翼状片の診断と治療の流れ

翼状片の診断と治療の流れ【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年7月23日
最終更新日:2013年7月23日
(変更日:2022年11月29日) ※

目的

  • 翼状片のある患者に適切な看護を行う

疾患の概要

  • 翼状片は、比較的よく起こる病気であるが、目立つために、患者自身が進行に気づくことが多い
  • 良性翼状片結膜組織が何らかの原因で増殖し、角膜輪部を越えて角膜内へと侵入することによって起こる原因不明の疾患である
  • 翼状片が大きくなると瞳孔領や角膜乱視に混濁が見られ、乱視の悪化、視力低下を引き起こすので、それまでに切除を行うことが必要である
両側性や若年性の場合、繰り返し再発を起こす可能性がある注意して、手術適応や術式を決めることが重要である

看護のポイント

  • 疾患による乱視の悪化、視力低下などが起こる可能性がある場合、手術を前提に患者に説明する
  • 手術を行っても、再発の可能性があることや充血が残ること、すでに角膜混濁が起こっている場合は、手術後も混濁は残存することを十分に理解してもらう必要がある
  • 手術適応に至らない場合、翼状片自体は良性疾患であり、手術後間もなく再発する可能性があることを説明し、特に手術は急がなくても良いことを説明する

治療

  • 早期の翼状片の場合、治療は必要ないが、翼状片の先端部では涙液被覆の異常によって、慢性的な角膜上皮障害が起こる危険性があるので、人工涙液などを投与する場合がある
  • 瞳孔領にかかる恐れや強度の角膜乱視などによって視力障害が懸念される場合、手術治療を選択する
  • 初回手術では術中にマイトマイシンCを併用したり、羊膜移植や結膜弁移植を併用することもある

手術

  • 基本的に切除術を行うが、多数の追加術式が存在している
  • 切除の際は、翼状片の先端部を切除することで、増殖活性が上昇した結膜下組織を取り除く
  • 手術では十分に増殖組織を除去することが再発率の低下に最も重要となる
  • 単純切除術は切除後に強膜に結膜断端を縫着する方法だが、再発することが多いため、早期の場合以外は用いられないことが多い
  • 最もよく使われている補助療法は術中にマイトマイシンCの塗布する方法であり、増殖活性の高い細胞に対して、増殖と分裂の抑制効果がある
  • マイトマイシンCにが原因で起こる合併症に強膜軟化症や角膜穿孔があるが、予防として長時間作用させないこと、切除をする際、傷ついた強膜に作用させないことなどが挙げられる

再発予防

  • 再発予防の手術の工夫として、羊膜移植や結膜弁移植がある 羊膜移植は、冷凍保存した羊膜を、強膜に縫着する方法で、非常に有効な方法である
  • 何度も再発する再発翼状片に対して行われることが多い
  • 結膜弁移植は欠損部分に結膜を移動させることにより、再発を防止する方法で、完全に切除し、結膜片として移植する遊離弁移植と、切除せずに隣接する結膜を移動させる有茎弁移植がある

観察項目

  • 視力障害の有無と程度

アセスメント

  • 翼状片の病態を理解しているか
    • たとえ小さいサイズだとしても、強く角膜乱視が引き起こされている場合があるので、屈折異常、矯正視力、角膜曲率半径の測定や、角膜形状解析の施行も、手術適応の決定に関して重要な検査となる
    • 偽翼状片と病態が似ているが、偽翼状片の場合は基礎疾患として、化学外傷や周辺部角膜潰瘍などが関与してくるため、鑑別が大切である

注意点

  • 再発を繰り返した場合、結膜嚢の短縮によって眼球運動障害が生じるため、注意が必要である
  • 特に女性患者の場合、病態や症状が軽症であっても美容的に隆起性病変や充血が気になることが多いので、注意が必要である
本コンテンツの情報は看護師監修のもと、看護師の調査、知見、ページ公開時の情報などに基づき記述されたものですが、正確性や安全性を保証するものでもありません。
実際の治療やケアに際しては、必ず医師などにご確認下さい。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関しては本記載内容とは対応が異なりますので、必ず各病院ごとに作成されている感染症ガイドラインに従ってください。
本コンテンツの情報により発生したトラブル、損害、不測の事態などについて、当社は一切の責任を負いかねますので、予めご了承いただきますようお願いいたします。
※コンテンツの日付け表記ついて「公開日…ページを公開した日」、「最終更新日…情報を更新した日」、「変更日…システムやデザインの変更を行った日」をそれぞれ指します。
「いまさら聞けない看護技術」の最新情報をチェックしよう

当サイトは、「あした仕事で使う知識を学べる」ナース専用のハウツーサイトです。
Facebook または Twitter で最新情報をチェックして、職場の同僚と差をつけよう!

ナース転職サイト おすすめ 3サイト

転職しようかな…と考えている看護師の方には、以下の転職支援サービスの利用がおすすめです。

  • 看護roo!(カンゴルー)
    ● 累計利用者数50万人以上
    ● 求人数トップクラス
    ● 東証プライム市場上場企業
    ● 資格が活かせる病院以外の求人も豊富
    公式サイト 口コミ・詳細
  • レバウェル看護(旧:看護のお仕事)
    ● 求人数トップクラス
    ● 累計利用者数は40万人突破!
    ● 病院求人多数
    ● がっつり働きたい人におすすめ
    公式サイト 口コミ・詳細
  • マイナビ看護師
    ● CM多数!大手転職支援サービス
    ● 全国各地の求人をカバー
    ● ブランク・未経験OK求人が多い
    公式サイト 口コミ・詳細

もっと詳しく知りたい方は、「ナースの転職サイト比較ランキング」をご覧になり、自分にあった転職サイトを探してみてください!

ナースハッピーライフを通じて転職支援サービスに登録いただくと、売上の一部がナースハッピーライフに還元されることがあり、看護技術の記事作成や運営費に充当することができます。応援お願いいたします。

当ウェブサイトではサイトの利便性の
向上のためにクッキーを利用します。
We use cookies to enhance your visit to our site.
同意して閉じる
ACCEPT & CLOSE