BLSヘルスケアプロバイダーの資格を手に入れたら、ACLSプロバイダーにチャレンジしようと思う方もいるかもしれません。
ACLSコースの目的は、一人でも多くの医療従事者が専門知識と技術を持ち、一人でも多くの人の蘇生成功へつなげることです。
今回は、そんなACLSプロバイダーの資格取得方法とその講座について紹介します。
ACLSって何?
ACLSとはAdvanced Cardiovascular Life Supportの略で、二次救命処置を意味します。
AHA(アメリカ心臓学会)が提唱する救命プログラムで、BLS(一次救命処置)を基礎とし、さらに次のステップとして進むべき診察と治療技術を学びます。
ACLS講習を受け認定された者は『ACLSプロバイダー』と呼ばれます。
ACLSプロバイダーになるには
ACLSプロバイダーになるには日本ACLS協会が定める講習会に参加し、コース修了と認定試験に合格する必要があります。
受講資格として、
- 有効期限内のBLSヘルスケアプロバイダーカードが提示できること
つまりBLS認定コースを受けて2年以内にACLSコースを受講する必要があります。
受講対象者は医師、看護師、救急救命士、その他メディカルスタッフとされていますが、一般の方の受講も可能ではあるようです。しかし講義内容がかなり専門的で、高度な医療知識を求められるため、現実的には困難かと思います。
講習会は時期にもよりますが比較的開催日が多く、土日コースもあるので参加しやすいと思います。受講料は38300円(登録料含む)です。
申し込みは日本BLS協会または日本ACLS協会のホームページから行います。
講習を受ける前に
事前にACLSプロバイダー受講者マニュアル(テキスト)とポケットマスクを購入しておく必要があります。
価格は受講者マニュアル(2010版)が5800円+税、ポケットマスクは2500円前後で、インターネットで購入可能です。
講習までに、マニュアルは必ずよく読んでおきましょう。
また、受講当日は長時間の実技があるので体調管理に注意しましょう。
講習の流れ
講習は2日間で、総講習時間は15時間程度です。
- 1日目:BLSの復習とACLS概念などの講義が中心
- 2日目:おもに実技と試験
2日間かなり濃い内容ですので、事前にしっかりマニュアルを読んでおきましょう。
またACLSは確実なBLSの上に成り立つので、BLSの技術は身についていて当然!という雰囲気です。BLSの流れ(観察と応援要請、質の高いCPR、AEDの使用)はぜひ完璧にしておきましょう。
またコース開始前にプレ講習会が開催される場合もあります。
こちらは希望者のみの参加でOKですが、初めて受講する方はぜひ参加しましょう。
コース内容
- ACLSの基本概念
- BLSおよびACLSサーベイ
- 効果的な蘇生チームダイナミクス
- 治療システム(心肺蘇生、心拍再開後の治療、急性冠症候群、急性期脳卒中)
- ACLSケース(呼吸停止、VF/無脈性VT、心静止など)
- 筆記試験
ACLSコースは心肺停止をはじめ、さまざまなケースに対応するスキルを身に付け、また救命チームを指揮するリーダーとして活動できる人材育成を目的とします。
そのためコースは5~6人のグループで受講し、それぞれ役割を交代したり声をかけ合いながら訓練をしていきます。
受講生は看護師だけでなく、救命士や医師も多くいらっしゃるので、看護師が医師へ
注射指示を出すこともあり(!)お互い新鮮に感じたりします。
認定試験について
技術試験と筆記試験があります。
技術試験
技術試験はさまざまなケースの中からランダムに出題され、適切なアルゴリズム(手順)を選択し実施できるかを評価します。
筆記試験
筆記試験はマークシート方式で、すべて講義中に習った内容が出題されるので、復習さえしっかり行っていればそれほど心配いりません。
その場で採点を受け、無事合格すればACLSプロバイダーとして認定されます。
ACLSプロバイダーになったあと
コース終了時にACLSプロバイダーの赤バッジとカードタイプの認定証がもらえます。
更新は2年毎です。更新時期になってもACLS協会から特に通知はないので、認定証に記載された有効期限を確認しましょう。
次のステップとして、より高度なACLS-EPプロバイダーにチャレンジすることもできます。また、ACLSコースインストラクターやコースディレクターなど、ACLSプロバイダーを養成するするスキルを学ぶコースもあります。
おわりに
ACLSプロバイダーになるためには、2日間みっちり研修を受けなければなりませんし、受講料も高額です。
しかし、もしもの現場に自分がいたとき、そこにある生命を救うカギとなるのは自分のスキルかもしれません。ぜひチャレンジしてみてくださいね!