目的
直達牽引とは
- 直接骨にキルシュナー鋼線を刺入し牽引する方法
- 介達牽引に比べより多くの負荷(重錘)をかけられる
目的
手術までの待機期間の治療としても行われる
観察ポイント
- キルシュナー鋼線刺入部:発赤・疼痛・腫脹・出血・滲出液などの有無
- 疼痛:牽引による痛み・受傷によるもの・体位によるものなど、疼痛の原因を観察する
- 神経障害・循環障害:しびれ・腫脹・手指や足趾の運動状態などの有無
- 牽引状態:牽引方向・肢位の保持や重錘による牽引の状態など
留意点
- ブラウン架台や離被架の使用により、寝具と下肢の間に隙間ができるため、適切な温度調節が必要になる
※特に下肢の牽引の場合は隙間の部分が大きくなるが、意識障害がある場合や高齢者など、温度調節が難しい場合が多くなるため、十分な温度調節が必要 - 床上安静に伴う排便障害や食欲低下が起こりやすい
- 床上排泄の羞恥心により食事や水分の摂取を控えることもあるため、食事量や水分摂取量の観察を行う
- 容易に体位を変えられないため、手の届く範囲に必要なものをそろえ環境を整える
- 比較的長期間、同一体位を強いられるため、精神的ストレスへの援助が重要である
牽引力によって身体がその方向へ移動するのを防ぐため、ベッドの頭側を下げ対抗牽引をおこなうことがある
必要物品
- 局所麻酔用注射器
- 切りガーゼ
- 処置用滅菌手袋
- 消毒薬(ゲル状のものを使用する場合がある)
- キルシュナー鋼線
- 手動式ドリル
- 鋼線受け皿・固定ネジ
- 馬蹄型セット
- 注射針のキャップ
- ビニールテープ
手順
- 患者や家族に処置内容を説明する
- キルシュナー鋼線刺入部位を消毒し、滅菌シーツ(穴あき)をかける
介助を行う看護師は、下肢を適切な肢位(内外旋中間位)にて保持する
- 牽引療法は、医師が無菌操作でおこなう
- バイタルサインを測定する
- キルシュナー鋼線刺入部に局所麻酔をする
- ドリルにキルシュナー鋼線をセットし、牽引方向に対し直角に刺入する
- キルシュナー鋼線が左右均等に露出したら、キルシュナー鋼線からドリルを外す
- 左右のキルシュナー鋼線刺入部の根元に、消毒薬(ゲル状)を塗布した切りガーゼを挟む
- キルシュナー鋼線が左右にスライドしないように、鋼線受け皿・固定ネジを通し、しっかりと固定する
- キルシュナー鋼線と馬蹄型セットを左右のバランスをみながら固定する
- キルシュナー鋼線の先端に注射針のキャップをかぶせる
キルシュナー鋼線の先端は鋭利であり、刺入による事故を予防するために行う
- キルシュナー鋼線の先端を馬蹄型側へ折り曲げキャップごとビニールテープなどで固定する
- 牽引したい骨の長軸方向の延長線上に、牽引のロープがまっすぐ伸びるように調整する
牽引器の滑車の位置が低いと馬蹄型セットが脛骨に接触し、皮膚や神経を損傷する恐れがある
- 下肢の外旋による腓骨神経麻痺を防ぐため馬蹄型セットの水平保持に努める
- 落下の事故を防ぐため、重錘はできるだけ床に近い位置に設置する
直達牽引時の清拭・寝衣交換
- 患者の身体の動きにあわせて、ねじらないように下肢を牽引・支持しながら実施する
- 介助者:3~4人必要
- 1名:馬蹄型を片手で持ち牽引をかけ、もう片手で下肢を支持する
- 1名:大腿から膝にかけて支持する者
- 1~2名:清拭・寝衣交換をする者
牽引状態を維持しながら、素早く介助を行い疼痛や不快を最小限にすることが重要である
キルシュナー鋼線の挿入時などは大きな音がする上、骨への違和感(挿入されている感じ)などを感じるため、患者を同様させないような精神的な援助も必要となる
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