目次
目的
- ホルモンの感受性や、臓器からのホルモン分泌の増減について調べる
必要物品・準備
- 採血用シリンジ
- 検査用スピッツ
※真空採血管の場合、真空採血管(スピッツ)、翼状針またはベネジュクト針など - 駆血帯
- 患者名等のラベル
- アルコール綿
- 非滅菌手袋
観察項目
副甲状腺ホルモンインタクト(PTH-intact)
- 正常値:10~65pg/mL(電気化学発光免疫測定法ECLIAによる)
- 高値の時:偽性副甲状腺機能低下症、慢性腎不全(続発性副甲状腺機能亢進症)、原発性副甲状腺機能亢進症など
- 低値の時:高カルシウム血症(原発性副甲状腺機能亢進症以外の原因による)、突発性副甲状腺機能低下症など
コルチゾール
- 正常値:5~17.9μg/dL 早朝空腹時(放射性免疫測定法:RIA固相法による)
- 高値の時:異所性ACTH産生腫瘍、クッシング症候群、薬剤投与、ストレスなど
- 低値の時:アジソン病、下垂体前葉機能低下症、先天性副腎皮質過形成など
ヒト絨毛性ゴナドトロピン-βサブユニット(HCG‐β)
- 正常値:0.1ng/mL以下(放射性免疫測定法:RIA固相法による)
- 非妊娠時で高値を示す疾患:肺がん、膵がん、胃がん、 睾丸腫瘍、絨毛がん
インスリン
- 正常値:1.84~12.2μlU/mL 負荷前(化学発光酵素免疫測定法CLEIAによる)
- 高値の時:異常インスリン血症、クッシング病、インスリノーマ、肥満、末端肥大症、イン
スリン受容体異常症など - 低値の時:下垂体機能低下症、糖尿病、低栄養状態、副腎皮質機能低下症、膵疾患など
C-ペプチド
- 正常値:0.61~ 2.09 ng/mL 負荷前(化学発光酵素免疫測定法CLEIAによる)
- 高値の時:異常インスリン血症、クッシング病、インスリノーマ、肥満、末端肥大症、イン スリン受容体異常症など
- 低値の時:下垂体機能低下症、糖尿病、低栄養状態、副腎皮質機能低下症、膵疾患など
アセスメント
- 正常範囲から逸脱している数値の理由を検討する
- 検査条件などによる手違い、測定ミス、計算違いの有無についても確認する
- PTH-intactは、主として腎尿細管や骨に作用する一番重要なカルシウム調節のホルモンである
- コルチゾールはACTHによる分泌調節をうける副腎分泌由来のホルモンであり、夜間に低くなり、早朝に高くなる
- コルチゾールの主な生理作用は免疫機能抑制作用や脂質・糖・蛋白の代謝、電解質・血圧・水分の調節などがある
- HCG‐βは、HCG産生腫瘍や絨毛性疾患、妊娠、子宮外妊娠、流産の経過観察の指標や腫瘍マーカーとして有効な検査であり、妊娠によって値の上昇が見られた場合は、その週期によって値が大きく変動する
- インスリンは血糖降下作用がある唯一のホルモンであり、筋肉、脂肪組織、肝臓に糖分を取り込んで、グリコーゲンの合成を促すことで血糖を下降させる作用がある
- C-ペプチドは内因性のインスリンを調べるのに有効な検査であり、腎機能障害がある場合やインスリン抗体が血中に存在する場合に高値を示すことがある
注意点
- コルチゾールの値はストレスで変動がみられるため採血時は安静にすることが望ましい
- インスリンは溶血した場合、低値になるので注意する