固定処置に伴う神経障害の観察
固定処置に伴う神経障害の観察【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年6月20日
最終更新日:2018年11月27日
(変更日:2023年12月26日) ※
目的
- 固定処置に伴う神経障害の観察ポイントをしっかりと押さえ、重篤な神経障害を予防する
方法
橈骨神経麻痺
- 橈骨神経は上腕骨後方を走行し、上腕骨外側上顆の近位で、上腕外側から前方へと走行する
- 橈骨神経麻痺となると、母指指節間(IP)関節の伸展、手関節の背屈運動や中指節(MP)関節の伸展、母指の外転などができなくなる
正中神経麻痺
- 正中神経は肘のほぼ中央を走行する
- 正中神経麻痺になると、母指から環指における屈曲障害・知覚障害が出現する
尺骨神経麻痺
- 尺骨神経は上腕の内側から肘の内側、さらに手の小指側を走行する
- 尺骨神経麻痺になると、環指と小指の伸展が不可となり、手の尺側(小指側)に知覚障害が出現する
腓骨神経麻痺
- 総腓骨神経は坐骨神経由来の脛骨神経と並ぶ大きな神経であり、膝窩の上方から外側に走行する外側腓腹皮神経と浅腓骨神経・深腓骨神経に分岐する
- 腓骨神経麻痺になると、足関節や母趾の背屈運動が不可となる。また、下腿の外側~足の甲にかけての知覚神経を引き起こす
観察項目
上肢
- ギプスや包帯が各神経の走行部を圧迫していないか
- ギプスや包帯の締めつけが強くないか(皮膚への食い込みなどに注意)
- 手関節・手指の運動は可能か
- 手・手指、前腕のしびれや疼痛は無いか
下肢
膝蓋骨が外旋すると、敷布団や患肢挙上用クッション・ブラウン架台などで腓骨頭が持続的に圧迫される
- ギプスの縁が腓骨頭を圧迫していないか
- 足関節の背屈、足趾の背屈、総趾伸展ができるか
- 足部や下腿外側に知覚障害やしびれはないか
注意点
- 異常を発見した場合、ただちに医師に報告する
- 患肢挙上架台やクッションが腓骨頭を圧迫し、医原性の腓骨神経麻痺を引き起こすリスクがある
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