脳血管性認知症がたどる経過
脳血管性認知症がたどる経過【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2015年5月12日
最終更新日:2015年5月12日
(変更日:2022年1月21日) ※
目的
- 血管性認知症がたどる経過について理解を深め、適切なケアを行う
概要
- 脳血管性認知症は脳血管障害発症後におこる認知症である
- 家族の目からみて、何年何月に発症した、とはっきり言えることもある
- 症状が突然現れるだけでなく、段階的な進行をたどり、脳血管障害が再発する度に悪化するのが特徴である
脳血管性認知症の進行経過
軽度から順に
- 歩行障害
- 意欲の低下
- 構音障害
- 記憶障害
- 失禁 という経過を段階的に辿ることが多い
全てがこのように進行するわけではないが、典型的な例を覚えておくとよい
進行予防
生活習慣の改善
- 脳血管障害をはじめ、動脈硬化や高血圧症、肥満、糖尿病などの生活習慣病を予防する
- 医師の指導や栄養指導を受けながら生活習慣の見直しを図る
禁煙
- 脳血管障害の主要因子となる喫煙は自力で止めることが困難な場合が多い
- 禁煙外来でのニコチン補充療法などを検討する
運動不足の解消
- 適度な運動を定期的に行うことは、脳血管障害の予防だけでなく、リハビリや治療の効果をあげるためにも重要になる
- 運動は体力の維持や向上だけでなく、精神を活発にするのにも役立つ
節酒
- アルコールの多飲は、心拍数の増加や血圧上昇、心負荷の原因となる
- 慢性的に飲酒の習慣がある場合、動脈硬化や高血圧、脳血管障害のリスクが高くなるため、節酒を指導する
脳血管性認知症は、適切な予防法により、進行を食い止めることも可能であるため、予防の重要性について、患者本人や家族に十分説明を行い、理解と協力を得る
発症後のケアとリハビリのポイント
その時にみられる症状を、その人らしさとして受け止める
- 脳血管障害の後遺症で性格変化が起こることがある
- 症状の出方によっては易怒性、感情失禁、夜間せん妄や徘徊なども出現することがある
まだら状態の理解
- 脳血管障害のある患者は、まだら状態(できることとできないことが日によって変化する)となることがある
- 手順やヒントを伝えるとできる場合もあるので、その時の状態をしっかり観察する
気分変動のパターンを把握する
- 1日あるいは数日単位で、気分や覚醒レベルに変動が見られる場合がある
- 生活のパターンをつかみ、関わり方の工夫を行う
廃用症候群の防止に努める
- 自発的な行動が少なくなると、運動機能だけではなく、認知機能の低下につながる
- 精神の廃用の防止に努める
- 趣味や日課などに積極的に取り組むようなスケジュールを組むよう心がける
脳血管障害の後遺症で、麻痺や運動障害がある場合、生活空間が狭小しがちになるため、患者の精神状態に配慮しつつ、積極的なリハビリを進めていくことが大切である
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