目次
目的
- 泌尿器科の概要を理解し、手術の準備・介助を行うことができる
概要
- 泌尿器科手術の範囲は、副腎・腎臓・尿管・膀胱・前立腺・精巣などである
- 術式によっては、術後にICUなどへ帰室する場合がある
手術部位と主な術式
副腎
副腎摘出術
- 適応:副腎皮質腺腫(原発性アルドステロン症)・クッシング症候群・副腎髄質腫瘍(褐色細胞腫)
- 手術の概要
- 反対側の副腎が正常であれば、病側の副腎を腫瘍とともにすべて摘出する
- 腹腔鏡下で行うこともある
腎臓・尿管
腎摘出術
- 適応:腎細胞癌・無機能の水腎症・膿腎症・腎結核など
- 手術の概要
- 反対側腎機能が正常であれば、腎臓のみ摘出する
- 腎細胞癌では、腎臓とともに腎周囲組織と副腎を合併切除する
- 腹腔鏡下で行うこともある
腎部分切除術
- 適応:腎細胞癌・腎血管筋脂肪腫・腎結石
- 手術の概要
- 反対側腎機能が低下している場合は、腫瘍が比較的大きくても、できるだけ腎を温存する
- 反対側腎機能が正常でも、小腫瘍の場合は腫瘍部のみを切除する
- 腹腔鏡下で行うこともある
腎尿管全摘術
- 適応:腎盂癌・尿管癌
- 手術の概要
- 健常な尿管部分を残すと高率に再発する
- 腫瘍がある側の腎尿管を膀胱までの全長切除する
- 腹腔鏡下でおこなうこともある
膀胱
経尿道的膀胱腫瘍摘出術
- 適応:膀胱腫瘍(筋層浸潤のない表在癌)
- 手術の概要
- 経尿道的に膀胱腫瘍を摘出する
- 浸潤癌の場合、生検目的で行うこともある
前立腺
経尿道的前立腺切除術
- 適応:前立腺肥大症・前立腺癌
- 手術の概要
- 経尿道的に前立腺腫を切除する
- 前立腺すべてを切除するわけではなく、尿道面に出ている部分(内腺)を切除する
- 術後は、牽引圧迫止血を行う
前立腺全摘術
- 適応:前立腺癌
- 手術の概要
- 前立腺・精嚢腺を合併切除する
- 4~5cmの尿道が切除され、膀胱を引き下げて尿道の断端と吻合する
- 尿道括約筋を温存し尿禁制を保つ
- ダヴィンチを使ったロボット手術がおこなわれることもある
精巣
精巣摘出術
- 適応:精巣癌・精巣結核
- 手術の概要
- 癌の場合は、精巣を支配している動静脈を精索ごと切離し、陰嚢内から精巣を摘出する
手術介助のポイント
直接介助(器械出し)のポイント
- 器械は腎摘セット・肋骨切除セット・前立腺セット・切除鏡セットなどがある
- 術後にドレーン挿入を行う場合は、予め準備しておく
- 針・器械・ドレーンの切れ端などの体内異物遺残の予防が重要となる
間接介助(外回り)のポイント
- 術式に合わせた麻酔の準備、体位固定の準備を行う
- 体位は仰臥位のほか、載石位、側臥位、ジャックナイフ位などがあるので、予め確認して、必要物品を準備しておく
- 手術の流れを理解し、術中に必要となる器械や医療材料を、清潔野へ追加する
- 予め患者情報を収集し、考えられるトラブルに対する用意をしておく
- 経尿道的手術の場合は、還流が途切れないことと、術中からのTUR症候群に注意する
- 手術中は、出血量のカウントを行い、患者のバイタルサインの変化に留意する
- 手術中に器械出し看護師と協力し、ガーゼカウント、針カウント、器械カウントなどを行う
- 術後の申し送りなどに必要な情報は術中にまとめておく