ギプス固定の介助
ギプス固定の介助【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2014年1月23日
最終更新日:2020年08月31日
(変更日:2023年12月26日) ※
目的
ギプス固定の目的
- 手術後の患肢や関節の安静を保持する
- 骨折や脱臼の整復後の固定を行う
- 変形の矯正や予防
必要物品
- 水を入れたバケツ
- ギプス包帯(スコッチキャスト® など)
- 綿チューブ包帯(ストッキネット® など)
- 綿包帯(オルテックス® など)
- ディスポーサブル手袋
手順
- 固定部位確認後、健側で固定部位と折り返し分の長さを測り、長めに綿チューブ包帯を準備する
- 装着しやすいように綿チューブ包帯を丸める
- 綿チューブ包帯をしわやたるみがないように装着する
- 綿チューブ包帯の上に末梢から綿包帯を巻く
- 手袋を装着しギプス包帯を水に浸す(5~10秒)
- ギプス包帯を軽く絞り医師に渡す
- 医師がギプス包帯を巻く際、不必要な筋の緊張を減らすように患肢を保持する
- ギプス包帯を巻き終わったら、層間がよく接着するようにこする
- ギプス包帯の辺縁を整え、乾燥したらギプス包帯の辺縁が直接皮膚に当たらないように綿チューブ包帯を外側に折り返し、テープで固定する
観察ポイント
圧迫障害
循環障害
- ギプス装着部位より末梢の皮膚や爪の色や性状
- 浮腫・冷感・爪甲色の変化・プレッシャー反応(爪を圧迫除圧後に色がもどるか)・締付感・疼痛の程度・動脈拍動の微弱化など
- 下腿骨骨折や小児の上腕骨顆上骨折に頻発する
- 手指の屈曲傾向・他動伸展時の疼痛や増悪する疼痛がある場合は、フォルクマン拘縮が疑われる
神経障害
- 疼痛・しびれ・知覚鈍麻・ギプス装着部位より末梢の運動障害の有無
- 橈骨神経・尺骨神経・正中神経・腓骨神経に頻発する
- 上肢のギプス固定後に、手指の運動が弱く知覚鈍麻があれば、上肢の神経障害を起こす
- 母指側:橈骨神経麻痺
- 小指側:尺骨神経麻痺
- 中指付近:正中神経麻痺
- 下肢のギプス固定後に、第1趾の運動が弱く足背の知覚鈍麻があれば、腓骨神経麻痺が疑われる
皮膚障害(水疱・壊死)
- 疼痛・掻痒感・発熱・白血球数の増加の有無
- 踵骨部・腓骨小頭・仙骨部・内踵部・外踵部・大転子部などが好発部位である
創汚染
- ギプス汚染の範囲・感染徴候の有無・ギプス周辺の異臭など
- 出血や滲出液が多いとギプスの上まで出てくることがある
筋萎縮・関節拘縮
- 関節可動域の縮小や筋力低下の有無
- 安静に伴う運動障害が原因で起こるので、患側・健側ともに観察する
体幹ギプス装着時のキャスト症候群
- 悪心・嘔吐・腹部膨満・腹痛など
- 体幹ギプス装着時に起きる急性胃拡張
- 体幹ギプスの前弯が強いと上腸管動脈の循環障害を起こすことがある
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