アレルギー性鼻炎患者への対応
アレルギー性鼻炎患者への対応【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年7月8日
最終更新日:2013年7月8日
(変更日:2021年4月27日) ※
目的
疾患の概要
- アレルギー性鼻炎とは、IgE抗体を介して鼻粘膜に起こるI型のアレルギー性疾患のことを指す
- 典型的な3大症状として、鼻閉、(水様性)鼻汁、(発作性あるいは反復性の)くしゃみがあり、花粉症の際は眼の掻痒感も症状として挙げられる
- 花粉症の症状は鼻炎のみならず、結膜炎、喘息、皮膚炎、咽喉頭炎などが含まれるが、室内塵(ダニ)や動物の毛、カビなどが原因のアレルギー性鼻炎は、花粉症には含まれない
- アレルギー性鼻炎は好塩基球上や鼻粘膜の表面にある細胞上で抗原抗体反応が起こり、化学伝達物質(ロイコトリエンやヒスタミンなど)が放出される
- 水様性鼻汁の増加くしゃみは、ヒスタミンの分泌により、鼻の粘膜上にある三叉神経の末端が刺激されることによって起こり、くしゃみ中枢の刺激が運動神経を経由することでくしゃみが起こる
- 同時に副交感神経を介して分泌腺が刺激され、水様性鼻汁の増加が起こる
アレルギー性鼻炎には、大気汚染などの環境因子も重要であるが、遺伝的な要因も関係している
- アレルギー性疾患の特徴として、鼻汁好酸球数や血清総IgE値の増加が挙げられ、アトピー性皮膚炎や気管支喘息でも高値を示す
- アレルゲンの特定には、アレルゲン皮膚試験や鼻粘膜誘発試験などが有効である
- 血清アレルゲン特異IgE抗体検査はリスクが少なく再現性も高いが、比較的高価であり、検査時間も長くなる
- 水様性鼻汁やくしゃみをきたすものに薬剤性鼻炎や感冒などがあり、 膿性や粘性の鼻汁を示すものに副鼻腔炎があるため、鼻X線検査や鼻CT、鼻内視鏡検査を併用することで鑑別診断を行う
治療
内服治療
- 受容体拮抗薬
- 第1世代抗ヒスタミン薬:咽頭の乾燥や眠気などの副作用が起きやすい
- 第2世代抗ヒスタミン薬:副作用の軽減、化学伝達物質遊離抑制効果もあり、化学伝達物質の受容体を阻害することで発症を抑制する
- 化学伝達物質遊離抑制薬
- 予防的な働きがあるので、花粉症の初期治療に使用されることが多く、アレルギー性鼻炎の発症を抑える作用がある
- 自律神経作用薬
- α交感神経刺激薬:血管収縮薬として鼻閉に対し用いられるが、連用により逆に鼻閉が長く続く場合があるため、短期間のみの使用とすることが推奨される
- 抗コリン薬:血管運動性鼻炎やアレルギー性鼻炎で、水様性の鼻汁が強い患者に適用され、鼻汁の減少と共に症状全体が軽快し、習慣性や副作用は少ない
- ステロイド
- 強い抗炎症作用があるため、短期間投与として主に使用される
- 特異的免疫療法
- アレルゲンが特定された患者の皮膚に一定量のアレルゲンを注射することにより、治癒もしくは長期的寛解が期待される、現在唯一の方法である
- 準備や治療そのものに時間がかかることと、効果の現れ方が緩慢なこと、そして、稀ではあるがアナフィラキシーショックを起こす危険性があるため、あまり普及していないのが現状である
施行の際、注射の内容量や濃度を間違えないようにし、アナフィラキシー症状の早期発見のため、注射施行後、約20~30分間は傍を離れないようにして、全身状態の観察を行う
アナフィラキシーショック時などにすぐに対応できるよう、点滴や酸素、エピネフリンなどの準備を事前にしておく
手術治療
- 主に鼻閉が長期に渡り持続している場合に行われることが多く、鼻粘膜切除術がこれまでの主流であったが、最近では高周波電気凝固やレーザー照射なども行われることが多い
- 鼻中隔の彎曲がある場合は、鼻中隔矯正術も同時施行すると更に鼻閉の改善が期待できる場合がある
観察項目
- 鼻閉、鼻汁、くしゃみの有無と程度
- 口呼吸、鼻こすり、鼻すすりの有無と程度
- 検査データ(血中・鼻汁好酸球数や血清総IgE値など)
- 症状が出現しやすい時期・場所
- ペットの飼育の有無
- 気温(冷・暖房など)に伴う症状の変化の有無
- ストレスの有無
アセスメント
- アレルギー性鼻炎の病態と原因の関連性を理解しているか
- 原因となるアレルゲン(ダニやスギ花粉など)は吸入性のものが大部分を占め、食物が原因となることはほぼないが、職業や地域により原因となるアレルゲンも変わってくるので、生活環境などの情報収集も必要である
- より正確な診断を得るには、血液検査、皮膚試験、鼻誘発試験などを加えることが大切である
室内塵やダニに起因するアレルギー性鼻炎の場合、鼻粘膜に蒼白や浮腫が見られることも多い
看護のポイント
- 小児の場合は必要性が理解できるような声掛けを行い、恐怖感を和らげながら協力を得る
- 治療を行うにあたっては、薬物療法のみでは治癒に至らず、自然寛解も少ないことから、自ら抗原を回避したり、取り除いたりなどの知識の習得のために、日常生活の指導を行うことが必要となる
- ダニがアレルゲンの場合は、繁殖を抑え、室内清掃をこまめに行う
- 体毛があるペットを飼っている場合は、ダニの繁殖の増強効果もあるので、より留意した生活をする
- 花粉症がアレルゲンの場合はメディアなどから花粉予報などの情報を活用する
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