企業薬剤師の仕事内容についてはこちらの記事でも紹介しましたが、企業看護師といっても、様々な職種があります。
しかし、企業看護師の応募条件には、「正看護師免許(准看護師免許不可)」と「(病院での)臨床経験○年以上」の条件が含まれている事がほとんどです。
条件が厳しい場合には経験が少ないとNGで、他の現場での企業看護師としての経験がある看護師のみが対象になる場合もあるほどです。
病棟勤務でも外来でも、臨床経験には含まれますが、どちらかと言うと病棟勤務経験者の方が採用されやすい傾向にあります。
企業看護師に臨床経験を求めている理由は、
- 「少人数で行っているため、教育する余裕がない」
- 「商品開発やサービスの品質向上に看護師の意見をとりいれたい」
- 「幅広い看護の知識・経験が必要になる」
の大きく3点に分けられます。
今回はこれら3つの理由について詳しく見ていくことにしましょう。
理由その1:少人数で行っているため、教育する余裕がない
これは、企業看護師の中でも「会社の保健室の看護師」や「ツアーナース(旅行添乗)」に特に当てはまります。
多くの企業の場合、過剰な人材を抱える余裕はなく必要最低限の人数で業務をこなしていかなければなりません。これは、会社の保健室の場合でも同様です。
ほとんどの場合は1人、多くても2人と言う感じです。このような体制ですので、新人看護師を教育して一人前になるまで待っている余裕はありません。
しかし、少人数であっても幅広い業務をしなければならないのが企業看護師に求められる役割なので、そう言った背景からも臨床経験を求められる事に繋がってくるのです。
また、ツアーナースの場合は原則1人で行いますが、こちらは看護対象者の年齢の幅が大きく、色々なケースが想定されるため、それをこなしていけるだけの経験と知識が必要になってくるのです。
理由その2:商品開発やサービスの品質向上に看護師の意見をとりいれたい
これは企業看護師の中でも、「医療関連メーカー(医療機器、電子カルテ等)の開発担当や営業担当」に当てはまります。
メーカーは、ユーザーの声を聞いて製品開発に反映する必要があります。医療器具の場合は使用者が看護師になるので、新製品の開発や既存商品の改良の際には看護師の意見が必要になり、モニター的な役割が求められている訳です。
常日頃、「この機械はもっとこうした方が使いやすいのに」とか「電子カルテはこの部分が使いづらい」とか考えている方には、向いている仕事だと思います。
また、営業の場面でも、臨床経験がある看護師の提案の方が説得力を増しますので、企業から必要とされています。
理由その3:幅広い看護の知識・経験が必要になる
この理由は、「臨床開発モニター(CRA)」や「治験コーディネーター(CRC)」に特に当てはまります。
これらの仕事では、医療職(医師、看護師等)や医療関連企業、製薬メーカーと連携して仕事を進めていきますが、その際に看護の知識はもちろんのこと病院の仕組みを分かっておく必要があります。
また、カルテを確認する機会が多いので、カルテの扱いに慣れてなければなりません。
さらにCRCの場合は被験者に治験内容の説明する機会があるので、患者さんへの対応に慣れた看護師は重宝されます。
おわりに
希望する企業の求めるもの、を理解しましょう
企業看護師の求人では臨床経験が重視される理由については上記で説明しましたが、一口に臨床経験と言っても企業看護師の種類によって様々だと言う事もお分かり頂けたと思います。
重要なのは、希望する企業の求める臨床経験は何なのか?と言う事を理解する事です。
臨床経験があるからと言って、その経験が企業の求めるものと違っていれば、残念ながらその経験は企業看護師を目指す上での武器とはならないのです。
企業看護師は圧倒的に求人件数が少ない上に、人気のある職種です。ですから企業看護師を目指す場合にはやはり企業の事をしっかりと知っておく事が大事です。
看護系の人材紹介会社などではこのような企業看護師を募集している企業の情報も多く集まってくるので積極的に活用して、転職活動を成功させてください。