術後せん妄のケアのポイント
術後せん妄のケアのポイント【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年12月24日
最終更新日:2018年05月31日
(変更日:2013年11月27日) ※
目的
- 術後せん妄の予防に努め、せん妄発症時には改善に向けた介入を行える
原因
- 直接的要因
- 手術侵襲・術中使用薬剤(麻酔薬など)・術後合併症・全身状態の悪化
- 身体的要因
- 年齢(高齢者)・性格・認知機能障害・脳器質性疾患・アルコール・基礎疾患
- 薬剤(抗コリン薬・抗不安薬・睡眠薬・H2受容体拮抗薬・ステロイドなど)
- 誘発因子
- 環境の変化・ICUなどの過剰刺激・多数の医療機器類(アラーム音やモニターなど)
- ルートやドレーンの留置・臥床安静・睡眠障害・身体的ストレス(疼痛など)・感覚遮断
特徴・症状
- 術後せん妄は、起こり方が急激である(数時間~数日)
- 症状が1日のうちで変化しやすい(一時的に意識清明になったりする)
- 一過性で短時間で消失する
- 認知症とは異なるため鑑別が必要なこともある
- せん妄の症状
- 感覚障害(不安感・無感情・多幸感など)
- 睡眠障害(不眠・昼夜逆転など)
- 精神運動障害(興奮・妄想・幻覚・活動耐性低下など)
予防
- 術前に患者の情報からせん妄のリスクをアセスメントしておくことが重要
- せん妄のリスクが高い場合は、術前から昼夜が逆転しないようにはたらきかける
(睡眠と覚醒のリズムを整えたり、家族の面会やかかわる時間を多くとるなど) - 患者の反応を観察し、術前から対策を検討しておく
- 手術や術後の状態を患者や家族がイメージできるよう十分な説明を行う
- せん妄のリスクについて患者や家族に説明し、出現しても一過性で経過とともに消失することを伝える
せん妄発症時のケアのポイント
せん妄は治療可能であるため早期の対応が重要である
- 効果的に薬剤を使用する
- 適切な薬剤を使用することで、せん妄による昼夜逆転や不眠に対応し、日中の覚醒につなげる
- 疼痛コントロール創痛などによりせん妄が悪化することがあるため、疼痛緩和やストレスの軽減に努める
- 昼夜逆転の予防・生活リズムを整える早期離床をすすめ日中の覚醒を促し、声かけの回数を増やしたりすることで生活のリズムを整えていく
- 身体拘束の使用徘徊や興奮が著しく、転倒のリスクや治療上の管理困難がある場合は、抑制帯や離床センサーの使用を検討する
- 抑制帯は、必要最小限の使用とする
- 部屋の調整や頻回の訪問・声かけを行うことで、できる限り抑制帯をしないですむよう援助する
- 家族への対応
- せん妄発症時、現状の把握が困難でも家族の話はよく理解できることがあるので、必要に応じて家族の付き添いを検討する
- せん妄が出現しても一過性で経過とともに消失することを家族に伝える
- 他職種(精神科医・リエゾン精神看護師・薬剤師)との連携
- 高齢者やせん妄の改善がみられない場合、認知症へ移行することがまれにある
- 状況に応じて、精神科医・リエゾン精神看護師・薬剤師などと連携し介入を検討する
患者の訴えを否定せず、タッチングなどを行いながら傾聴し、患者の置かれている状況を受け止めることが重要
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