整形外科術後の疼痛管理
整形外科術後の疼痛管理【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年6月20日
最終更新日:2018年12月01日
(変更日:2023年12月26日) ※
目的
- 術後の疼痛管理をしっかりと行うことで、早期離床を促し、術後合併症予防や患者のQOL向上を図る
方法
アイシング(冷罨法)
- 急性期で痛みがある時は、患部を挙上してアイシングを行う
- アイシングの道具としては、ジェルタイプの保冷材・クライオカフ・氷枕などがあり、部位に合わせて選択する
- クライオカフとは、患部を包み込むカフと氷水を入れたタンクがホースで繋がったアイテムで、冷却水がホースを伝って循環し、カフ(患部)を圧迫しながら冷やせる
患部を挙上することで腫脹が軽減し、痛みが和らぐ為、適宜クッションや枕丸めたタオル、患肢挙上台などを使用する
薬剤
- 疼痛管理として最もよく行われるのが、薬物コントロールである
- 術後の疼痛管理でよく使用されるものとして、以下の薬剤がある
- 非ステロイド系鎮痛薬:フルルビプロフェン(ロピオン®)、インドメタシン坐薬(シオエ50®)、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン®)など
- 拮抗性鎮痛剤:ブプレノルフィン(レペタン®)、ペンタゾシン(ソセゴン®、ペンタジン®)など
持続硬膜外麻酔
- 硬膜外腔にカテーテルを留置し、脊髄の前根と後根をブロックして疼痛を抑える方法で、カテーテルは手術室で留置される
- 胸腹部や下肢など、さまざまな部位の術後疼痛管理に用いられ、疼痛の状況に合わせて、通常術後2~5日目で抜去される
- 持続硬膜外麻酔でよく使用されるものとして、以下の薬剤がある
- 麻薬性鎮痛剤:クエン酸フェンタニル、塩酸モルヒネなど
- 局所麻酔薬:塩酸ロピバカインなど
PCA(patient controlled analgesia)
- 静脈にカテーテルを留置し、患者自身が痛みの程度に合わせて鎮痛薬を追加する方法
- 看護師が薬剤を準備する時間が省略できるため、患者を待たせることがなく、患者の満足度が高くなるとされている
- PCAでよく使用されるものとして、以下の薬剤がある
- 麻薬性鎮痛剤:クエン酸フェンタニル、塩酸モルヒネなど
観察項目
- 患者の訴え:部位・種類・強さ・頻度など
- 痛みを訴えている部位の状態:腫脹・熱感・出血の有無・皮膚色の変化など
- 表情:苦痛様表情・冷や汗や顔面蒼白の有無など
- バイタルサイン:頻脈・血圧の変動・呼吸状態の異常・発熱の有無など
- 痛みがどの程度ADLに支障をきたしているか
- 夜間の入眠状態
- 食欲
アイシング
- 氷の量や冷感、保冷財の冷感
- アイシング部位の皮膚の状態
薬剤
- 既往歴(薬剤アレルギーの有無、胃潰瘍、肝障害、腎障害、血液異常など)
- 坐薬使用前後の血圧
- 坐薬使用後、しっかりと除痛できているか
- 薬剤の使用間隔
持続硬膜外麻酔
- カテーテルの固定はしっかりと行えているか
- カテーテル刺入部の皮膚の状態:疼痛や出血、テープかぶれの有無
- 呼吸状態:回数、リズム、酸素飽和度など
- 排尿困難の有無
- 時間当たりの薬剤注入量と残量
- 下肢のしびれや麻痺の有無
PCA
- カテーテルの固定はしっかりと行えているか
- カテーテル刺入部の皮膚の状態:疼痛や出血、テープかぶれの有無
- 呼吸状態:回数、リズム、酸素飽和度など
- 時間当たりの薬剤注入量と残量
アセスメント
- 疼痛の感じ方は人によって大きく違うため、「その人にとっての痛みの強さはどうか」という視点が重要となる
- 疼痛を客観的に把握するため、薬剤を使用する前後でVAS(visual analogue scale)やフェイススケールを用い、薬剤の効果を確認する
- 痛みが強くなる時間帯や動作等の情報はチーム全体で共有し、それに合わせて鎮痛薬の使用やケアの方法を考える
アイシング
- 氷の角が当たることで、患部に痛み刺激を与えていないか確認する
薬剤
- 除痛効果が得られない時には、疼痛の原因を追及する
- 薬剤の効果が消失してくる頃を見計らって、あらかじめ薬剤を使用する
持続硬膜外麻酔
- 患者の理解度によって、自己抜去の恐れがあるため、指導・観察が重要となる
- 薬剤が予定量注入できていない時は、刺入部からの漏れやチューブの閉塞がないか確認する
- 下肢の知覚異常や麻痺などが出現した場合は、すぐに医師に報告する
入眠中の呼吸状態には特に注意が必要で、異常があればすぐに医師に報告する
PCA
- 患者の理解度によって、自己抜去や過剰投与の恐れがあるため、導入の際や使用中の指導・観察が重要となる
- 薬剤が予定量注入できていない時は、刺入部からの漏れやチューブの閉塞がないか確認する
入眠中の呼吸状態には特に注意が必要で、異常があればすぐに医師に報告する
注意点
- 痛みを我慢しすぎる患者には、術後の疼痛管理の目的を説明し、本人が安心して鎮痛剤を使用できるよう促す
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