僧帽弁狭窄症患者への対応

僧帽弁狭窄症患者への対応【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年8月24日
最終更新日:2018年04月07日
(変更日:2013年8月9日) ※

目的

  • 僧帽弁狭窄症患者に適切な対応を行う

疾患の概要

  • 僧帽弁が狭窄することによって、拡張期における左心房から左心室への血液の流入に障害がある状態をさす
  • 左房圧の上昇が生じて肺高血圧になり、心拍出量の低下が認められる
  • 心房細動(AF)が起こり、左房や左心耳内の血栓に伴う脳塞栓が続発する
  • 成人でみられる僧帽弁狭窄症の病因はほとんどがリウマチ性(リウマチ熱後の弁膜炎)である リウマチ熱が減少することに伴って、僧帽弁狭窄症自体も減少傾向が見られる

臨床症状

  • 動悸、不整脈、労作時呼吸困難
  • 心尖部の聴診にて僧帽弁開放音、Ⅰ音の上昇、拡張期ランブルが認められる

確定診断

  • 断層心エコーで、僧帽弁前尖の特徴的ドーム形成、弁口面積の減少、弁下構造の変化を確認する
  • 経食道心エコーで左房血栓の確認を行う

治療

  • 軽症の場合は経過観察を行い、中等症以上の場合は内科的もしくは外科的治療を行う
  • 薬物治療
    • ぺニシリン投与(若年者):リウマチ熱の再発予防
    • 利尿薬などの投与:心不全症状の軽減
    • ベラバミル、ジギタリス、β遮断薬の投与:心拍数のコントロール
    • ワーファリンの投与:心房細動による塞栓症の予防
  • 外科的治療
    • 直視下僧房弁交連切開術(OMC)
    • 経皮的僧帽弁交連切開術(PTMC)
    • 僧帽弁置換術(MVR)
三尖弁閉鎖不全を伴う場合は、三尖弁輪縫縮術も行うことがある

アセスメント

  • MSでは弁口面積により重症度が決まり、中等度から高度狭窄の場合はPTMCの手術適応となる
    • 高度狭窄:僧房弁の弁口面積 <1.0 平方センチメートル
    • 中等度狭窄:僧房弁の弁口面積 1.0~1.5 平方センチメートル
    • 軽度狭窄:僧房弁の弁口面積 1.5~2.0 平方センチメートル
    • 正常:僧房弁の弁口面積 4.0~6.0 平方センチメートル
  • 弁膜症が複数合併している例(MS+大動脈弁閉鎖不全 AR)などもあるが、それぞれの弁膜症による血行動態異常が軽減され、重症度が過小評価される場合があるので注意が必要
  • 手術適応や術式決定の際には、弁膜症の組み合わせやそれぞれの重症度の評価を正確に行う必要がある
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