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ナースのスキルアップ資格 -災害支援ナースの実際と心構え-

公開日:2015年7月24日
最終更新日:2015年07月27日
(変更日:2015年7月27日) ※

災害時に現地で活躍する災害支援ナース。

前回の記事では、登録条件や講習内容など紹介しましたが、今回は、災害支援ナースの活動の実際と、持つべき心構えについてご紹介します!

災害支援ナースの活動の実際(東日本大震災での活動の一例)

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東日本大震災では、災害発生当日(3月11日)に災害対策本部が立ち上げられ、
支援ナース派遣のための調整を行ったのち、3月21日から派遣がスタートしました。
当然交通機関はマヒしているので、看護協会がバスを手配しての現地入りとなり、
避難所や医療機関に派遣されました。

では、実際に被災地へ入った災害支援ナースは、どのような活動を行ったのでしょうか?

避難所の環境整備 生活改善

避難所の環境は想像以上に悪く、多くの被災者が床に毛布を敷いて生活している状況でした。
避難所では、被災者の保温はもちろん、感染症対策や高齢者の方のDVT(深部静脈血栓症)への配慮が求められます。

そうした生活環境の改善のために

  • ベッドや寝具などの物品の確保
  • プライバシーへの配慮
  • 感染症患者の隔離とケア
  • 運動の指導

などを行いました。

 

避難所の環境整備 トイレの整備

また避難所の環境整備で、スタッフが特に苦労したのがトイレの整備

断水状態では当然水洗トイレは機能しません。きちんと処理されなければ臭気などで避難所の環境を悪くするだけでなく、排泄物による感染のリスクが心配です

実際、避難所内で嘔吐や下痢を起こす方が続出しました。その原因は、トイレ自体の不衛生や、土足でトイレを行き来するような環境の不十分さが考えられました。

また、トイレを我慢するために高齢者が水分摂取を控えてしまうと、さらにDVTの発生リスクが高くなるという問題が生じます。

そこで、災害支援ナースはトイレの大規模な清掃と環境整備を行いました。

  • ポータブルトイレや、段ダンボールにビニールと新聞紙や給水ポリマーなどを入れて作った簡易トイレを設置
  • 排泄物が飛散しないように、そのつど袋をしばる
  • トイレ周りにパーテーションを設置しプライバシーの配慮
  • トイレと避難所の履物の区別、手指消毒剤の設置
  • トイレを我慢せず、水分をこまめにとるよう声かけ

このような取り組みを経て、避難所の嘔吐や下痢などの症状は激減し、また新たな合併症を防ぐことにつながったと思われます。

災害支援ナースはDMAT(災害派遣医療チーム)のように、被災現場の最前線で活躍するわけではありません。
被災された方の健康を守るため、ナースのスキルを生かして「なんでもやる」。これが災害支援ナースのポリシーであるべきだと思います。

 

災害支援ナースの身分保障と待遇

所属施設から業務として派遣される場合を除いて、身分保障については日本看護協会と都道府県看護協会が協力して行います。

  • 移動中を含めた傷害保険の加入と負担
  • 交通宿泊費、看護活動に必要な衛生物品費および日当(日本看護協会より上限2万円)
    ※2万円を超えた場合は都道府県看護協会が負担

以前は「災害看護ボランティアナース」と呼ばれる制度でしたが、平成21年の体制整備に伴いボランティアの名称を外し「災害支援ナース」へ名称が変更になりました。とはいっても、基本的にはボランティアで、派遣による給料支給は原則ありません

上記のとおり、看護活動に必要な活動費と日当は支給されますが、自分の食費や身の回りのものはすべて自己負担になります。また現地派遣中の期間を勤務上どのような扱いにするかは、所属施設とあらかじめ相談しておく必要があります。また、出張として給与保証がある施設もあれば、欠勤扱いになる施設もあります。

 

災害支援ナースが持つべき2つの心構え

1.自己完結型

自己完結型とは他者に依存せず、自分のことは自分でどうにかするということです。
災害時において、被災者の方への衣・食・住の提供は何よりも優先されます。
災害支援ナースの分まで配慮する余裕なんてありません。
現地へ行く際は看護に必要な物資はもちろん、自分たちの食事や水、寝具や寝る場所もすべて自分で確保する心構えが必要です

 

2.使命感にとらわれない

災害支援ナースとして現地に入る方は「被災した方のために精一杯がんばるぞ」という熱い思いで現地入りされることが多いと思います。しかし、被災地は想像以上の厳しい状況で、限られた資源と限られた時間でケアをしていかなければなりません。

実際に被災地に行っても、何もできなかった、自分はなんて無力だったのだろうとバーンアウトしてしまうナースも少なくないのです。
何かを達成しようとする使命感にとらわれず、自分が派遣されたその期間にできることを精一杯実行するつもりで臨みましょう。

災害からの復興は長い長い道のりで、自分たちが関われるのはそのわずかな期間だけ。
でも、自分の足跡は必ず引き継がれていきますよ。

 

おわりに

毎年7月に災害看護支援ナース育成研修(全国インターネット講習)があります。
詳しくはお住まいの都道府県看護協会へ確認してみましょう。

災害支援ナースとしての学びは、自分が被災地へ支援に行くことだけでなく、もしも自分の住む町が被災地になったらどのように支援を受け入れるかといった視点も育ちます。
ぜひチャレンジしてみてください!

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