網膜剥離の診断と治療の流れ
網膜剥離の診断と治療の流れ【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年7月24日
最終更新日:2013年7月24日
(変更日:2022年11月29日) ※
目的
疾患の概要
- 網膜剥離の好発年齢は発症原因の違いから、若年者(10~20才代)と中高年(50~60才代)多い
- 20代の網膜剥離は、近視眼でしばしば見られる網膜周辺部の変性(網膜格子状変性)に円孔があることによって生じる
- 硝子体はしっかりとしたゼリー状になり、網膜と接着しているので、硝子体が網膜下へ侵入する力や網膜を牽引する力は少なく、剥離の進行は比較的緩徐であり、全く自覚症状がない場合もある
- 50代の場合、後部硝子体剥離(ゼリー状の硝子体が縮んで網膜と離れる加齢現象)が起こる時期でもあり、それによって部分的に網膜を強く牽引することで、網膜裂孔が生じる
- その多くは視野欠損、視力低下、飛蚊症、光視症といった症状が出現する
- 一度、裂孔が起きると、容易に液化硝子体が網膜下へ侵入していくため、比較的進行が速い
治療
- 網膜剥離とは、網膜色索上皮から感覚網膜が剥離することであり、治療方法は手術しかなく、剥離が黄斑部まで到達しているかどうかが、視力の予後を左右する重要なポイントである
- 手術方法には網膜復位術があり、その中でも強膜バックル手術(シリコーン製材(バックル)を強膜に縫い付ける)と硝子体手術の2種類がある
- ポイントは、硝子体の網膜を牽引する力を取り除くこと、膜下に貯留した液化硝子体を除去すること、原因となっている孔を閉塞させることの3つである
- 強膜バックル手術
- 若年層の網膜剥離や、裂孔の数が少なくバックルを置きやすい位置に限局している場合に行われ、ある程度の疼痛がある
- 原因裂孔がある場所に外側から強膜へとシリコーン製材(バックル)を縫い付けることで、内側に凹みを作り網膜復位を獲得する術式である
- 裂孔周辺部分には強膜側から冷却(冷凍凝固法)や熱(ジアテルミー凝固法)による療痕を作ることにより、裂孔を閉鎖させる
- 硝子体手術
- 中高年の網膜剥離が適応となり、痛みが比較的少なく、白内障を併発している場合、白内障手術も同時に施行されることがある
- 硝子体を除去することにより、網膜牽引の軽減を図り、網膜の接着、裂孔閉鎖を施行する
観察項目
- 視野障害、飛蚊症、光視症の有無と程度
- 術後疼痛の有無
アセスメント
- 網膜剥離の病態について理解し、適切な観察と問診が行えているか
- 発症の好発年齢に2つのピークがあるのは、発症の要因が異なるためである
- 急激な発症や進行により、緊急手術となることもあるため、現病歴の経過については慎重に問診を行う
看護のポイント
- しばしば緊急手術になる場合もあるので、手術も念頭に置き、診察が早めにできるよう調整することも大切である
- 放置することで失明してしまう場合もある疾患であることを患者さんには十分に説明する必要がある
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