目次
目的
- 甲状腺機能の治療経過の指標、甲状腺疾患の診断を行う
必要物品・準備
- 採血用シリンジ
- 検査用スピッツ
※真空採血管の場合、真空採血管(スピッツ)、翼状針またはベネジュクト針など - 駆血帯
- 患者名等のラベル
- アルコール綿
- 非滅菌手袋
観察項目
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
- 正常値:0.5~5.0μIU/ml(電気化学発光免疫測定法ECLIAによる)
- 高値の時:クレチン病、橋本病、突発性粘液水腫、下垂体TSH産生腫瘍など
- 低値の時:下垂体性甲状腺機能低下症、バセドウ病、無痛性甲状腺炎など
遊離サイロキシン(FreeT4)
- 正常値:0.9~1.7ng/dL(電気化学発光免疫測定法ECLIAによる)
- 高値の時:亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、バセドウ病など
- 低値の時:下垂体性甲状腺機能低下症、突発性粘液水腫、橋本病など
遊離トリヨードサイロニン(FreeT3)
- 正常値:2.3~4.3pg/mL(電気化学発光免疫測定法ECLIAによる)
- 高値の時:亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、バセドウ病など
- 低値の時:下垂体性甲状腺機能低下症、突発性粘液水腫、橋本病など
サイログロプリン(Tg)
- 正常値:32.7ng/mL(電気化学発光免疫測定法ECLIAによる)
- 高値の時:亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、バセドウ病、甲状腺分化癌など
マイクロゾームテスト・サイロイドテスト
- 正常値:100倍未満(粒子凝集法:PA法による)
- 陽性の時:バセドウ病、SLE、橋本病、突発性粘液水腫など
アセスメント
- 正常範囲から逸脱している数値の理由を検討する
- 検査条件などによる手違い、測定ミス、計算違いの有無についても確認する
- TSHは視床下部から下垂体、甲状腺にかけての機能診断に有効であり、甲状腺機能障害のスクリーニングに役立つ
- FreeT4は、TSH・FreeT3とあわせて測定し、甲状腺機能や治療評価を行う
- FreeT4およびFreeT3の生理的作用としては、心拍数の増加、血糖値・代謝率の上昇や発育・成長などがある
- FreeT3は、甲状腺以外の手術や疾患に伴う体力低下によって、低値となる場合がある
- Tgは、甲状腺機能の破壊あるいは甲状腺の異常刺激などによって上昇する
- マイクロゾームテストやサイロイドテストはバセドウ病や橋本病などの場合に検出されやすい
注意点
- Tgを測定する場合、抗サイログロブリン抗体が陽性であると測定結果に影響があるため、自己抗体の有無を調べる必要がある