検体検査25 感染症(細菌培養)検査のポイント

検体検査25 感染症(細菌培養)検査のポイント【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年6月25日
最終更新日:2018年06月13日
(変更日:2013年8月1日) ※

目的

  • 感染症(細菌培養)検査のポイントを理解する

必要物品・準備

  • 検体を採取するための器具や保管するための容器 ※検査する検体により採取するための器具や保管するための容器に違いがある
    • 喀痰や粘膜細胞:喀痰採取用の綿棒、綿棒専用の滅菌スピッツなど
    • 血液や髄液:採取用の針やシリンジ、専用の滅菌スピッツなど

検査の概要

  • 検体を採取する際は、粘膜、皮膚の常在細菌が混入することを可能な限り避け、確実に起炎病原体を含んでいる検体を採取することが必要である
  • 発熱が見られる肺炎患者の場合、検体の採取部位については血液培養を最低2セット、時間と採取部位を変えて採取する必要がある
  • 検体を採取後、何らかの事情により一時保存せざるを得ない場合、常在細菌や起炎病原体の増減を防止した状態の維持に努め、検体中にある微生物に適した環境条件において、搬送・保存を行う

検体の採取時期

  • 検査の目的を患者に説明し、最も良い条件で検体採取ができるように協力を求める
  • 抗菌薬が体内に投与されると約2~4時間で感染病巣に変化が生じ、必要な起炎病原体が検出できなくなりるため、検体採取は抗菌薬療法開始する前のなるべく早い段階で採取する

抗菌薬投与中の採取

  • 抗菌薬投与中に検体採取を行わざるを得ない場合、最低1日以上は抗菌薬投与を中止し、その後に採取することが望ましいが、中止できない場合は次回の抗菌剤投与直前に検体を採取する

消毒薬の混入、常在細菌の混入を回避する

  • 常在細菌の大量混入が尿や喀痰に見られる場合、起炎病原体の推定が難しくなるため、 尿を採取する時に尿道口を清拭し、初尿を廃棄する
  • 喀痰の採取前に十分な口腔ケアをし、可能な限り口腔内を清潔にしてから採取を行う
  • 便の場合、常在細菌の混入は回避不可能なため、採取後は速やかに検査室に搬送することが大切である

検体の乾燥を避ける

  • カテーテル先端や綿棒に付着したままの状態で検体が乾燥してしまうと微生物が死滅してしまうことがあるため、少量の滅菌生理食塩水で湿らせながら速やかに検査室へ搬送するか、専用輸送用培地に入れて搬送を行う

嫌気性菌の存在が疑われる場合(悪臭を伴う検体もしくは閉鎖性病巣)

  • 基本的に嫌気性菌は酸素に触れると菌の量が著明に減少するため、検体採取容器の中を検体で十分に満たし、酸素が存在する死腔を作らないようにするか、嫌気性菌の保存に適した専用容器に採取する
  • 検体の室温放置は厳禁 検体は培地の役目も果たしているため、検体を室温に置いたままの状態にしておくと細菌をはじめとする微生物が増殖して誤った検査結果が出る場合がある

検査室への患者情報

  • 微生物検査の場合、医師あるいは看護師から患者の情報伝達を行うことで、塗抹検 査(抗酸菌染色、グラム染色、その他の特殊染色による顕微鏡検査)をする時や、検査に適した培地と培養条件の選択が行われる
    • 感染症患者に必要な患者情報
      • 基礎疾患(血液疾患、HIV、心疾患糖尿病、悪性腫瘍など)
      • 感染症名(消化器感染、尿路感染、呼吸器感染、敗血症、皮膚軟部組織感染など)
      • 白血球数(分画)、体温(熱型)、CRPなどの炎症マーカーとなる検査データ
      • 理学所見、臨床症状
      • 化学療法の有無(抗菌薬、免疫抑制剤、ステロイド剤、抗がん剤など)
      • 手術の有無(侵襲度もしくは術式)
      • 気管切開の有無
      • 留置カテーテルの有無(膀胱内、血管内、腹腔内など)
      • その他(生活環境、生活習慣、職業、旅行歴、動物接触歴など)

アセスメント

  • 細菌感染症に対して、抗菌剤治療を行う場合、起炎病原体と感染臓器とを特定し、狭域抗菌薬でありながらも起炎病原体に対して感受性があり、感染臓器への移行が良好な抗菌薬を可能な限り選択する
  • 実際、臨床の現場ではほぼ全ての感染症において、検査を行わずに最初から起炎病原体を特定できないケースが多々あるため、経験的治療を施行せざるを得ないのが実態である
  • 経験的治療が効を奏するためにも、初期診療の段階から患者情報提供と適切な検体採収を施行することにより、細菌培養検査を活かすようにする

注意点

  • 適切な細菌培養による診断を施行するためには、患者情報や検体採取時の注意事項が重要となる
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