歩行障害の鑑別
歩行障害の鑑別【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年8月11日
最終更新日:2013年8月11日
(変更日:2016年3月15日) ※
目的
- 歩行障害とは何か、鑑別の仕方と流れ、アセスメントのポイントについて理解する
歩行障害の鑑別
- パーキンソン歩行(小刻み歩行)
- 前傾、小刻み、あまり手を振らない、すくみ足、加速歩行、突進現象
- 大脳基底核障害
- パーキンソン病、パーキンソン症候群(血管性、薬剤性)、MSA-Pにみられる
- 痙性片麻痺歩行(スパスティックヘミプレジックゲイト)・ぶん回し歩行(円弧歩行)
- 痙性片麻痺で麻痺側の関節は十分動かず下肢が伸展、つま先は垂れている事が多い
- 錐体外路障害
- 血管障害、頸椎症性脊髄症、多発性硬化症にみられる
- 痙性対麻痺歩行(はさみ脚歩行)
- 足尖歩行し両膝を擦るように歩く
- 両大脳半球・脳幹・脊髄側索の両側錐体外路障害
- 家族性痙性対麻痺、脳性麻痺、HTLV-1関連脊髄障害(HAM)にみられる
- 間欠跛行
- 歩行を続けると下肢の痛み・疲労感が増強し足を引きずるが、休むと再び歩ける
- 下肢や脊髄の循環障害、馬尾の圧迫
- 閉塞性動脈硬化症(ASO)、閉塞性血栓性血管炎(TAO)、ルリッジ症候群、脊髄動脈硬化症、腰部脊椎管狭窄症 にみられる
- 鶏歩(ステッペイジゲイト)
- 垂れ足(ドロップフット)のため膝を高く上げつま先から投げ出すように歩く
- 下位運動ニューロン障害(総腓骨神経麻痺で生じる下腿筋の筋力低下)
- シャルコーマリートゥース病、総腓骨神経麻痺、ポリオ、糖尿病にみられる
- 動揺性歩行(ワドリングゲイト)
- 腰を左右に揺すり歩く(膝伸展制限)
- 腰帯筋の障害
- デュシェンヌ型筋ジストロフィー、多発性筋炎、クーゲルベルグウェランダー病にみられる
- 運動失調性歩行
- 小脳性・前庭性(酩酊様歩行)
- 両足を開き(開脚性歩行)酔っぱらった様に全身動揺させる、小脳性の場合ロンベルグ徴候なし
- 小脳、前庭神経障害
- 脊髄小脳変性症(オリーブ橋小脳萎縮症、皮質性小脳萎縮症、遺伝性脊髄小脳変性症)、ウェルニッケ脳症、前庭神経炎にみられる
- 脊髄後索性(踵打歩行)
- 足元を見ながら両足を開き踵を打ちながら歩行、ロンベルグ徴候あり
- 深部感覚障害による感覚性運動失調(位置覚、振動覚)
- 脊髄癆、亜急性脊髄連合変性、フリードライヒ運動失調症にみられる
観察項目
- 歩行障害のパターン、動きと部位、持続時間の把握
- 患者の基礎疾患と治療内容(内服薬など)の把握
- 患者の理解度、精神状態の把握
- 検査結果の確認(血液検査、CT検査など)
アセスメント
- 歩行障害のパターンや特徴を理解し、適切に鑑別・原因検索が行えたか
注意点
- 疾患・障害部位によっては特徴的な歩行異常を認め、適切な問診と歩行の診察が重要となる
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