眼底造影検査の介助のポイント
眼底造影検査の介助のポイント【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年7月19日
最終更新日:2013年7月19日
(変更日:2013年8月2日) ※
目的
必要物品・準備
- 生理食塩液
- 輸液チューブ
- 注射器
- 三方活栓
- 翼状針
- 固定用テープ
- フルオレセイン、またはインドシアニングリーン
- 救急用薬品
方法
- 検査の内容と使用する薬剤について患者に説明した後、同意書の記入をしてもらう
- フルオレセイン3~5mlと点滴セットを準備し、散瞳と皮内反応を施行する
- 点滴ルートを確保し、空調はやや涼しくしながら、楽な姿勢をとってもらう
- 検査をする側の眼のカメラの位置合わせとピント合わせを行う
- フルオレセインを側管から注入する
- 適宜、明るさを調整しながら撮影を行う
※造影剤の流入によって数枚の画像を撮影するため、数秒単位での撮影が必要となる
観察項目
アセスメント
- 検査の特性を理解しているか
- 造影剤を用いることで、カラー眼底写真だけでは不明な脈絡膜や網膜の詳細な病変の確認が可能となる
- 造影剤には、大別してICG(インドシアニングリーンを使用し、脈絡膜血管を主に造影するICG眼底造影)と、FAC(フルオレセインを用いて網膜血管から脈絡膜まで造影するフルオレセイン眼底造影)の2種類がある
- 網膜血管の異常で起こる疾患(網膜静脈閉塞症や糖尿病網膜症など)ではFAGを行う
- 加齢黄斑変性症は、脈絡膜血管の異常で起こり、FAGだけでは詳細不明瞭のため、ICGも施行する
- 糖尿病網膜症の場合、適切な時期にレーザー治療を行う必要があるため、病状の進行を抑えるためにも、FACで確実に病期の判定を施行する
- 検査においては、色素上皮異常、網膜血管そして脈絡膜循環状態が白黒写真として映る
- FAG写真の場合、血管と血管外に漏出した造影剤が白く撮影され、出血や、血管閉塞により造影剤が満たされていない部分は黒く写る
- 一枚の写真で映る範囲には限界があるので、状況に応じて眼底周辺の撮影も施行し、パノラマ写真にする場合もある
検査結果の見方
- FAG写真の低蛍光(黒)と過蛍光(白)を時間の経過と共に観察し、カラー写真と比較しながら検討することが大切である
- 腕から網膜循環時間の確認
- 網膜に造影剤が流入するまでは一般的に約10~15秒かかる
- 過蛍光の確認
- 網膜血管以外で白く染まる部分には4つの染まり方がある
- 貯留
- 透過性が亢進している血管内の血液成分が、一定の範囲で色素上皮下や網膜に貯留した状態
- 漏出
- 血液の成分が網膜血管から漏出し、時間の経過と共に拡大する状態
- 組織染
- window defect
- 網膜色素上皮に異常を来たしており、脈絡膜の蛍光が透過している状態
- 低蛍光の確認
- 充盈欠損
- 網膜毛細血管の閉塞が起こることにより、造影剤が流れていかずに暗くなっている状態
- 充盈遅延
- 網膜血管の循環障害によって造影剤が動脈などに流入する時間が遅延し、主要大血管とその支配領域が暗くなっている状態
- 蛍光遮断
- 白斑や出血で蛍光が遮断されており、周辺囲よりも暗い状態
- 網膜光凝固の跡
- 円~楕円形であり、中心部が暗く、周囲は白いが拡大しない
- FAGの結果を見る際には、造影の進行に伴い、明るい部分(過蛍光)と、暗い部分(低蛍光)の変化の推移を観察することが必要である
- 過蛍光は通常、血管漏出することのない造影剤が、何らかの異常により漏れている状態である
- 時間が経過するとともに過蛍光が拡大する場合は、血管の透過性亢進や新生血管を疑い、拡大が見られなければ網膜色素上皮剥離を疑い、OCTにて網膜の断面を確認する
- 糖尿病網膜症の場合は、毛細血管の閉塞(低蛍光)から始まり、閉塞範囲の拡大に伴って網膜の酸素不足が生じ、新生血管(過蛍光)が起こる
- 新生血管による過蛍光の場合、単独では存在せず、低蛍光を表す毛細血管閉塞領域の周囲に必ず存在し、透過性が亢進することにより黄斑浮腫も生じる
- FAGで黄斑浮腫の所見が見られた場合、患者の視力や症状を確認することも重要である
注意点
- ピントを合わせることに意識が集中してしまい、疾患に合わせた撮影が難しい場合もあるが、検査開始後は、中断はできないため、落ち着いて行う
- ピントが合った写真撮影が大切なため、普段から脈絡膜や網膜の疾患を学習し、たくさんのFAG写真とカラー写真を見て特徴を把握することが大切である
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