ISLSは、ACLSやICLSなどの資格に比べると少しマイナーなイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。
ISLSは、日本救急医学会のICLSコースに脳卒中に関する項目がないため、ICLSを補完するためにが開発されました。
今回は、そんなISLSプロバイダーの資格取得方法とその講座について紹介します。
ISLSとは
Immediate Stroke Life Supportの略で神経蘇生基礎法のコースです。
だいぶ聞きなれない単語だと思いますが、一言でいうと、「脳卒中の初期診療に必要なスキル」を学ぶためのコースです。
脳卒中に特化しており、内容も結構マニアックですが、こんな資格(認定)もあるんだよ♪ということでご紹介します。
ISLSのコンセプト~Time is Brain~
脳卒中は時間との勝負です!!
脳は人間の中枢器官ですから、対応の遅れがそのまま生命危機に直結します。
特に、t-PA(血栓溶解療法)は超急性期脳梗塞に対する画期的な治療でありながら、そのリスクから投与できる時間が限られているため、モタモタしていたら適応のある患者さんなのに治療ができなくなったという事態になりかねません。
そのため、脳卒中の可能性を早期に抽出し、迅速な確定診断から治療までを行う体制が重要視されてきました。
ISLSは、そんな脳卒中における初療を標準化し、チームが連携して一刻も早い治療へつなげるためのコースです。
ISLS認定を受けるには
日本救急医学会と日本神経救急学会が合同で定めるISLSコースを受講する
必要があります。
受講資格は脳卒中症例に関わる医療従事者とされていますが、特に規定はなく
ナースはもちろん薬剤師や理学療法士が受講することもあります。
注意が必要なのは、コース申し込みには以下のうち、いずれかの救命処置コースを
受講済みであることが推奨されています。
- 日本救急医学会認定 ICLSコース
- 日本BLS(もしくはACLS)協会認定 BLSヘルスケアプロバイダー
- 日本ACLS(もしくはBLS)協会認定 ACLSヘルスケアプロバイダー
その他成人BLS、気道管理などの内容を含むコース
上記は必須ではありませんが、救命処置に関する基礎知識があることを前提にコースが進んでいくので、そのつもりで受講しましょう。
ISLSホームページから受講申し込みが可能です。
受講の流れ
コースは半日(約4時間)です。
数人でグループをつくり、それぞれインストラクターがついて指導にあたります。
演習は人形のこともありますが、患者役のインストラクターが演技をすることが多いです。
かなりの名演技をしてくれますので、焦らず対応しましょう。
コース内容
1. 意識障害の評価
ひとくちに意識障害といっても、その症状は実にさまざまです。
正しく評価するためには、評価スケールを理解し正しく使うスキルが必要です。
日本でよく用いられるJCS,GCSをはじめ、AVPUやECSというスケールに
ついても学びます。
2. 脳卒中の鑑別診断
一刻も早い治療のためには、一刻も早く診断をつけることが重要です。
ABC(気道、呼吸、循環)が安定していれば、つぎにD(神経学的徴候)について
必要な救命処置を行いながら観察し、安全に頭部CTへ搬送します。
3. 脳卒中スケールの評価
NIHSSスコアと呼ばれるスケールを用いた評価を行います。
これら11項目について評価しますが、このコースで難しい項目かもしれません。
患者役として実際に演技をするインストラクターに対し評価の訓練をします。
4. 全身管理
- 来院後10分以内→気道、呼吸、循環とバイタルサインの評価→BLS
酸素投与、静脈路確保、心電図、血糖是正など - 来院後25分以内→詳細な既往歴の聴取、正確な発症時間の特定
神経学的重症度の評価 頭部CTもしくはMRI - 来院後45分以内→鑑別診断と治療開始
5. 症例に対する対応
くも膜下出血、脳出血、脳梗塞などの症例に対する対応をシュミレーションします。
ちなみに、このコースは認定試験がありません。
すべてのカリキュラムを積極的に受講し、無事修了すれば修了証が発行されます。
ISLSコースを受ける方へ!
脳卒中に特化した少々マニアックなコースですが、意識障害や麻痺の評価について
ここまで詳しく行うコースはあまりないので、とても勉強になると思います。
Time is Brainを合言葉に、脳卒中初療のスペシャリストとして活躍できるスキルを
ぜひ体験してみてはいかがでしょう!