある仕事はありますが、看護師が“病院で常勤”で働くとなると、夜勤が無い方が珍しいのではないでしょうか。
そして夜勤にはかならず”夜勤手当“がつきます。看護師の給与体系を考えると、基本給は比較的安く、夜勤や休日の手当などがつくことで、それなりのお給料になるのが一般的です。
ところが、この夜勤手当と夜勤時間…看護師の離職率ともおおいに関係があるんです。
日本看護協会が発表した「夜勤看護職員に占める月夜勤時間数が 72 時間超の看護職員の割合別にみた離職率」をみると、夜勤が月72時間を超える病院の離職率はなんと約12%!
自分の時間が持てない、体力的に無理。。。などあると思いますが、こんなに働いても夜勤手当が少ない!という不満が多いのではないでしょうか。
できるならば夜勤時間が少なく、夜勤手当が高い病院がいいですよね。
ここまで読んで、もっと夜勤手当がいい病院がないか?と思っているあなた!
求人情報によってその金額や条件が大きく違うんです。
今回は、最近の夜勤手当事情を調べてみましたよ!
記事を読み終える7分後には夜勤で損をしない方法が理解できます!
目次
ズバリ!看護師の夜勤手当の相場とは?
看護師の夜勤には、皆さんご存知のとおり2交代制と3交代制があります。
看護師給料において、1回の夜勤で支払われるべき金額については、実のところ明確には決まっていません。つまり、各病院ごとに独自の基準で決められているのです。
まずは勤務形態ごとに夜勤手当の全国平均を見てみましょう
左から、黄色の棒は3交代制の準夜勤手当を、オレンジ色の棒は3交代制の深夜手当を表しています。そして緑色の棒は2交代制の夜勤手当を表しています。
こうしてみると、2011年から2015年を比べると、少しずつ減っていてます。2016年~2017年にプラスに転じていることがわかります。
次にグラフの3交代制の準夜勤手当+深夜勤手当と2交代制の夜勤手当にフォーカスして考えてみましょう。
これらを比較すると、3交代制の準夜勤手当+深夜勤手当 の合計よりも、2交代制の夜勤手当の方が高くなっていることが分かります。
たしかに2交代制は拘束時間が長くなりますので、3交代制と比較するとそれなりに高額になります。
3交代2交代の基本的な働き方
もともとは3交代が看護師のシフトの多くをしめていましたが、現在では2交代勤務に押されているのが現状です。
何故ならば、3交代の方が体力的にきついという意見の看護師が多いからです(慣れれば楽との意見もあります)。
3交代のシフトの例
準夜勤 16:30~ 1:00
深夜勤 0:30~ 9:00
短い勤務時間に見えますが、日勤→深夜勤のシフトを組まれることが多く、寮や自宅に帰る時間がなく仮眠室で休憩をとっている場合がほとんどです。
なかなか体力的にはきついシフトですが、深夜帯で仮眠がとれる病棟であればこの方が集中できて働きやすいと感じている看護師もいます。
2交代のシフトの例
夜勤 16:30~ 9:00
夜勤帯がとても長く、17時間近く拘束されます。こちらも仮眠がとれる病棟であれば最低2時間と定められている休憩はとれるはずです。
ただし、救急や急変はいつ起こるとも限りません。3交代同様にきついのではと想像しますよね。
では、何故2交代の方が多く適用されているのかというと、夜勤明けに休みになることが多く、十分に休息がとれるからです。また、夜間の申し送りも無いので、時間配分も比較的マイペースにでき、時間的余裕が感じられるという点にもあるようです。
いかがですか?2交代、3交代の特徴の概要がつかめたかと思います。
自分に合う働き方はどちらなのか?を頭に入れつつ次の項目を読んでみましょう。より具体的に働く自分が見えてくるはずです。
さらに、夜勤手当の具体的な差について見てみましょう
一般病棟の2交代制と3交代制の夜勤手当の差
2010年のグラフの夜勤手当を例に、以下のように考えてみました。
- 3交代制の場合:
夜勤の平均回数は 7.8 回(準夜勤と深夜勤を合せた回数)
これを準夜勤手当と夜勤手当の平均金額にかけると、月の準夜勤手当と夜勤手当の総額は
( 4,077円 + 5,053円 ) ÷ 2 × 7.8 = 35,607 円 - 2交代制の場合:
夜勤の平均回数は4.6 回
10,745円 × 4.6 = 49,427 円
1ヶ月の給与の差としては 49,427 円 - 35,607 円 = 13,820円
やはり、2交代制の拘束時間の長さを考えると、おおよそこれくらいの差があるのは当然なのかもしれませんね。
特定集中治療室の1ヶ月の平均夜勤回数
また、特定集中治療室(ICUやCCUのようなところ)の場合の1ヶ月の平均夜勤回数は、
- 3交代制で 8.9 回
- 2交代制で 5.8 回
3交代制、2交代制いずれの夜勤体制でも、特定集中治療室 勤務の場合は拘束時間は長くなる傾向にあるようです。
特定集中治療室では、1回の勤務時間ごとに他の科よりも看護師の人数は増えますが、それでも夜勤負担は大きい方なのかもしれません。
これらのデータはあくまで全国平均ですので、必ずしもどの病院でも当てはまるわけではありません。傾向としては、大都市やその近郊では高くなり、地方にいくほど低くなると推測できます。
看護体制的にあまり多くの看護師を必要としないような職場では、夜勤手当は安くなる傾向がありますし、逆に、特定集中治療室や、1回の夜勤で多くの看護師を必要とするような職場では、夜勤手当も高くなる傾向があるようです。
やっぱり夜勤手当は魅力的だと感じる方は、夜勤専従という選択肢もあります。
夜勤専従という働き方については、別のページで詳しく書いてます。
それでは、いよいよ夜勤手当の高い求人情報はどのように見極めればいいのか、見ていきたいと思います。試しに、いくつかの求人情報からその実態を探ってみましょう。
夜勤手当の多い求人情報の探し方
それでは実際の求人情報を参考に、夜勤手当の高い看護師求人を探っていきましょう。
3交代制の病院
「東京労災病院」は、東京都内にある400床の総合病院です。
こちらの場合、基本的に3交代制のようですので、準夜手当と深夜手当があります。一般病棟とICU系の病棟でも、これらの夜勤手当は同額が書かれていました。
準夜手当の平均4,077円・ 深夜手当の平均5,053円と比べると、総額では平均より高い手当がもらえそうです。
2交代制の病院
ではもう1つ、都内の2交代制の総合病院をみてみましょう。
これも看護roo!でみつけました(2015年2月時点)。
こちらの病院は、「明芳会」という大手民間グループの本院です。2次救急病院ですが、規模は579床と大きな病院です。
こちらの場合、16,000円と、先程の2交代制の夜勤手当の平均(10,745円)よりだいぶ高い金額が設定されているのが分かりますね。
給与高めの2交代制の病院
ではもう1つ、やはり都内ですが2交代制で、もう少し規模が小さめな病院をみてみましょう。
この「慈生会 等潤病院」は164床の病院ですが、そもそも“給与高め”な病院です。
さらに、東京都が認定する“ワークライフバランス認定企業”にも選ばれており、長く働きやすい環境が整っているのかもしれません。
こちらの場合、1回の夜勤手当は 88,000円 ÷ 4回 = 22,000円
2交代制の夜勤手当平均10,745円と比べるとかなり高めです。
夜勤常勤の場合は 135,000円 ÷ 4回 = 33,750円
このように、さらに高額になります!
また准看護師は一般的に基本給も夜勤手当など、正看護師よりも低くなりますが、こちらの病院では、准看護師の夜勤手当も20,000円と、全国平均よりかなり高めに設定されています。
こんなに好条件の求人情報が、あるところにはあるのですね!
看護roo!の公開求人情報です(2015年2月時点)。
専門性の高い病院
一般的な総合病院でも、夜勤手当が高いところと、そうではないところがありますが、専門性の高い病院ではどうでしょうか?
試しに24時間救急を受け入れ、術後管理も大変そうな、循環器の専門病院を見てみました。
この「北海道循環器病院」は100床未満と規模は小さめに見えますが、循環器のみではなく、健診や透析なども行っているようです。
実際に病院のサイトを見ると、循環器や生活習慣病に関する専門外来も備えており、開心術だけではなく、インターベンションやアブレーションなども積極的に行っているとのこと。
最新医療器具も積極的に取り入れるという姿勢のようですね。
こちらの夜勤手当を見ると、準夜勤は1回8,000円、深夜勤は1回10,000円の手当、となっています。ブラボー!
ただし、これだけ夜勤手当が高額なのには理由があるのかもしれません。
この病院の場合は、2次救急病院で看護配置は7:1ですが、専門性が高いことや3交代制が基本であることから、術後患者さんのケアなどで比較的忙しいところなのかもしれませんね。
この求人情報も看護roo!になります(2015年2月時点)。
夜勤専従と夜勤常勤
また、看護roo!やレバウェル看護の求人検索には、「夜勤専従」「夜勤常駐」「常勤(夜勤あり)」といった、夜勤に特化した雇用形態を選ぶことができます。
ちなみに、「関東・夜勤専従・高給与」で検索すると、中野区の総合病院が出てきました(2015年2月時点)。
転職サイトによっても、検索結果が違ってきますから、夜勤業務を進んでやりたいという看護師は、2~3つの転職サイトでいろいろと検索してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ワークライフバランスが整う時代へ
社会を見渡すと病院や施設以外に24時間勤務の仕事ってそんなに多くはないと思いませんか?コンビニ、スーパー、薬局チェーン、飲食店等。。。
ワークライフバランスが重要視される時代になり、それらの多くは深夜帯の営業を止める方向へ見直しが進められているようです。必ずしも必要ではなかったのかもしれません。
裏を返せば、病院や施設には患者がいる限り看護師の夜勤は欠かせない存在なのです。社会に必要とされているのです。それだけやりがいのある仕事なのです。
だからと言って看護師の犠牲のもと夜勤が成り立つことは今の時代が許しません。
本文冒頭に載せた「夜勤交代制の勤務形態」を改めて見てください。16時間未満の二交代制の病院に気づきましたか?2011年には14.6%しか存在していなかったものが、2017年には21.6%もの伸びを見せています。
増えた理由は日本看護協会が発表したガイドラインにあるようです。
「勤務と勤務の間隔は11時間以上あける」「勤務の拘束時間は13時間以内にする」との基準が示されたことにより「変則2交代制」が現れたのです。看護師のワークライフバランスも声を大にして言える時代になりましたね。
夜勤は看護師を選んだからには避けて通れないものです。むしろ体力が許す限り、積極的に関わりたい働き方です。
何故ならば、その理由として3点あげてみます。
- 夜勤時はスタッフ数が少ないが患者の急変は待ったなしの状態です。自ずと看護技術が磨かれ、対応への判断能力が身に付きます。
- 何といっても好待遇です。同年齢の社会人の平均年収を知っていますか?この貯まったお金を活かし様々な習い事や旅行、海外留学まで視野に入れる看護師が増えています。
- ワークライフバランスの見直しにより、無理のない夜勤シフトが可能となってきました。平日休みがとりやすいので、土日の混雑とは無縁の休日が送れます。子供の学校の平日参観も行きやすいですね。
夜勤の経験はあなたの財産です。体調と相談しながらぜひ足を踏み入れてみては。
ネットの情報だけに頼らず、まずは詳細な情報収集を!
夜勤手当の高低だけで転職先(就職先)を決めることは無いとは思いますが、他の条件が同じような病院であれば、夜勤手当の高い方が全体的なお給料は高くなります。
ただし、夜勤手当が高い理由が必ずあるはずと考えた方がいいでしょう。
例えば、夜勤だけどかなり忙しいとか、専門性を強く求められるとか。そういった事柄も含めて、転職先はじっくりと吟味することが大切なんですね。
そこで欠かせないのは、やはり情報収集です。
自分なりに調べてみることも必要ですし、看護roo!やレバウェル看護などの転職サイトのコンサルタントは気になる病院の内情をリサーチし、情報を提供してくれます。
ちなみに看護roo!で2交代の求人をみてみると
年収500万円以上の求人もありました(2018年10月時点)。
転職サイトも上手く活用し、後悔のない転職を目指しましょう!