目次
目的
- 術後ケアとして、スタンダードプリコーションを徹底し感染を防ぐことができる
消化器外科術後の感染
- 代表的な感染:手術部位感染・ドレーン感染・点滴刺入部感染・泌尿器感染
- その他:肺腹部合併症・縫合不全・腸炎・消化管潰瘍・膿瘍形成・静脈血栓・基礎疾患によるもの
スタンダードプリコーションのポイント
- スタンダードプリコーション(標準予防策)とは、感染症の有無にかかわらず、すべての人の血液・体液・分泌物・排泄物・創傷のある皮膚・粘膜は感染性があるものとして扱う基本的な衛生管理の方法である
手指衛生
- 予防策の基本である手指衛生は、流水・石けんによる手洗いと速乾性手指消毒薬による方法がある
- 目に見える汚染があった場合は、流水・石けんによる手洗いを行う
- 手袋は、手洗いの代用にはならない
- 消化器外科では、創部の存在やドレーン類、吐物などにより手指消毒を行う機会が多く手荒れを起こし水平伝播の原因となることがあるため、手荒れ防止が重要である
手指衛生のタイミング
- 患者に触れる前
- 清潔・無菌操作の前
- 患者おぴょび患者のまわりに触れたあと
- 体液暴露のリスクの後
消化器外科領域で多くみられる場面
- 創部観察
- ガーゼ交換、輸液管理
- 排液破棄、汚物処理
個人防護具の使用
- ケア実施者は、暴露を防ぐため個人防護具を使用する
- 手袋・マスク・エプロンや必要時ゴーグルを使用する
- 個人防護具は使い捨て製品が望ましい
創部管理
- 術式によって、創部が排泄物に汚染されやすい状況の時がある
- 創部を清潔に保つため、保護材の使用や、洗浄を行う
ドレーン管理
- 多数のドレーンを同時に使用することも多く、感染やドレナージ不良に注意する
- 不潔排液の処理後は、同じ防護具での清潔排液の処理を行わない
汚物処理
- 消化器外科では、観血的処置や禁食などにより下痢を起こすことがある
- 汚物処理による水平伝播をふせぐ必要がある
- 使用後のおむつや処置後の手袋は、床に直接おかず、すぐにビニール袋に密閉し破棄する
- 吐物など周囲への汚染がみられた場合は、清掃後消毒を行う
抗菌薬適正使用
- 耐性菌出現を防ぐため、抗菌薬の予防的な使用や長期間の使用は避ける
- 炎症データや血中濃度を確認し、発熱などの状況と合わせて評価する
個室管理
- 感染部位やその状況によって、感染拡大防止のため個室管理が必要となる場合がある
- 必要に応じて、面会者の制限や面会者への予防策の指導を行う