車イス移乗訓練
車イス移乗訓練【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年9月4日
最終更新日:2018年12月01日
(変更日:2023年11月24日) ※
目的
- 下肢の術後は安静目的で車イスを利用する場合があるため、安全・安楽に車イス移乗が行えるように援助する
方法
- 車イスとベッドとの移乗時に荷重制限を守り、転倒のリスクを軽減する
- 患者の疾患および術式・バランス感覚や筋力に合わせた指導内容を理解しておく
- 患者の個性を理解し、確実な指導をするとともに、ベット上の生活から活動範囲を広げるよう援助する
ベットから車イスの移乗(患肢の免荷指示がある場合)
- 車イスの整備をする
- ブレーキ、空気圧、シート、フットレストの破損の有無はないか確認する
- ベットの環境を整備する
- ベットストッパーやコードなど邪魔になるものを片づける
- 安全なスペースを確保する
- ベットの高さを調整する
- 患者の服装を確認する
- 滑りにくく、転倒の危険性が低い履物であるか確認する
- ギャッチアップもしくは端坐位になり、起立性低血圧になっていないかを確認する
- 車イスをベットに対して20~30度の角度で健側におきブレーキをかけ、フットレストをあげる
- 健側の靴を履くよう促す
- ベット柵を健側の手でつかみ立位となる
※必要に応じて、安定した立位となるよう腰を支えるなどの介助を行う - 健側の手で奥のアームレストをつかみ、健側の足を一歩前へ踏み出す。そのまま回旋しながら車イスの方へ背を向け、患側の手でアームレストをつかみ、ゆっくり座る
- 健側の足でフットレストを下げ、足をのせる
車イスからベットの移乗(患肢の免荷指示がある場合)
- ベットの健側から足側1/3のところに車イスをつける
- 確実にブレーキをかける
- フットレストをあげて健側に荷重しながら足を下ろす
- 健側の手でベットの柵を、患側の手でアームレストをつかむ
- 健側に徐々に荷重しながら立位となる
- 患側の手をアームレストからはずし、健側の手でベット柵をにぎったまま健側の足を一歩前へ踏み出す。ゆっくり回旋し、ベットに戻る(端坐位になる)
- ベットの環境を整備し、元に戻す
観察項目
- 筋力低下の有無、状態
- バランス保持能力の有無、状態
※健側下肢への荷重と、上肢で何かにつかまった状態で立位が保持・安定できるか - 理解力の有無、状態
- 身体可動性の障害の有無、程度、部位
- 安静度
- ラインやカテーテルの有無
アセスメント
- 車イスの原理・原則にそった介助ができたか
- 患者の術式、筋力、バランス感覚に合った指導ができたか
- 患者の個性を理解した関わりができたか
注意点
- 確実な指導ができるように信頼関係を築いておくことが必要となる
- 筋力低下がある場合は移乗時に転倒のリスクが高くなるため、患者の筋力を十分に把握する
- 理解力が低い場合車イスの移乗を単独でするのは危険なため、患者の理解力の判断は重要になる
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