目的
- 気管切開に必要な物品、気管カニューレの種類と特徴、実際の流れ、ケアのポイントについて理解し、適切な介助ができる
必要物品
- 消毒セット、滅菌ガウン、滅菌手袋
- 滅菌ドレープ
- 局所麻酔薬、注射器、注射針、キシロカインゼリー
- メス、セッシ、鉗子(ペアン、モスキートペアンなど)、剪刃、筋鉤、二爪鉤
- 持針器、縫合針や縫合糸
- 気管カニューレ、カフ用注射器
- 滅菌ガーゼ(気管カニューレ挿入後に、Y型に切り込みを入れたものを使用する)
- 吸引管、吸引チューブ、バイポーラなど
気管切開の流れ
- 必要物品を準備する
- 患者や家族に気管切開の必要性を説明し、理解と協力を得る(同意書が必要)
- 気管切開に適した体位をとる
- 仰臥位となり、頭部は円座枕で固定し、肩枕をいれて前頸部を軽く伸展する
- 皮膚切開予定線をマーキングする
- 術者と介助者はマスクをして手洗いを行い、滅菌ガウンと滅菌手袋を装着する
- 術野を消毒し、滅菌ドレープをかける
- 介助者は清潔野で気管カニューレを準備し、カフ用注射器でカフにエアリークがないことを確認し、キシロカインゼリーをつけておく
- 局所麻酔を行い、マーキング部分を切開する
- 甲状腺峡部が見えたら、甲状腺を上部に持ち上げると気管軟骨が見えてくるので、気管軟骨を切開し、気管カニューレを挿入する
- 気管カニューレを通じて呼吸の出入りがあるか、吸引カテーテルが挿入できるかを確認する
- 気管カニューレのカフを膨らませ、場合によっては酸素に接続する
- 止血を確認し、消毒を行い、縫合する
- 気管カニューレをひもで固定し、切込みガーゼを気管カニューレの下に挿入する
- 手術後は胸部X線写真を撮影し、気胸などのトラブルがないことを確認する
気管カニューレの種類
人工呼吸器を使用する場合
- 発声させる時は、単管・カフつき・側孔つきを選択する
- 発声させない時は、単管・カフつき・吸引ラインつき、複管・カフつき・吸引ラインつき、などがあるが、複管のものは内腔が汚れやすい
人工呼吸器を使用しない場合
- 発声させる時は、スピーチカニューレ、複管・カフなし・側孔つき、などがあるが、複管のものは内腔が汚れやすい
- 発声させない時は、単管・カフなしを選択する
ケアのポイント
- 手術室で行うことが望ましいが、場合によっては病棟などで行うこともあるため、必要物品がそろっているかを予め確認しておく
- 気管切開術は清潔野で行うため、清潔・不潔について十分に理解しておく
- 気管切開を行うと発声できなくなることが多いため、患者の病態も含め、家族への十分な説明が必要
- 気管切開後はこれまでと違う形でのコミュニケーションが必要となるため、予めコミュニケーションの取り方について患者の理解と協力を得る