内視鏡による感染への対策

内視鏡による感染への対策【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年10月30日
最終更新日:2018年09月25日
(変更日:2018年10月23日) ※

目的

  • 内視鏡による感染(患者と患者間、患者と医療従事者間など、あらゆる院内感染)を防ぐことができる

基本的な考え方

  • すべての人の体液や血液は、感染性があるものとして取扱い、内視鏡室全体(内視鏡システム全体および周辺機器、ベッド、床など)での感染対策が必要
  • 使用した内視鏡類は、十分な洗浄により付着した体液や微生物数を可能な限り減少させた上で、必ず消毒を行う
  • 患者のみではなく、医療従事者への感染を予防し、健康管理に配慮する
  • これらの考えに基づいたマニュアル等を医療機関ごとに作成し、必ずその手順に従う

内視鏡室の環境整備

  • ベッド・枕は防水性があり拭き取りやすいものとする
    • ベッドや枕は、体液や血液、洗浄のための水などで汚染されやすい
    • 防水加工が施され、洗浄がしやすいものを選ぶ
    • シーツは紙製とし、1症例ごとに交換する
    • 1症例ごとに、ベッド・手すりなど患者が触れた箇所を、消毒用エタノールで清拭する
  • 血液・体液は、感染の可能性があるものとして取扱う
    • 壁や床に飛散した血液や体液は、拭き取り後、0.1%次亜塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールを用いて清拭する
    • 環境の消毒には高水準消毒薬(グルタラール・過酢酸・フタラール)は使用しない

感染症チェック

  • 検査ごとの適切な洗浄・高水準消毒が必須である
    • 検査ごとに適切な洗浄・高水準消毒が行われ、標準予防策が守られれば、内視鏡検査による患者間の交差感染防止を目的とした、内視鏡検査前の感染症チェックは必ずしも必要ない

検査における対応

  • 内視鏡消毒が終了したスコープ類は、次回使用するまで汚染しない
    • 内視鏡検査に用いるスコープは、検査後の未消毒のスコープ類と明確に区別し、運搬・保管・設置を行う
    • 検査医・介助者は、体液の飛散と汚染の拡大を最小限にするように努める
      • 検査に使用したガウン・手袋等を装着したまま室外へ出ない
      • 検査に使用したディスポーザブル製品は、室内に設置した医療廃棄物用の廃棄容器に捨てる など

スコープの洗浄・消毒

  • 検査終了直後に、スコープ外表面の清拭および吸引・鉗子チャンネルの吸引洗浄を行う
    • 大量の血液汚染のある場合や、前処置不良の患者に使用した大腸スコープの場合は、汚染度合いが高いものとして扱う
    • 外表面を清拭するガーゼ類は、洗浄剤などで濡れていることが望ましい
    • 洗浄剤は、スコープ類の材質に影響しない、中性または弱アルカリ性の酵素洗浄剤を用いるのが望ましい
    • 吸引チャンネル内を効果的に洗浄するには、洗浄液を200mL以上、吸引させることが望ましい
    • 消毒薬は、汚染物を凝固・固着させてしまうため、洗浄前に消毒薬を使用しない(こうっか的な洗浄・消毒が行えなくなる)
  • スコープの消毒薬は高水準消毒薬(グルタラール・過酢酸・フタラール)を用いる
    • 高水準消毒薬(グルタラール・過酢酸・フタラール)は、医療者への健康被害の可能性があるため、付着や蒸気暴露には十分注意して取扱う
    • 消毒薬の使用期限は、経時的な分解や水による希釈率などを考慮して決定す
    • 消毒後のスコープは、十分なすすぎを行って消毒薬を除去する
  • 送気・送水チャンネルへの送水は、専用チャンネル洗浄アダプターを装着して行う
    • 送気・送水ボタンを専用チャンネル洗浄アダプターに交換しないと送気チャンネルに適切に送水することができない
  • 鉗子起上装置を含め外表面の汚れを充分に落とす
    • 鉗子起上装置のあるスコープの先端部分は複雑な形状をしているため、専用のブラシなどを使用して丁寧な洗浄を行う
  • 送気・送水ボタン、吸引ボタン、鉗子栓などの洗浄は、それぞれスコープからはずして行う
    • 接続部には汚れが付着しやすいため、可能な限り分解し、それぞれを十分に洗浄する
  • チャンネル洗浄ブラシを用いて、すべてのチャンネルをブラッシングする
    • 特に吸引・鉗子チャンネルの汚染度合は、観察のみを行う症例と生検や治療処置を行う症例では大きく異なるため、使用した用途も考慮する
  • 洗浄後、外表面やチャンネル内のすすぎを十分に行う
  • スコープの自動洗浄・消毒装置を使用する場合は、使用前にスコープに対する適切な用手洗浄が必要である
  • 一日の検査終了後は、スコープ吸引・鉗子チャンネルにアルコールフラッシュを行い、送気や吸引を行い、乾燥させる
  • アルコールフラッシュ後の乾燥処理により、微税物が残留するリスクを減少させ、水回りに由来する微生物からの感染リスクも減少させる

運搬・保管

  • 消毒後のスコープ類を運搬する場合は、清潔なビニール袋または蓋付き容器にいれる
  • 内視鏡室と離れた場所で使用した使用済スコープ類は、ビニール袋または蓋付き容器にいれて運搬し、汚染の拡大を予防する
  • 内視鏡チャンネル内に水分を残さないよう、スコープ類は、送気・送水ボタン、吸引ボタン、鉗子栓などを外して保管庫に保管する

内視鏡付属品について

  • 送水ボトルは週1回程度の滅菌、あるいは毎日の消毒を行う
  • リユーザブル内視鏡処置具等について
    • 粘膜を通過して無菌組織に入るものは必ず滅菌後に使用する
    • 使用したものは、汚染物質の乾燥を防ぐため、直ちに洗浄液に浸漬、蛋白凝固防止などの処理を行い、洗浄の際には超音波洗浄などの洗浄機による洗浄をおこなう。
    • 可動部のあるものには、洗浄後に潤滑剤を塗布する
    • 耐熱性のあるものの滅菌には、高圧蒸気滅菌を行う
    • 滅菌後、使用するまで清潔な場所に保管する
  • ディスポーザブル処置具は再滅菌による使用はしない
  • 処置具ハンガーは機器の汚染を回避するため消毒などの管理が必要である
本コンテンツの情報は看護師監修のもと、看護師の調査、知見、ページ公開時の情報などに基づき記述されたものですが、正確性や安全性を保証するものでもありません。
実際の治療やケアに際しては、必ず医師などにご確認下さい。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関しては本記載内容とは対応が異なりますので、必ず各病院ごとに作成されている感染症ガイドラインに従ってください。
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