目次
目的
- 寄生虫検査の基礎知識について理解する
必要物品・準備
- 検体を採取するための器具や保管するための容器
検査の概要
症状から推測できる寄生虫疾患と検査法
消化管症状
- 主な検体:十二指腸液・便
- 検査方法:セロファンテープ法
- 直接塗抹法:日本海裂頭条虫、回虫
- 遠心沈殿集卵法:横川吸虫、鞭虫、日本住血吸虫(初期のみ)
- 遠心沈殿集卵法・直接塗抹法:縮小条虫、糞線虫
- 飽和食塩水浮遊法:小型条虫、東洋毛様線虫
貧血症状
- 主な検体:便
- 飽和食塩水浮遊法:鉤虫類
- 直接塗抹法:広節裂頭条虫
肝臓・胆嚢障害
- 主な検体:血清、便、胆汁
- 血清による免疫学的方法:マンソン住血吸虫、日本住血吸虫
- 遠心沈殿集卵法:肝吸虫、肝蛭
肺炎・咳
- 主な検体:喀痰
- 血清による免疫学的方法:糞線虫、回虫の幼虫以降
- アルカリ処理検体の遠心集卵:宮崎肺吸虫、ウエステルマン肺吸虫
ほとんど無症状
- 主な検体:便(虫卵あるいは成熟片節)
- 血清による免疫学的方法:マンソン裂頭条虫 直接塗株法:無鉤条虫、日本海裂頭条虫
アセスメント
直接塗沫法
- スライドガラスに直接便を置き、生食で溶解してカバーガラスをかけて行う検査である
- 一日の産卵数が多い寄生虫や日本海裂頭条虫、回虫、またランブル鞭毛虫(ジアルジア)や赤痢アメーバの栄養体の鑑別にも用いられる
遠心沈殿集卵法
- 非常に感度良好で、ほとんどの虫卵の検出が可能である
- 赤痢アメーバやジアルジアの嚢子(シスト)の鑑別や寄生虫疾患のスクリーニング検査にも用いられる
飽和食塩水浮遊法
- 飽和融解度を超えた食塩水を試験管に入れ、便を溶解し、食塩水を満載させてから卵を浮かせスライドガラスに添付し、検査する方法である
- 遠心沈殿集卵法を用いることが多いため、実際に行う機会はほとんどない
寒天平板培養法・濾紙培養法
- 幼虫を検査する方法のひとつである
- 鉤虫類の場合、感染型幼虫にならないと鑑別困難なため、成長させてから判定を行う
- 寒天平板培養法は、幼虫の遡行や発育の観察も可能である
- 両検査共に糞便を常温に置いて、約2週間ほど経過後に鑑別するため、幼虫の存在が確認された時に行う
セロファンテープ法
- 主に蟯虫の疑いがある場合に行う検査法であり、健康診断などでも多く用いられる
- 蟯虫は便からの検出が困難なため、肛門付近にあると思われる卵をセロファンテープに採取して検査を行う
注意点
- 寄生虫卵は雌雄同体あるいはメス虫寄生の場合のみ検出可能となる
- 老虫寄生や幼虫、オス単独寄生の場合は検出困難なため、抗体検査も並行して行うことが望ましい
- 最低3日連続の検査を行うことにより、感度が上昇する