看護師は海外で就職しやすい職業の一つです。医療従事者は基本的に人間が暮らしているどの場所でも求められているからです。特に日本で暮らしていると分かりにくいかもしれませんが、医療が十分行き届いていない国が海外には沢山あります。
国によっても医療システムや事情は異なり、日本人が看護師として就職しやすい国とそうでない国とがあります。ここでは英語圏を中心に海外で看護師として働くには何が必要なのかを具体的に説明して行きたいと思います。
アメリカ合衆国
NCLEX(National Council of Licensure Examination-Registered Nurse)
アメリカ合衆国の場合、看護師として働くにはその州ごとに登録を行う必要があります。
そしてこの登録を行うには、このNCLEXという試験を受けねばなりません。
NCLEXにはNCLEX-RN(正看護師)とNCLEX-PN(准看護師)があります。
NCLEXに合格していると、単なる留学では取得しづらい就労ビザの申請や、アメリカの永住権の申請がスムーズに行われます。そのため看護師という職業はアメリカで働きたいと考えている日本人に人気があります。
CGFNS(Commission on Graduates of Foreign Nursing Schools)
NCLEXを受験するためにはさらにもう一つ試験が必要です。
NCLEX受験のためには、アメリカの大学か短大の看護課程を修了する方法が一般的ですが、既に日本で正看護師または准看護師の資格を取得している場合、看護知識や英語に関する能力を確認するための外国看護学校卒業正審議会の試験(CGFNS)に合格することでNCLEXの受験資格を得ることができます。
気になる英語力のレベルですが、目安としてTOEFLの場合は500~550点、IELTSの場合ではBand6.5ほどの英語力が必要となります。
イギリス
NMC(Nursing and Midwifery Council)
イギリスの場合、国家試験というものは存在しませんが、看護師免許の管理と養成プログラムの認定を行う看護助産審議会(NMC)に看護師として登録される必要があります。
正看護師の資格を持ち、ある程度実務経験を持つ場合は定められた基準に従い書類を作成しONP(Overseas Nurses Programme)という研修を受けることでNMCへ登録することができます。
看護師の資格を持たない場合は看護師養成コースを終了することで正看護師としてNMCに登録できるようになります。これには短くて2~3年ほどかかります。
また、近年イギリスでは移民の受け入れにポイント制が導入されていて、看護師は「不足する職種リスト」から外されているため、看護師として働くことは以前より難しくなっているといえます。
オーストラリア
NMBA(Nursing and Midwifery Board of Australia)
オーストラリアの場合は、NMBAに看護師登録をすることが必要です。(州によっては州の規制機関に登録をする場合もあります)
看護師の免許を持つ場合は英語力や受けている教育によっても異なりますが、規定のコースを修了し、登録機関に登録することで看護師として働くことが出来ます。看護師の資格がない場合は現地の大学などで学位取得後に実習を経て、登録機関で看護師として登録されます。(日本の国家試験に相当する試験はありません)
カナダ
カナダでは正看護師として3年以上の実務経験がある場合、州ごとの機関で審査を受け、語学試験に合格した後に国家試験に合格することで看護師として働くことが出来ます。
看護師の資格を持たない場合はやはり現地の学校に通う必要があります。
海外で働くためには…
看護師として海外の各国で働く際に共通して必要なこと、それは各国の言語を使ったコミュニケーション能力です。それぞれ文化や習慣なども違うため、そういった環境の違いを受け入れる事も大事です。
様々な分野に置いてグローバル化が叫ばれる中、海外で働くということも今では看護師として働く上での選択肢の1つである事は間違いありません。