尿道下裂患者の術前・術後ケア
尿道下裂患者の術前・術後ケア【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年8月1日
最終更新日:2018年05月01日
(変更日:2013年8月2日) ※
目的
疾患の概要
- 尿道下裂とは男児の尿道が正しい位置にまで形成されていない状態のことを指す
- 症状が高度の場合、左右に陰嚢が分かれており、陰茎自体の発達不全が見られ、外陰部の見た目が女児に似る場合があるため、性別の判定検査を行うこともある
症状
- 外尿道口の位置異常があるため、立位時の排尿に支障が起こる
- 陰嚢側に陰茎は屈曲するため、将来的に性交に影響が生じる場合がある
治療
- 手術は外尿道口を陰茎先端に戻し、陰茎の屈曲を修正することが目的である
- 多くの場合、一期的修復術の施行が可能であるが、高度尿道下裂の場合は、複雑な形態を有しているため、段階的修復術を行うこともある
- 手術時期は、生後6~12ヶ月の間に施行するのが望ましい
看護のポイント
術前
- 家族に、医師の説明に対しての理解度の確認を行い、適宜、追加説明を行いながら、入院術前オリエンテーションを行い必要な検査を進めていく
術後
- カテーテル管理
- 術後は、形成した尿道の安静保持のため、尿道カテーテルが挿入されている
- カテーテルの先端は開放されており、普段使用しているおむつあるいはパンツの中テープ式おむつで包みこんだ状態で入れ、尿を受ける状態とすることがある
- 術後の看護で最も重要なのは、尿道・尿道口の安静保持のため、確実・安全にカテーテルを固定することである
- 創部の状態
- 出血・腫脹・発赤・色調の変化の観察を行う
- 腫脹・発赤は、術後~1日目にみられることが多いが、次第に軽減していく
- 少量の出血がある場合は、出血量の増強の有無を確認しながら、止血されるのを待つ
- 尿漏れの有無・量
- カテーテルを通った尿は、おむつに排泄される形となるが、その際、尿漏れがみられ場合があり、原因としては腹圧の上昇やカテーテルの屈曲・閉塞が考えられる
- どのような時に漏れるのかの観察や、漏れとカテーテルとの尿量の割合を確認し、カテーテルの閉塞が疑われる場合は、抵抗の有無を確認しながら生理食塩水を注入する
- 改善が見られなければ医師に報告する
- 創部の固定状況
- 創部の固定は術後1日日以降は、ドレッシングのほか、テープで創部の保護とカテーテルの固定を行う
- カテーテルの固定状況
- カテーテルは、挿入部に対し、垂直に保てるようにし、患児の手が中に入らない程度の余裕を持たせて固定し、二次固定を下腹部に行う
- おむつの交換
- おむつの重みでカテーテルが牽引されるのないよう、定期的な交換を行う
- 交換時は、カテーテルの屈曲やねじれが生じないよう、カテーテルは動かさずに、おむつをカテーテルに巻く形で行う
- 創部テープの交換
- 創部の刺激となるため、テープを剥がすことは必要最小限で行う
- ガーゼ部分の境界部分とテープの粘着部分が亀頭部のカテーテル挿入部に当たるように貼り、カテーテルに粘着部分を先に付け、ガーゼ部分は創部から陰嚢に沿う形で貼る
- カテーテル固定テープの交換
- 運動や発汗によって、剥がれる場合があるため、剥がれかけている時には、適宜、交換する
- 固定時は、直接的に皮膚を圧迫しないようにする
- 術後安静
- 基本的に活動制限はないが、カテーテルの自己抜去防止や、患児のストレス、体動状況などを考慮しながら、場合によっては安静が必要になることもあるため、家族からも協力が得られるようにする
- 点滴管理
- 創部の感染予防のため術中と術後に抗菌薬の点滴投与を行い、点滴終了後は数日間抗菌薬の内服を行う
- カテーテル抜去後 術後約14日程度でカテーテルを抜去する
- 創部の観察
- 出血、発赤、排膿、痂皮形成の有無を観察する
- 抗菌薬が入った軟膏塗布が開始するので、家族に説明を行う
- 尿線の観察
- 排尿時痛
- 一般的にカテーテル抜去後の排尿時には疼痛が生じることが多い
- 尿道狭窄がある場合も、排尿時痛をきたすことがあるため、排尿間隔、痛みの程度や頻度、膀胱の緊張状態などの観察を行いながら、必要時はカテーテルの再挿入を行う
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