目的
- 声帯ポリープ患者へ適切な対応を行う
疾患の概要
- 声帯ポリープとは声帯に生じる良性の腫瘤であり、様々な色や大きさがある
- 咳払いや、音声の酷使などで声帯に刺激が生じ、粘膜の出血や血液循環障害が起こり、ポリープが形成される
- 赤いポリープの場合、病変部においてフィブリンや赤血球が血管外に見られ、毛細血管の破綻や新生が起こっている
- 白いポリープの場合、膠原線維の増生や浮腫が大部分を占めている
- 主症状は頃声であり、その程度はポリープの大きさ、硬さ、発生部位などによって変化する
- ストロボスコープでは、病変部位での粘膜波動障害が起こり、両側の振動位相のずれなどが見られる
治療
- 有茎性で、小さいポリープの場合、日帰り手術が可能だが、多くの場合は、全身麻酔下での喉頭微細手術(ラリンゴマイクロサージェリー)を施行する
日帰りで行うポリープ摘出術
- 咽頭内の吸入麻酔を施行後、フレキシブルファイバーを鼻内より挿入し、テレビモニターで声帯を拡大視しながら、ホリープを摘出する
- 吸入麻酔施行時、普通の呼吸でも十分に麻酔の効果があることを説明し、過換気予防のため、大きな深呼吸をしないよう指導する
- 手足の痺れや気分不快が生じた場合はすぐに中止し、バイタルサインの観察を行う
- 術後は約3日間、発声禁止とする
喉頭微細手術(ラリンゴマイクロサージェリー)
- 気管内挿管による全身麻酔またはNLA(神経遮断麻酔)で手術を施行する
- 患者は仰向けとなり、口から喉頭鏡を入れ、手術用の顕微鏡で声帯を拡大し、ポリープを摘出する
- 術後は一定期間の沈黙が必要である
- ポリープを切除した部位は粘膜が露出した状態であり、発声によって粘膜の創傷治癒が遅延するため、一定期間(約5~7日間)発声を禁止する
- 術後に粘膜浮腫を防止するため、点滴内にステロイドを混注する場合もある
- 術後、空気の乾燥は避けるようにし、吸入療法も併用する
観察項目
- 嗄声の有無と程度
- 術後の咳の有無と程度
看護のポイント
- 発声禁止の期間は意思疎通の方法(筆談、合図など)の工夫を行い、コミュニケーションがスムーズに行えるよう配慮する
- 可能な限り、術後の咳払いは避け、咳をしそうな場合は水分摂取をしてもらうが、持続する場合は、鎮咳薬の内服を検討する
- 発声の許可が出た後も、長時間の発声や大声を出すことは避け、必要時はボイストレーニングなどを行い、正しい発声ができるようにする