検体検査3 凝固系検査のポイント
検体検査3 凝固系検査のポイント【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年5月14日
最終更新日:2018年06月14日
(変更日:2013年5月9日) ※
目的
- 術前検査や出血症状があるときなどに、血液凝固能と線溶のバランスがうまく調整されているか否かを検査する
必要物品・準備
- 採血用シリンジ
- 凝固系スピッツ
※真空採血管の場合、真空採血管(スピッツ)、翼状針またはベネジュクト針など - 駆血帯
- 患者名等のラベル
- アルコール綿
- 非滅菌手袋
観察項目
PT(プロトロンビン時間)
- 正常値:10~13秒
- 延長の時:経口抗凝固療法(ワーファリンなど)、播種性血管内凝固症候群(DIC)、肝硬変などの肝疾患、ビタミンK欠乏症など
APTT (活性化部分トロンボプラス時間)
- 正常値:20~38秒
- 延長の時:先天性異常フィブリノゲン血症、ループスアンチコアグラントなど
フィブリノゲン
- 正常値:150~500 mg/dL
- 高値の時:脳血栓、糖尿病、悪性腫瘍感染症、ネフローゼ症候群など
- 低値の時:重症肝障害、DIC、先天性異常フィブリノゲン血症など
FDP(フィブリン・フィブリノゲン分解産物)・Dダイマー
- 正常値:FDP 5μG/ml未満、Dダイマー1μg/ml未満
- 高値の時:肺塞栓症、DIC、深部静脈血栓症、血栓性血小板減少性紫斑病など
ATⅢ(アンチトロンビンⅢ)
- 活性値:80~130%
- 低値の時:先天性ATⅢ欠乏症、DIC、肝疾患など
アセスメント
- 正常範囲から逸脱している数値の理由を検討する
- PT(プロトロンビン時間):外因系凝固異常の指標となる
- APTT:内因系凝固異常の指標となる
- フィブリノゲン:凝固機序の中でも最終段階にあたる凝固因子
- FDP(フィブリン・フィブリノゲン分解産物)・Dダイマー:血液凝固や線溶の充進状態の指標となるATⅢ(アンチトロンビンⅢ):凝固克進状態の有無を判断できる
注意点
採血時の注意点
- 採血容器には、3.2%クエン酸ナトリウム:末梢血液=1:9の割合で注入する
- 採血時は凝固防止のため、血後抗凝固剤と採取した血液を十分混ぜ合わせる
- 量が多すぎても少なすぎても検査結果が変動するので必ず規定量を入れる
保存時の注意点
- 可能な限り、速やかに検査をすることが望ましいが、止むを得ず翌日測定の場合、遠心分離処理後に血漿を凍結保存する
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